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平成九年六月五日提出
質問第二八号

高速増殖炉もんじゅ・アスファルト固化処理施設の安全審査とプルサーマル計画に関する質問主意書

提出者  中川智子




高速増殖炉もんじゅ・アスファルト固化処理施設の安全審査とプルサーマル計画に関する質問主意書


 高速増殖炉もんじゅ及び東海事業所アスファルト固化処理施設の安全審査の位置づけ、並びに、原子力開発利用長期計画におけるプルサーマル計画に関し、次のとおり質問する。

一 設置許可申請書と安全審査の位置づけについて
 1 高速増殖炉もんじゅの設置許可申請書では、ナトリウム漏洩事故の発生防止や事故の影響拡大防止対策が五項目にわたり記載されているが、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という)は、これに反する設計や運転マニュアルを用いていた。そのため、原子力安全委員会ワーキンググループの報告書(平成八年九月)で、動燃は「設置許可申請書に記載された考え方に従うべき」との指摘がなされたところである。ところが、科学技術庁原子力安全局原子炉規制課によれば、設置許可申請書の記載事項に反する動燃の設計や運転マニュアルは違反ではなく、動燃は必ずしも設置許可申請書に記載された内容に従う必要はないという。原子力安全委員会ワーキンググループと科学技術庁原子力安全局原子炉規制課の見解のいずれが正しいのか。
   一般に、規制当局の安全審査を受けて認可された設置許可申請書の記載内容に、事業者は厳格に従う必要があるのか。それとも、従う必要がないのか。
   事業者が設置許可申請書に必ずしも従う必要がないというのであれば、それは、いつ、どの機関によって、どのような文言で決定されたのか。また、事業者が従う必要のない項目・内容とは、一般に、設置許可申請書のどのような性格の部分か。また、設置許可申請書に従わない場合に災害防止上支障がないかどうかを、事業者がそれぞれ独自の基準で勝手に判断してよいのか。
 2 安全審査を受けて認可された設置許可申請書の記載内容と食い違う形で、事業者が設計や運転マニュアルを修正する場合には、必ず設置変更許可申請を出して安全審査を受け直さねばならないのか、それとも、必ずしも受け直す必要はないのか。
   事業者が安全審査を受け直さずに、設置許可申請書の記載内容に反する設計や運転マニュアルを導入できるのは、具体的には設置許可申請書の中のどのような項目・内容に関してか。また、事業者から規制当局へそのような修正に関する報告がなされなかった場合、そのような勝手な修正を規制当局がチェックし、規制するようなシステムはあるのか。そのようなシステムが存在するとすれば、もんじゅの場合に即して、そのようなシステムが現に機能していることを具体的な例を挙げて示されたい。
   もんじゅの場合、動燃は、二次系ナトリウム漏洩に際し、漏洩ループのナトリウムドレンに必要な二次ナトリウム充填ドレン系機器(主に弁等に用いている電気計装品)の機能維持を図るため、緊急ドレンに必要な弁操作完了までは換気装置を止めない設計・運転マニュアルを採用していた。これは、火災検知器の信号で空調ダクトを全閉とするとの設置許可申請書の記載内容に「違反」する。しかも、これは、設置許可申請書で求められていない緊急ドレンを行うための措置である。このような設計変更でも、安全審査を受け直す必要はないのか。
   科学技術庁によれば、このような「違反」が許容される範囲内のものかどうか現在なお解析・検討中であるという。そのような長期間にわたる解析・検討を要するような「違反」でも再審査を受けずに事業者が勝手に行ってよいのか。
 3 設置許可申請書に記載されている内容に災害防止上の欠陥がないかどうかについて、最新の知見に即してチェックするのはどの機関か。また、具体的にそのようなチェックが行われた例があるのか。もし、あるとすれば、具体例を挙げて説明されたい。
