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平成十年五月七日提出
質問第三一号

池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する質問主意書

提出者  保坂展人




池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する質問主意書


 昨年十二月十七日、香川県小豆島の池田町に民間業者が建設を予定している産廃施設建設計画予定地の実地調査を行った。同予定計画地の一部は、昭和三十七年十一月十六日に建設省によって砂防法による「砂防指定地」(告示2890号)とされている場所である。
 また、同予定計画地の周辺及び下方で、大規模な土石流が発生して農地・家屋に甚大な被害が広がった(昭和五十一年池田町)ことで、土石流の通路となりかねない場所に産廃施設をつくることへの防災上の不安が住民の間につのっている。
 さらに、業者が無断で同予定計画地の立木を伐採したことから、本来指導にあたらなければならない県、ならびに国の姿勢が問われている。
 よって実地調査を踏まえ、以下質問する。

一 砂防法について
 (1) 昨年、西日本の豪雨であいつぐ被害が出たことから、建設省は地滑り、がけ崩れなどの危険のある場を「崩壊危険地域」として指定し、いっそうの防災効果を高めることとしている。土石流災害の未然の防止に、砂防法にもとづく砂防指定地はどのような役割と防災上の効果をもっているのか相互の関係を述べられたい。
 (2) 砂防法は、明治三十年に制定されて以降、今日まで百年以上大きな改正なく存続している僅か四十四条の法律である。ここには、「警察・監督及強制手続」が規定されているものの、命令が未制定のために砂防法上の罰則は実効性が保たれていない。昭和二十八年に定められた「香川県砂防管理規則」も、砂防法同様に目的が明記されてなく、「国民の生命と財産を守る」ために、法整備上の課題が未解決であると考えるが、いかがか。
 (3) 砂防法は第四十一条で、禁止行為、無許可行為に対しての違反を「二万円以内の罰金若しくは一年以下の懲役又は禁錮」と定めているが、「香川県砂防管理規則」では、「二千円以下の過料」となっている。一方、森林法の無許可伐採等は第二百六条「五十万円以下の罰金」、第二百七条「三十万円以下の罰金」とはるかに厳しい。
 現在の砂防法違反の禁止行為、無許可行為に対しての罰則は不十分でないのか。
 (4) 「砂防指定地・地滑り防止区域における宅地造成の大規模開発審査基準(案)」(昭和四十九年四月十九日・建設省河川局砂防課長通達)は、現在にいたるまで効力を保っているか否か。また、同通達の趣旨、目的は何だったのか。
二 池田町産廃施設計画について
 (1) 国は先の「大規模開発審査基準」を根拠として、香川県砂防課に対して指導をしているか。あるいは、すでに「産廃施設の建設」を前提としながら、香川県に対して連絡・調整にあたっているのか基本的な立場を明らかにされたい。
 (2) 昨年九月、建設省河川局砂防課小松専門官は、民間業者が砂防指定地内の立木を無許可で伐採した点を、「香川県砂防管理規則・第二条第二項(行為の禁止・立竹木の皆伐)に違反している」と述べたか、現在も相違はないか。
 (3) 一方、香川県砂防課は、民間業者の行為は「香川県砂防管理規則・第三条第一項(許可を要する行為・立竹木の間伐)」違反にあたるとして、「原状回復命令」を出しているが、国と県の見解は不統一のままか。
     また、県の解釈が相当であるとするなら、「香川県砂防管理規則・第四条」によって許可期間は一年以内に限定されており、長期使用が前提の産廃施設建設は不可能と考えられるが、この点の政府の解釈を求めたい。
 (4) 香川県は民間業者に対して、昨年九月に「原状回復命令」を出した後に、その方途を具体的に指導し、ただちに植林をさせている。現地調査でその形態を確認したが、高さが三十センチあまりの苗木が植林されているといっても、ただちに活着しているかどうかの判断は出来ず、まして伐採前の立木の形態とは一変していると指摘できるものであった。
     砂防指定地における「原状回復」の基準はいかなるものなのか。森林法にもとづく「原状回復」とは、「植林して一年後に活着状況を見た上で判断する」(香川県森林保全対策室・高松営林署調べ)としているが、一方で砂防指定地では植林後にただちに「原状回復」が判定できる合理的な理由を記されたい。
 (5) 産廃施設建設が計画されている周辺・上流には、五十一年の土石流被災後に、既存の砂防ダム五ヵ所に加えてさらに五ヵ所の砂防ダムを設置し、平成九年には一ヵ所を追加着工したことで計十一ヵ所の砂防ダムと、林務関係の谷止工が二十ヵ所設置されている。
     この一帯は「土石流危険渓流」にあたり、下流には池田町の人口の半数が居住する民家が集中している。そもそも、このような立地条件でも産廃施設建設の是非が論じられるのかどうか。砂防ダムや谷止工にも、巨大災害時には役割の限界があることを踏まえて、同計画地の立地条件に対しての責任ある見解を求めたい。
 (6) 香川県は「豊島」の深刻な違法投棄と環境汚染に直面し、その困難な解決に国ともども取り組んでいるはずである。厚生省によれば、産廃施設やその予定地が「砂防指定地」であったり、またその一部を含んでいることは「前例がない」とのことである。
     あえて、説明するまでもなく産廃施設に土石流が襲いかかり、重大な環境汚染を発生させることを回避するために、これまでは計画さえされてこなかったのである。しかし、香川県砂防課は、違法伐採を一年間黙認し、「沈砂池」「防護壁」などを産廃施設建設を前提に指導に及んできた。あらたな災害による複合汚染を起こさないために、これを放置してはならないと考える。政府の見解をただしたい。
 (7) 同計画予定地の一キロ下流には、町水道の取水口があり、またこの地域一帯は豊富な地下水を汲みだして飲料水・手延べ素麺・果樹園などの水源として使用されている。人口集中地から二キロしか離れていない場での産廃施設建設計画の危険をどのように考えるのか。
 (8) しかも、産廃施設を計画している業者は「不法投棄」で県と町の注意・指導をうけつつも、不法投棄を継続して、付近の林道を無許可でルート変更をしたり、野焼きも行うなど不法行為を重ねている。
     同計画地の砂防指定地の立木を違法伐採したのも重ねて指摘のとおりである。豊島の場合も民間業者のたび重なる嘘と不実、行政の監督不行き届きが被害を甚大なものとした。もう少し早く住民の声に耳を傾けていれば、ここまで被害を大きくする前に対策を打つことが出来たというのが、関係者・専門家の一致した見方である。
     小豆島池田町の住民は、産廃施設の計画に大きな不安をもち、反対の声も強い。国は、豊島の教訓に学んで住民の声を聞き、不法行為を重ねる業者に厳しく対処することが必要ではないか。
     二十一世紀の子々孫々の時代に恥ずかしくない答弁を求めるものである。

 右質問する。





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