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平成十年八月五日提出
質問第二号

今次参議院選挙における「出口調査」、および投票場の管理権等に関する質問主意書

提出者  北村哲男




今次参議院選挙における「出口調査」、および投票場の管理権等に関する質問主意書


 公職の選挙は、公職選挙法に規定されるところであり、公正性を保障するため厳格ともいえる諸条件が付されており、その執行にあたっては国民有権者の疑念を惹起するようであってはならない。特に国政を担う衆参両議院の選挙においては強く要請される。
 ところで、今次第十八回参議院議員通常選挙(平成十年七月十二日執行)において、政府要人は投票時間中にもかかわらず、選挙動向の大筋を掌握したと報じられている。これは、報道機関の行った「出口調査」なる調査情報が、報道の目的以外に意図的に流出した結果である。
 「出口調査」なる調査情報を、投票時間中に知り得るとすれば、得票割合などが推測でき、その時間以後の投票人に対して票の割り振りなど恣意的な操作が可能となってしまい、よって、このような情報の流布が白日のもとに敢行されるならば、選挙の公正性は一挙に崩壊するであろう。
 この度の政府要人の行動は、公正かつ静謐な中で行われなければならない公職選挙への冒涜であり、我が国の議会制民主主義への侮辱であって、看過できない。
 また、「出口調査」は、名のとおり投票場出口が地理的要件であることから、投票場の管理権ならびに投票の秘密保護との関係においても問題があると考えられるため、以下、諸点について質問する。

一 内閣官房長官は、内閣の要として首相官邸にあっては最たる高官であり、いうまでもなく公人である。その日程は逐一管理把握されているところと考えるが、土曜日・日曜日を含むいわゆる休日の日程管理はどのような仕様となっているのか、明らかにされたい。
二 平成十年七月十二日(以下、日時はすべて平成十年である。)の村岡官房長官(以下「前官房長官」という。)の行動日程は、把握・保管されているか。されているのであれば、当日正午以降午後八時までの行動を明らかにされたい。
三 七月二十六日朝日新聞朝刊報道によれば、七月十二日夕方、前官房長官は竹下登元首相(以下「元首相」という。)邸を訪問したとあるが、事実か。また、滞在時間および同行・同席の者の氏名を明らかにされたい。
四 三の訪問の際、当日執行された参議院議員選挙の「出口調査結果」が供されたとのことであるが、その資料の名称は、これで正確か。および、その資料は単一か複数か、明らかにされたい。
五 四の資料の原本作成者は誰か。また、誰の手により複製されたものか。なお、三の記事によれば「政府関係機関や一部報道機関の」とあるが、事実か。事実ならば当該機関の名称を明らかにされたい。
六 四および五にいう資料は、前官房長官が元首相邸を訪問する前に、すでに入手していたものであるか、また、その入手先を明らかにされたい。また、その資料は現在も保管され、求めに応じて提示できるか。なお、このような資料は、官房長官が職務上必要とするものであるか、明らかにされたい。
七 公職選挙法に基づく投票場の借用に関して、借用期間中、投票場の管理権は誰に属するのか。その管理権が及ぶのは、投票箱が設置されるいわゆる会場のみか、あるいは、会場の属する建物全体か、更には敷地にも及ぶか。なお、その始期および終期はどうなるのか、明らかにされたい。
八 不在者投票においても「投票場」の概念はあるか。あるとすれば、七と同様の質問に対して、明らかにされたい。
九 投票場の入場は厳格に制限されている。ところで、党首の投票場面などを紙上で散見することがある。当然、記者(カメラマン)の入場が前提となるが、この入場許可は、如何なる規定に基づくものか、明らかにされたい。
十 投票時間の途中(例えば正午のニュース)に発表される「投票率」は、選挙人Aの、あるいはBの投票行為(投票をしたか、まだしていないかを含め)の調査集積に他ならないが、このような調査内容を投票時間中に公表するのは投票の秘密厳守に抵触するおそれはないのか。なお、この中間発表は、誰の要請によるものなのか、あるいは公職選挙法上の必要欠くべからざる行為なのか、明らかにされたい。
十一 投票の秘密は、投票されなかった被選挙人のあるいは政党の名誉を守り、また投票された被選挙人と政党においては後続の選挙人に無用の牽制あるいは抑制を働かせないためにも、投票時間中にあっては特別に厳守されなければならないといえる。選挙人といえども、自らの投票結果をみだりに他者に口外することは、投票の秘密を犯すことにならないか、明らかにされたい。
十二 現今の「出口調査」なる所為は、十一の観点から、投票の秘密を侵害するおそれはないのか。もし、この所為が是認・保護されているならば如何なる法理に基づくのか、明らかにされたい。
十三 いわゆる「出口調査」は、何人においても許容される所為なのか。民間人(団体)、政府関係者、報道関係者の間に差異はあるのか、明らかにされたい。
十四 報道機関の取材は、目的以外に漏洩しないことを条件に成立している。三の報道によれば、この条件から大きく逸脱していることになる。また「出口調査結果」なる資料を投票時間中に入手し、これをもって談じた政府要人の行為は、公職選挙法の精神に違背すると思われる。公職選挙法を所管する自治省はこのような行為に関し、調査ないし事情聴取、または対応策を検討する用意はあるのか、明らかにされたい。

 右質問する。





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