衆議院

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平成十年十月六日提出
質問第一九号

財団法人交通遺児育英会に関する質問主意書

提出者  石井紘基




財団法人交通遺児育英会に関する質問主意書


 平成一〇年三月二五日と五月一三日の二回にわたり、衆議院決算行政監視委員会で、財団法人交通遺児育英会(以下、育英会という)への天下り問題、内部の混乱と変質について問題として取り上げた。しかし、その後の状況は、二回にわたる国会議論をねじ曲げ、更に育英会の運営は混迷を深めている。ついては、育英会の運営が正常になされることを願う立場から、以下の質問を行う。

一 育英会の理事会・評議員会の定数割れについて
 1 育英会の寄付行為に定める理事会の定数は一五人から二五人であり、評議員会の定数は一〇〇人から一五〇人であるが、現在は理事が一四人、評議員は九四人と聞いているが、間違いはないか。
 2 理事会および評議員会のどちらも定数を欠いた状況は、正常に運営されていない極めて異常な状況、あり得るべからざる状況であると考えるが、総務庁はどう考えるか。
 3 平成六年六月に武田豊会長が辞任して以来、今日まで会長職は空席のままである。かかる状況を総務庁はどう考えるか。
   さらに、育英会議事録によれば、平成九年三月二五日の第五六回理事会において、「本人が承諾した場合は、その時点において会長に互選されたものとみなす」と三鬼彰氏を条件付きで会長に互選し、宮崎理事長が「三鬼さんのところに行って話し合いをする」との約束をした。しかし、宮崎理事長は三鬼氏とは話し合いをしていない。穴吹専務理事に会長就任を打診するよう指示したのみで、穴吹専務理事も三鬼氏に電話の一本をしていないと聞く。この事実を総務庁はどう考えるか。
   もし、事実関係を掌握していない場合は、直ちに調査して報告とともに見解を明らかにされたい。
 4 平成九年七月から平成一〇年三月までの九か月の長期にわたり、二人から三人と定められている監事が定数割れして一人であった。さらに今回、評議員会が定数割れしてから三か月、理事会が定数割れしてから一か月が経過していると聞いているが、長期にわたり定数割れの状況が放置されている。長期にわたり問題を放置・先送りする業務執行は、宮崎清文理事長、穴吹俊士専務理事ら執行部が責務をまっとうしていないものと考えるが、総務庁としてはどう考えるか。
 5 平成六年四月一日に、宮崎清文氏が育英会の理事長に就任して以来四年六か月になるが、この間に、いわゆる「あて職」交代や死亡などによる退任を除く辞任は、理事一一人、評議員五八人、監事二人の多数を占めていると聞いている。辞任が、宮崎氏が理事長職にある時期に集中しているとも言われている。多くの理事・監事・評議員の辞任を招き、定数割れを引き起こした宮崎理事長の責任は極めて大きいと思うが、総務庁はどう考えるか。
二 育英会への「天下り」、総務庁による「育英会乗っ取り」問題について
 1 育英会の現理事長である宮崎清文氏は、元総理府総務副長官であり、現総務庁交通安全対策室の初代室長であり、同室在職経験者がつくっている任意団体「総交会」会長であると認識しているが、間違いないか。
 2 平成一〇年五月一三日の衆議院決算行政監視委員会で、「育英会理事の改選の経緯と題する総務庁内部資料(別紙添付)」は当時の長澤孝治交通安全対策室参事官補が書いたものであることを確認した。その内容は、「@総務庁からも理事を送り込む。A課長クラスを送り込む。B文部省、運輸省、厚生省の次官経験者の若返りをお願いする。C常任理事の交替には的場次官、橋本大蔵大臣の了解が必要。」などである。この「総務庁内部資料」は、総務庁が育英会へ理事を送り込むことを考え、そのためには、各省庁との調整が必要であると、総務庁が認識していたことだと考えられるが、どうか。
