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平成十年六月十八日提出
質問第七〇号

「薬害エイズ問題」に関する質問主意書

提出者  枝野幸男




「薬害エイズ問題」に関する質問主意書


 薬害エイズ訴訟和解から2年以上が経過した。反省、謝罪し、こうした問題を二度と起こさないことを誓ったはずの厚生省であるが、原告と約束した碑の建立を巡る交渉での姿勢、今までないとされてきたテープなどの新証拠の出現、引き続き行われる製薬業界への天下りなど最近の様々な動向を見ると、その誓いを疑わざるを得ない。悲しみの中にある遺族や現在も被害に苦しむ患者・感染者がいる中、問題の風化は許されない。何よりも、こうした姿勢をとり続ける限り、またもや悲惨な薬害を繰り返しかねない。
 したがって、次の事項について質問する。

一 「薬害根絶誓いの碑」建立について
  薬害エイズの重大な被害を後世に伝え、薬害根絶への厚生省の誓いを世に広く示すための「薬害根絶の碑」の建立に関し、一九九七年八月五日、東京・大阪両HIV訴訟原告団は、小泉厚生大臣出席のもとで協議を行い、十月九日付けで同協議の「議事確認書」をとりかわした。
  ところが、その後の協議において、厚生官僚は、薬害「根絶」の文字を碑に刻まないなど確認事項から大きく後退した提案を繰り返している。
  こうした現状を、内閣として正確に把握し、指導していくべきと考える。特に、合意に携わった小泉厚生大臣の監督責任は重大である。よって、以下質問する。
 (一) 一九九七年八月五日の協議内容を受けた、十月九日付け議事確認書の合意は現在も当然有効であると考えるが、どうか。
 (二) 同議事確認書において、「両原告団が要求している『薬害根絶誓いの碑』について碑を建立する意義を認め、その実現を図る。この具体化のため、その実現を図る。」とある。確認書には「薬害根絶誓いの碑」との明確な文言があり、その修飾語として「両原告団が要求している」とある。それにもかかわらず、原告の思いの根幹である「薬害根絶誓いの碑」「薬害根絶」等の碑名、文言を碑に書き込みたくないとする理由は何か。
 (三) 厚生省側にいかなる理由があるにせよ、確認書を誠実に読めば、当然「薬害根絶誓いの碑」「薬害根絶」等の碑名、文言を碑に書き込む方向で、再検討すべきと考えるが、厚生大臣はどう考えるか。
 (四) 設置場所についても、厚生省本省の敷地内に建立することは認めたものの、多くの人々の目にふれる場所とは言えず、「薬害根絶を多くの人々に対し誓う」という碑の趣旨から考えると不適切と考えるが、どうか。
 (五) 同議事確認書に沿って、厚生省は、原告と碑名・碑文、設置場所を巡る協議を続行すべきと考えるが、厚生大臣はどう考えるか。
二 「薬害エイズ公判」における新証拠について
  六月一七日に開かれた松村元生物製剤課長の公判において、真相究明の重大な手がかりとなる厚生省エイズ研究班の録音テープの存在が明らかになった。国会の調査、厚生省の一連の内部調査ではその存在すら明らかにされなかったものであり、資料を隠していたのではないか、さらに隠しているのではないかとの重大な疑いが生じる。よって、以下質問する。
 (一) 検察庁は、このテープをどこからどのように押収したのか。
 (二) 厚生省は、このテープの存在を認識していたか。認識していたとすれば、公開しなかったのはなぜか。認識していなかったとすれば、一連の国会での追及、内部調査にかかわらずこのテープの存在を把握できなかったのはなぜか。
 (三) 検察庁は、このテープの他に、エイズ研究班でのやりとりに関するテープ、議事録、厚生省内部調査で明らかになった以外の内部文書等を押収した事実はあるか。あるとすれば、どのようなものか。具体的に答えよ。
三 厚生省薬務官僚の製薬企業、業界団体等への天下りについて
  元厚生省薬務局安全課課長が、本年四月、製薬企業の団体である大阪医薬品協会の理事長に就任していたことが明らかになった。強い批判を浴び、総理大臣もかつて懸念を表明した薬務官僚の製薬業界への天下りが相変わらず行われている。よって、以下質問する。
 (一) 事務次官、官房長、薬務(現医薬安全)局長、薬務担当審議官、薬務(現医薬安全)局の課長、課長補佐以上の各役職を歴任したものが、九六年以降製薬企業及び業界団体、及び薬品の製造や安全性に関連のある特殊法人、公益法人に再就職した事例を、該当役職、厚生省での最終役職、退任日、再就職日、再就職企業・団体名、役職についてすべて答えよ。
 (二) 上記のような天下りについて、厚生省は適切と考えるか。その理由は何か。
 (三) 九六年九月に発表した自粛措置は、現在も継続中か。継続中であれば、遵守されていると考えるか。継続していないとすると、措置をやめた理由は何か。
 (四) 橋本内閣総理大臣もかつてこうした天下りに懸念を表明したとの報道は事実か。
 (五) 事実とすれば、現在も同様の認識と考えてよいか。今後、何らかの措置を講ずるべきと考えるがどうか。

 右質問する。





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