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平成八年十二月十七日提出
質問第八号

血液行政の見直しに関する質問主意書

提出者  山本孝史




血液行政の見直しに関する質問主意書


 血液事業行政のあり方については、昭和五〇年の「血液問題研究会」(厚生大臣の私的諮問機関)以来有識者による研究会等が意見具申や答申を何度も重ねてきた。それにもかかわらず、血液製剤による薬害エイズが起こり、多くの人命が失われる事態となった。この現実は、ヒトの臓器組織の一部である血液に由来する医薬品を商品として取引きし、薬価差益が生じるという構造に根本的な破綻の原因があることを明白に示した。
 血液事業行政のあり方に関し、以下質問する。

一 血漿分画製剤の国内自給について
 @ 血漿分画製剤について、国内自給の目標を設定したにもかかわらず、アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤において達成できない理由とその背景は何だと認識しているか。
 A 全ての血液製剤の国内自給という目標を達成するには、まず血液製剤の使用量の削減が必要であることは当然だが、使用の適正化の目標値をどのように設定し、その直近の達成状況はどのくらいであるか答えよ。
 B また、今後の国内自給達成の時期までの計画を、血漿分画製剤の製品種類ごとに答えよ。
二 法整備について
 @ 総務庁行政監察「血液事業に関する調査」においても、「血液事業における国、地方公共団体、日本赤十字社の役割と責任を法的に明確化することについて検討すること」と平成三年に勧告されているが、どのような検討を加えたのか、具体的に答えよ。
 A 現状として、いまだ法整備が行われず放置されていることをどう考えるか。また、その理由はなぜか。
 B 昭和三一年に制定された「採血及び供血あつせん業取締法」は、売血・預血時代の産物であり、現在の我が国と世界の血漿分画製剤を取り巻く状況に合致しているとは言いづらい。血液事業の理念と責任を明確に定めた法律の制定の必要性があると考えるが、その認識を伺う。
三 閣議決定の事実関係について
 昭和三九年の閣議決定では、保存血液についてのみ献血により確保する体制の確立の推進が決定されたが、血漿分画製剤がなぜその中に含まれなかったのか答えよ。
四 薬価差益について
 @ 血液問題研究会の意見具申では「全血製剤や血液成分輸血は、臓器移植である。血漿分画製剤となると、(中略)その源となる血液はあくまでも人体のみから得られる生体臓器である。しかも、これらの生体臓器の提供は、献血という人間尊重と相互連帯の基本精神に基づく国民の善意によってなされるものであることを深く認識し、些かたりとも粗末に扱われるようなことは決して許されるものではない。」との認識が明確に示された。
   しかし、血漿分画製剤は医薬品として売買の対象となり、自由な価格競争が行われている。これは臓器売買にも等しい行為であると考えるが、その認識を伺う。
 A 大きな薬価差益が存在することが、医療機関での血漿分画製剤の使用の適正化推進の阻害要因となっていることは明白である。私の調査によれば、現に薬価の七割程度で医療機関に提供されている免疫グロブリン製剤が確認されている。また、その他の多くの製剤も八割程度の薬価率で医療機関に提供されているのが現実である。
   このような状況と製剤がヒトの臓器を原料としている点を踏まえて、他の医薬品とは切り離して、血漿分画製剤の大幅な薬価引き下げが必要と考えるが、その認識を伺う。
 B また、薬価改定のために調査した直近の全国の医療機関の平均購入価格の全国平均と、最も値引きされていた製品の価格を、アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤につき、全てのメーカーの品名について答えよ。
 C 使用の適正化の一層の徹底には、血液製剤の供給によって薬価差益を生じさせないシステムの確立が必要だが、その認識を伺う。
 D また、血液製剤の供給を一元化させ、定められた薬価で値引きをせずに医療機関に販売を行うことが不可欠と考えるが、その認識を伺う。
五 血漿の売却価格について
 日本赤十字社が献血で集めた血漿を民間会社に売却して血漿分画製剤を製造し、献血由来の民間ブランド製剤として販売している。この血漿の民間への売却価格は一リットル一万一千円であるが、この価格では採算割れを起こしているとの指摘が日本赤十字社の内部でもあると聞く。この売却価格が適正であるのか、その認識を伺う。製薬会社の製造コストや利益率をどのように計算してこの売却価格を決定しているのか、具体的に答えよ。
六 献血申込書の保存期間について
 献血申込書などの記録の保存期間は、五年となっている。安全な血液製剤を供給するという観点からルックバックのために保存期間をより長くすべきと考えるが、その認識を伺う。
七 教育での取り組みについて
 献血思想の国民的普及のためには、人を援助するための行動規範や倫理を学校教育の中で学ぶことが必要だが、現状の措置では不十分である。献血可能年齢の者及び将来の献血者のための教育として何をどのように教えることが、国内自給達成の悲願成就に資するものであるか、学習指導要領へ盛り込むことも含めて、具体的施策策定への認識を伺う。
八 公務員の特別休暇措置について
 骨髄移植のための骨髄提供者となる場合においては、公務員の特別休暇措置が行われている。国内自給達成のため、特に成分献血に際して公務員等への同様の休暇措置を講じ、献血者の確保に資するべきと考えるが、その認識を伺う。

 右質問する。





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