 3 「総務庁内部資料」によれば、平成三年一月に「総務庁からも理事を送り」とある。そして、平成三年三月中旬、総務庁交通安全対策室長の徳宿恭男室長から宮崎清文氏を理事にすることと総理府総務庁から職員を課長(待遇)で採用するよう、久木常任理事に指導・要請があった。三月下旬には、現衆議院議員・山本孝史君が育英会の事務局長として、平成三年度事業計画・収支予算の事前協議に出席した席上で、育英会として総務庁の指導・要請を受け入れる発言を、久木常任理事がした。以上の事実を本人から確認をとっている。宮崎氏が育英会の理事に就任したのは、総務庁が平成三年一月に、総務庁から育英会に理事を送り込むことを決め、三月に育英会がそれを受け入れた結果だと考えていいか。
 4 育英会の穴吹専務理事は、本年八月末のTBS「噂の!東京マガジン」の取材に対して、「武田豊会長、石井栄三理事長が、宮崎氏に理事就任を要請した」「理事の選任は一部の新聞報道のように総務庁が計画したものでもなく、省庁間調整を図った結果でもない」旨の回答をした上、TBSへの回答文書の写しを、専務理事名で育英会の理事・監事・評議員に送付したと聞いている。
   当然のことながら、育英会は決算行政監視委員会の議事内容を承知しているはずであり、議論を承知の上で、議論を覆す公式見解は、国会を侮辱するものである。総務庁は、TBSへの育英会回答文書の指摘部分の内容が妥当だと考えるか。
 5 宮崎氏が理事に就任した翌平成四年に、いわゆる「総務庁内部文書」にあるとおり、総務庁OBが「課長クラス」として育英会に就職し、その後、宮崎氏が理事長になると事務局次長、参事役と昇格し、育英会の事務局幹部として育英会を牛耳った。定年退職の後任は総務庁交通安全対策室のOB(「総交会」メンバー)が就いた。その者は、平成八年一〇月から一二月頃、監査法人から「不必要な当局の介入」と監査報告書に書かれるような行為に関わり、かつ平成九年八月には、五十嵐元交通安全対策室長のお墨付きをもらって、育英会管理職会議(IKK)なる管理職組合を結成し、育英会を混乱に陥れ、平成一〇年七月末日に六五歳で定年退職に至った。
   しかるに、宮崎理事長は、育英会事務局の大反対を押し切り、過去三〇年の事務局の人事決裁ルールを無視して、その定年退職の「総交会」メンバーに、平成一〇年八月一日付で手書きの「嘱託採用辞令」を発行し、現在、事務局にも属さない理事長個人の私兵として使っていると聞く。事務局を無視する宮崎理事長・穴吹専務理事の育英会運営によって、事務局は大混乱に陥り、職員の士気が著しく低下していると聞く。総務庁はこの事実を掌握しているか。この運営を総務庁はどう考えているか。
 6 前項二の5で指摘したとおり、元総理府総務副長官で総交会会長が理事長に就任し、その理事長が総交会メンバーを事務局幹部に据えたり、事務局に属さない理事長個人直属の特命職員(職制規程に定めのない職員)に据えたりして、育英会を牛耳る実態を見聞きする。こうした運営を、三月二五日の決算行政監視委員会で「育英会への天下り・乗っ取りと言わざるを得ない」と指摘したが、なんら改善がなされている様子もなく、むしろエスカレートしているように考える。私から「天下り・乗っ取り」と指摘されてもしかたがない状況だと考えるが、総務庁はどう考えるか。私の指摘に対する反論も求める。
