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平成十年六月二日提出
質問第四一号

「遺伝子組換食品」の表示義務に関する質問主意書

提出者  大野由利子




「遺伝子組換食品」の表示義務に関する質問主意書


 「遺伝子組換食品」の輸入許可が始まって以来、国民の間にその安全性に対する不安がつのっている。厚生省は、現在行っている食品の安全評価指針に基づいて、遺伝子組換食品の安全性を確認したとしているが、疑問視されているのは遺伝子組換食品のような新しい作物の、長期における影響までも判断できるかどうかである。厚生省が当初安全として許可し、後に問題を引き起こした例として、カネミ油症におけるPCBやL ― トリプトファン、記憶に新しいものとしてミドリ十字社の血液製剤など、枚挙にいとまがないため、国民の不安の声は当然のことと思われる。実際にこの遺伝子組換によって作られた作物が早くも予期せぬ事態を生んでいる。例えば、モンサント社の除草剤耐性ワタの二割に異常が起き、ワタのボールが変形したり落ちてしまったりしていた。これによりかなりの損失を被った農家もあると報告されている。このような予期せぬ事態が現在輸入を許可されている食物についても起こりえないとはいえない。
 そのような不安を背景に、「選択の自由を与えるための表示義務を」という声が消費者団体を中心にあがっている。読売新聞実施の世論調査、東京都地域婦人団体連盟、東京都など各種のアンケートでは、七割から九割の圧倒的多数が「表示の義務付けは必要」などと答えている。しかし、このような要望に対し、行政側は、作物の分別集荷がなされていないことを理由に、表示が困難であるという回答を出している。流通の段階で分別されずに来たものを分別するためにはコストがかかるという。
 このように行政による対応が遅々として進まない中で、民間団体で「非遺伝子組換食品」の表示を行い始めたところもある。一部の生協では、「遺伝子組換大豆不使用」などの掲示を出し、消費者が遺伝子組換食品かどうか判別できるようにした。大阪いずみ市民生協は、昨年十月にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法と呼ばれる、遺伝子組換食品を独自に判別する試験法を導入した。また、民間企業の兼松は、食品だけでなく生産・流通実態まで調べて、検証できれば「非遺伝子組換食品」として認証する業務を始める。この検査業務にかかる費用は一件当たり六万五千円程度であり、消費者の選択の自由に応えるためには高すぎる額ではないと思われる。
 表示義務不要論の根拠の一つとして、多くの欧米諸国でもいまだ表示義務付けが行われていないという事実が行政側から説明された。しかし、他のEU諸国が表示義務付けに踏み切る前に、オランダが消費者団体と食品産業界と協力し、早くから表示義務付けに踏み切っている。それに引き続き、欧州連合(EU)も、今年五月に大豆やとうもろこしなどの遺伝子組換食品の表示義務化を農相理事会において承認するなど、検討段階を終え、具体的な方向へと動き出している。このような状況を鑑みると、欧州各国では既に表示義務付けに対するコンセンサスがまとまったと言えるのではないだろうか。
 以上のような状況を踏まえ、次の質問をさせて頂く。

一 食品は健康に与える影響が極めて大きい。消費者は毎日の食卓の品が、「遺伝子組換食品」か「非遺伝子組換食品」かを「知る権利」があり、「選択の権利」を有すると思うが、どうか。
二 万が一、遺伝子組換食品による人体に対する何らかの害が認められた場合、これらの食物の輸入、栽培また販売許可をした責任を誰がどのように持つのか、事前に明確にすべきであると考えるが、どうか。
三 欧州連合は遺伝子組換食品の表示義務化を農相理事会で承認したが、大豆の一人当たり摂取量がはるかに多い日本で、対応が欧州より遅れているのはなぜか。
四 「遺伝子組換食品」「非遺伝子組換食品」の選別、また表示方に関して、生協や民間企業の兼松が行っている方法を参考にしていくことは可能であると考えるが、現在、それに対する調査、検討は行われているか。
五 同様に、オランダで実施されている選別、表示方を参考にすることも可能であると考えるが、これに対する調査、検討は行われているか。

 右質問する。





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