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平成十年二月三日提出
質問第六号

大蔵省不祥事と疑惑解明に関する質問主意書

提出者  保坂展人




大蔵省不祥事と疑惑解明に関する質問主意書


 昨年十二月十二日に「大蔵省不祥事と紀律保持に関する質問主意書」を提出し、同月十九日に答弁書の送付を受けたが、答弁内容は同省が綱紀粛正の緊急性、重大性を十分に理解していないことをうかがわせた。
同省OBの井坂武彦日本道路公団理事、現職の宮川宏一金融証券検査官室長、谷内敏美管理課課長補佐が相次ぎ収賄容疑で逮捕された後も、同省は個別の照会に不十分で、真摯さに欠ける回答を続けてきた。そこで、政府に対し、不十分な前回答弁内容に対する再度の回答を求めるほか、綱紀粛正についての基本的な考え方、強制捜査を受けた後の対応などについて、以下の点を質問する。

一 大蔵省の綱紀粛正について
 (1) そもそも「綱紀粛正」とは法令遵守はもちろんのこと、職務上どのようなことをしてはならず、またどのようなことに注意しなければならないと考えるか。
 (2) 戦後、綱紀粛正を図るための省内通達は何件出されたか。通達が出された理由も含め具体的に明らかにされたい。
 (3) 前記各通達の効果について、それぞれどう考えるか。
 (4) 大蔵官僚が金融、証券など職務に関係する企業、団体の幹部、社員らと会食する際、自分の飲食代を支払わないケースがあるか。あるとすれば、その理由は。
 (5) 大蔵官僚が金融、証券など職務に関係する企業、団体の幹部、社員らとゴルフをすることがあるか。あるとすれば、個人的な付き合いに限られるのか。費用はどうするのか。
 (6) 年末の「御用納め」などで、金融、証券など職務に関係する企業、団体から酒やつまみの差し入れを受けたことがあるか。
 (7) 一九九四年から九五年にかけて、破たんした東京協和、安全旧二信用組合の乱脈融資事件で、主計局次長中島義雄、東京税関長田谷廣明両氏らの過剰接待、金銭授受などが明らかになり、両氏は処分されたが、省内調査で把握された中島、田谷両氏の非行とは具体的に何か。
 (8) 中島氏らの処分に伴い、省内に設置された「紀律保持委員会」に関し、小村武官房長は九五年五月二十五日付「綱紀の厳正な保持について」との内部通達で「違反する疑いのある職員の行動については、紀律保持委員会で状況把握を行う」としていたが、その後「状況把握」された職員は何人いたのか。
 (9) 中島氏らの処分後、篠沢恭助事務次官が辞任し、記者会見などで「二度とあってはならない」と話していたが、省内でこの言葉はどのように受け止められたのか。
 (10) 九六年八月、保険部課長補佐から関東信越国税局調査査察部長に転任した職員が生保会社から携帯電話を無料借用していたことが発覚したが、関係者の処分は行われたのか。そうした対応で十分と判断した理由は。同様のケースがないか、調査したのか。
 (11) 涌井洋治主計局長が官房長当時、石油卸商泉井純一被告から再婚祝いとして絵画を受け取っていた問題について、答弁書では涌井主計局長によれば、(前記)平成七年五月二十五日に発出された「通達の周知徹底を図るとともに、自らも遵守してきたところである」とされるが、絵画を受け取ったことは通達に違反、抵触する行為とは考えていないのか。考えていないとすれば、その理由は。
 (12) 涌井主計局長は厳重注意処分とされたが、それで十分と判断した理由は。
 (13) 涌井主計局長の問題と同時期に、薄井信明主税局長が国会議員のパーティーに講師として出席し、厳重注意処分を受けたが、その処分で十分と判断した理由は。
 (14) 国家公務員法に規定された懲戒処分は免職、停職、減給、戒告の四種類だが、一連の不祥事で行われた「訓告」「厳重注意」という処分はいかなる法令の根拠に基づくものか。「厳重注意」には文書と口頭があるが、その違いは。
 (15) 国家公務員法に規定された懲戒、あるいはそうではないものも含め、処分を受けた職員はその後の人事考課に相当の影響を受けるのか。
二 いわゆる「天下り」について
 (1) 退官する大蔵官僚の再就職先を大蔵省が斡旋することはあるか。あるとすれば、その理由は。
 (2) OBで組織されるといわれる「霞桜会」また「大蔵同友会」とはどのような団体か。目的、規模、予算など概要を明らかにされたい。
 (3) 退職者の再就職先の斡旋について、民間企業ではどのような対応をしているか、調査したことはあるか。調査したことがあるとすれば、民間企業と対比し、どのように考えたか。
