衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十年四月二十七日提出
質問第二八号

組織犯罪対策法案と死刑に関する質問主意書

提出者  保坂展人




組織犯罪対策法案と死刑に関する質問主意書


 死刑を最高刑とする「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案」を含む「組織的な犯罪に対処するための法整備に関する三法案」(以下、組織犯罪対策法案という)が国会に上程された一方、国連人権委員会では昨年に続き、死刑廃止を求める決議が採択された。また、ルワンダでは多数の死刑が公開で執行され、国連人権高等弁務官が抗議を続けている。日本政府は、組織犯罪対策法案では国際的な要請を強調するが、死刑については各国が独自に決定すべき問題として、廃止が大勢となっている世界の潮流に背を向けており、こうした姿勢の矛盾などについて、以下質問する。

一 組織犯罪対策をめぐる国際的動向について
 (1) 組織犯罪対策を求める国際的な動向の中で、死刑を罰則に規定することについて、各国間でどのような議論がなされてきたか、具体的に明らかにされたい。
 (2) 国連加盟国中、組織犯罪対策のための法律を制定している国は何ヵ国あり、うち殺人罪の重罰を規定している国は何力国あるか。
 (3) 組織犯罪対策のための法律を制定している国のうち、死刑を最高刑としている国は何力国あるか。あるとすれば、どのような罪に死刑を規定しているか。
 (4) 「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案」で、死刑を最高刑に規定した理由を明らかにされたい。
 (5) 組織犯罪対策は国際的要請と政府は強調してきたが、組織犯罪対策で死刑を最高刑とすることも国際的要請に応えた措置と考えるか。
二 死刑廃止を求める決議と死刑をめぐる国際的動向について
 (1) 本年四月三日、ジュネーブの国連人権委員会において、死刑廃止を求める決議が昨年に続き、賛成多数で採択されたとの報道があるが、採択に参加した各国の賛否状況、日本政府の対応とその理由をそれぞれ明らかにされたい。
 (2) 死刑廃止を求める決議が昨年に続き、採択された経緯について、具体的に明らかにされたい。
 (3) 人権委員会の決議後、ロビンソン国連人権高等弁務官がどのようなコメントを発表したか、承知しているか。
 (4) 死刑廃止を求める決議が昨年に続いて採択されたことについて、どのように考えるか。また、今後も同様の決議は採択され続けると考えるか。
 (5) 死刑の存廃が外交に影響を与えることはあり得ないと考えるか。また、国際的な組織犯罪の摘発において、死刑の存廃によって支障が生じることはあり得ないと考えるか。
 (6) 組織犯罪対策を求める国際的要請を受け、国内法として組織犯罪対策法案を整備するのであれば、既に国連で採択されている「市民的及び政治的権利に関する国際規約第二選択議定書」や今回の人権委員会決議などを死刑廃止を求める国際的動向ととらえ、国内法の整備に取り組む考えはないか。
 (7) 死刑をめぐり、廃止が大勢を占める国際的動向に背を向けるばかりか、執行の有無さえも答弁せず、存廃議論の基礎となる情報公開をしない日本政府の姿勢は、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる」と定める日本国憲法前文に照らし、相当な態度と考えるか。
三 ルワンダの公開処刑について
 (1) 報道によると、ルワンダで少数派のツチ族虐殺事件をめぐり、今月二十四日に二十二人の死刑が公開で執行されたと伝えられているが、日本政府は確認しているか。
 (2) ルワンダ政府のこうした措置をどう考えるか。今後、外交課題の一つとして、取り組むつもりはあるか。
 (3) 国連人権高等弁務官がルワンダでの今回の公開処刑にどういう態度を取ったか、承知しているか。そうした弁務官の姿勢をどのように評価するか。
四 組織犯罪対策法案と死刑について
 (1) 組織犯罪対策は「国際的要請」とし、死刑は「自国の判断」と強調する日本政府の姿勢は国際的に理解を得られていると考えるか。
 (2) オウム真理教の林郁夫被告に対する検察官の論告では、「組織犯罪」の解明に果たした役割などを強調し、本来死刑を求刑すべきとしながら、無期懲役の求刑を選択したのは「司法取引」ではないか。組織犯罪対策法案を意識した結果か。
 (3) 死刑廃止条約の批准を求めるNGOや報道関係者によると、議員の活動が制約される四月末から五月上旬にかけての連休中、または連休の「谷間」に死刑の執行を検討しているといわれるが、事実か。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.