   動燃東海事業所アスファルト固化処理施設では、アスファルト充填室やエクストルーダ室内での火災発生時に、火災の影響拡大や爆発等を防止するための監視システムがなく、水噴霧消火設備は設置されていたが操作マニュアルが不十分であった。本施設の設置許可申請書では「アスファルト充填室には炭酸ガス吹き出し設備を設ける」としか記載されておらず、「この対策によってアスファルト充填室では火災事故が起こるとは考えられない」とさえ記載されている。ところが、この安全審査より前の一九七三年の実験で、動燃は、炭酸ガスでは消火できない場合があることを確認していた。安全審査ではこの実験で得られた知見が全く反映されなかったが、なぜ反映されなかったのか。また、一九八一年のベルギー・ユーロケミック火災事故及び一九八三年の動燃での実験で、「起こるとは考えられない」火災事故が実際に起こることや消火には大量の散水消火が不可欠であることが明確になったが、動燃による水噴霧装置の併設導入に際し、設置変更許可申請はなされず、水噴霧装置の長時間噴霧の必要性について規制当局から求められることはなかった。これは、安全審査された設置許可申請書の欠陥を動燃が勝手に全く不十分な形で補った例であるが、このような場合でも、動燃が設置変更許可申請を行う必要はなかったのか。
   動燃は、今回の事故の直前にエクストルーダの混合速度を毎時二百リットルから毎時百六十リットルに変更しており、これが火災・爆発事故の原因の一つと見なされている。事故原因の究明はさておき、この混合速度は、動燃が申請し許可された運転条件の枠内であった(衆議院科学技術委員会一九九七年四月二十四日の中野参考人の答弁)とされているが、この運転条件に関する規制当局への申請はいつ行われ、本件に係る安全審査はいつ、どの機関が行ったのか。その際、毎時百六十リットルまで混合速度を下げてよいという認可は、どのような実験結果や技術的根拠に基づいてなされたのか。また、動燃による「九七 ― M四六 ― 一キャンペーン運転計画書」が認可条件に適合していることの審査は、いつ、どの機関によって行われたのか。また、このような運転計画書が設置許可申請書での記載内容と食い違う場合には、設置許可変更申請を行う必要があるのか、それとも必ずしも必要でないのか。
二 プルサーマル計画について
 1 プルサーマル用のMOX燃料について、科学技術庁原子力局核燃料課は、一般論として二回ないし三回のリサイクルが可能としているが、原子力開発利用長期計画では、どの程度の燃焼度のもとで何回のリサイクルを想定しているのか。また、その判断基準にはリサイクルによるプルトニウムの組成劣化(プルトニウム二三八、二四〇、二四二などの割合の増加)、それに伴うプルトニウム富化度の上昇、使用済みMOX燃料の再処理の技術的・経済的困難さの問題が関係していると思われるが、プルサーマル・リサイクルの回数を定める基準は何か。
   原子力安全委員会は平成七年六月に、軽水炉用MOX燃料の核分裂性プルトニウムの富化度を八%までとすることを条件としてプルサーマルの安全審査を行う旨、決定しているが、その際のプルトニウム組成にどのような仮定を置き、何回までのリサイクルを想定しているのか。
 2 使用済みMOX燃料については、六ヶ所再処理工場では再処理せず、二〇一〇年頃に方針決定される第二再処理工場で再処理する計画と考えてよいか。
   使用済みMOX燃料は、通常の使用済みウラン燃料と比べて、プルトニウムの含有量が多く同位体組成が高次側ヘシフトしていること、アクチニド含有量が多くα放射能量や中性子発生率が高いこと、白金族元素の核分裂生成物が多く溶解しにくいこと等から、使用済みMOX燃料の溶解、臨界管理、被曝防護など困難な技術開発を必要としている。これまで、美浜と敦賀での少数体MOX試験燃料や新型転換炉ふげんの使用済みMOX燃料の溶解試験は行われてきたが、いずれも低燃焼度の使用済みMOX燃料である。実際のプルサーマルで対象となるトン当たり三〜五万MWDまたはそれ以上の高燃焼度の溶解試験は、いつ、どこで行われたのか、また、行われる計画なのか。さらに、商業的規模でのプルサーマル用使用済みMOX燃料の再処理はいつ頃可能になると想定しているのか。

 右質問する。





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