 (4) 大蔵官僚の再就職先となった企業や団体に便宜を図ったことはあるか。
 (5) 企業や団体は大蔵官僚の再就職を受け入れることで、何らかの便宜供与を期待しているとは考えないか。
 (6) 大蔵官僚の再就職で、国民の疑念を招く恐れがあるとして、注意しなければならないのはどんなケースか。
 (7) 大蔵官僚のいわゆる「天下り」で、高額の退職金を何度も受け取ることなどに納税者・国民の批判があることを承知しているか。承知しているとすれば、何らかの対策を講じたのか。
三 井坂理事の収賄事件について
 (1) 井坂理事の逮捕を踏まえ、大蔵省在任中の職務内容、接待の有無などについて、問題がないか調査したか。とりわけ、宮川室長らの事件で問われている「検査」の適正さについて、井坂理事が初代の金融検査部長を務めた時期についてはどうか。
 (2) 大蔵省は井坂理事について、退官後の日本道路公団への再就職を斡旋したのか。斡旋したとすれば、斡旋した理由は。
 (3) 井坂理事の事件で、大蔵省は何らかの責任を感じているか。
四 金融証券検査官室長ら二人の収賄事件について
 (1) 省内調査はどのような方法で進められているのか。二人の上司についても調査しているか。
 (2) いわゆる「MOF担」の功罪について、どう考えるか。
 (3) 逮捕事実とされた「MOF担」の接待について、省内全体で何らかの措置を既に講じたか。
 (4) 二人が担当した検査で、手心を加えたり、検査で入手した内部情報をほかの会社に提供したりした事実はあるのか。
 (5) 二人の逮捕事実は九四年から昨年まで収賄を繰り返していたとされ、汚職は前記中島氏らの問題発覚、篠沢次官の辞任後も続いていた疑いが持たれているが、どう考えるか。
 (6) 二人の事件で、大臣と事務次官が引責辞任したが、それで責任は十分取ったと考えるか。
 (7) 前記「紀律保持委員会」は違反する職員の状況把握を行うとされてきたが、新たに創設される金融服務監査官室とどう違うのか。
 (8) 第一勧業銀行の検査の際、検査官二人が接待を受け、処分された問題で、前回答弁書によると、「このような事例は他に判明していないため、株式会社第一勧業銀行以外の銀行の検査に関する調査は行っていない」と回答しているが、検査官の汚職が明らかになった現在も同じ状況か。
 (9) 検査時の接待については二人の逮捕に先立ち、本年一月十二日の社民党疑惑解明プロジェクトで、大蔵省秘書課長らに第一勧銀以外の金融、証券各社も調査するように指摘してきたのに、依然何らの回答もないのはなぜか。
五 第一勧業銀行と四大証券の総会屋利益供与事件について
 (1) 大蔵省の金融証券検査で、不正融資や損失補てんなどが明らかになった場合、どういう指導をするのか。
 (2) 大蔵省は利益供与の事実について、検査で把握していなかったのか。把握していたとすれば、どのような指導をしたのか。把握していなかったとすれば、なぜできなかったのか。
 (3) 第一勧業銀行事件の二月二日の公判で、検察側は九四年十月の大蔵省検査で、総会屋小池隆一被告の関連会社に対する貸付残高四十億円のうち二十四億一千万円を回収不能、四億八千百万円を回収不能の懸念が大きいとそれぞれ判断し、第一勧銀はその分を有税償却したと冒頭陳述で指摘したが、検査では貸し付けの経緯などについては調査しないのか。
 (4) 前記検察側冒頭陳述によれば、九〇年十月と九四年十月にそれぞれ検査が実施されたが、その際に十分な対応が取られていれば、その後の利益供与、四大証券事件への拡大を食い止められたとは考えないか。考えるとすれば、できなかった責任はどのような形で明らかにされるのか。
 (5) 金融、証券各社の株主について、総会屋関係者が含まれていないかどうかなどを調査したことはないのか。
 (6) 今回の事件発覚後、第一勧銀と四大証券以外の金融、証券各社に同様の利益供与がないか、調査したのか。
六 度重なる事件、不祥事の原因と責任について
 (1) 前記の事件、不祥事が続いた原因はどこにあると考えるか。個人の資質か、組織のおごりか。責任は十分明らかにされてきたと考えるか。
 (2) 大蔵省が金融、財政を所管し、大きな権限を持っていることがこうした事件、不祥事の背景にあるとは考えないか。
 (3) 三(注)前大臣が辞任の記者会見で「官庁の中の官庁を自認するなら率先して改革を」と述べたが、「官庁の中の官庁」を自認しているか。
 (4) 今後、大蔵省が自ら不正を調査し、ただす姿勢に期待していいか。

 右質問する。





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