 7 育英会の速記録的な議事録を読むと、宮崎理事長、穴吹専務理事らは、育英会の運営に関する理事の発言を遮り、議事が混乱する場面を多く見かける。さらに、聞くところによると、理事が資料の提出を要求しても拒否したり、理事の文書質問に誠実に答えていない。このことは、執行機関として理事の審議権、運営権を侵すものであると考えるが、総務庁はどう考えるか。さらに、こうした運営によって理事会は機能しない状況となり、ひいては宮崎理事長、穴吹専務理事の独裁運営となっていると聞く。総務庁は、育英会の理事会が正常に機能することに責任を負っているはずだが、現在の育英会の理事会は、議決方法、議決内容、議決結果について出席理事が共通の認識を得られないような状況、正常に理事会が機能していない状況ではないか。総務庁の認識はどうか。
 8 宮崎清文氏が理事に就任した平成三年以後、血気盛んだった育英会は内紛続きとなり、寄付者の期待を裏切っていると指摘してきた。こうした現状に対して、平成一〇年五月二八日の理事会および評議員会に始まり、七月一日の臨時理事会、七月一六日の理事・評議員懇談会に於いて、宮崎理事長と穴吹専務理事に対して辞任要求の声が出ており、七月一六日の理事・評議員懇談会に出席した理事・評議員(執行部三人を除く)一一人の内六人が辞任を要求したと聞いている。理事・評議員から辞任要求が出ている事実もあり、かつ総務庁が宮崎氏の理事就任に深く関わっていることは明らかであることを考えあわせれば、総務庁は宮崎理事就任以前に戻すことを考えるべきだと考えるが、いかがか。
三 不明朗な運営とその責任について
 1 「無給のはずの理事長に多額の手当とハイヤー代の支給」「三年間で三千万円もの弁護士費用の支出」「個人の裁判の会合費の支出」「仕事もないのに、職員・嘱託に採用」など、これまでに多くの無駄遣いが指摘されてきた。こうした無駄遣いの是正と責任の追及は、育英会の私的自治で行われるべきではあるが、総務庁は現執行部は私的自治・自浄能力を有していると考えているか。
 2 多くの国民の寄付によって成り立っている育英会の性格を考えたとき、無駄遣いが指摘されたり、社会的な問題になるような運営を直ちに是正すべきだと考えるが、総務庁はどう考えるか。
四 学生寮「心塾」の運営について
 1 平成一〇年八月九日に放映されたTBS「噂の!東京マガジン」によれば、育英会が経営する学生寮は、定員二一二人のところに四八人しか入寮していない状況である。育英会の決算書によれば、平成九年度の学生寮運営費は一億円余で、一人当たり運営費は約二二〇万円にものぼる。年間寮費は二〇万円であるから、一人につき二〇〇万円が給付されていることになる。年間の大学奨学金(私立特別貸与)七二万円の貸与を考えると、同じ奨学生に対する教育援助としては格差が有りすぎるのではないか。総務庁の見解を求める。
 2 TBS放映の中で、「余っているなら、他の困っている遺児を学生寮に入れるようにして欲しい」と交通遺児の寮生たちが発言していた。寄付による多額の資金で建設し、多額の運営費がかかっている。入寮者が増えても運営費はさほど上昇しないし、現に災害遺児が一人入っていると聞く。交通遺児の権利を侵さない程度で他の遺児の入寮を許可することは検討できないのか。施設を有効に使わないのは、反社会的行為とも言える。総務庁はどのように考えているのか。
 3 穴吹専務理事が、学生寮「心塾」の塾長をしていた平成九年六月一九日に、心塾勤務職員によって、「先輩は君達後輩の指導に当たり特定の思想をうえつけていると@思うA思わないBその他」というアンケート調査が行われた。公益法人が経営する学生寮で、こうした思想調査が行われたことを、政府は承知しているか。また、こうした調査の実施をどう考えるのか。
   なお、穴吹専務理事が塾長就任の一年半の間に、思想調査だけでなく数々の問題が起き、学生から塾長解任のお願いが出るなど混乱し、今も学生の不信感はぬぐい去られていないと聞いていることを付け加えておく。

 右質問する。




別紙








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