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平成十年十月十六日提出
質問第二三号

予防接種健康被害者の救済に関する質問主意書

提出者  井上義久




予防接種健康被害者の救済に関する質問主意書


 平成六年に改正された予防接種法の附則第二条には、施行後五年を目途とする規定見直し条項が定められている。この規定に従って、現在政府では公衆衛生審議会伝染病予防部会のもとに予防接種問題検討小委員会を設置して、予防接種をとりまく総合的な状況分析とともに健康被害救済制度を含めた予防接種の在り方など我が国の予防接種行政全般にわたる検討を行っている。
 法に基づく予防接種は、伝染の恐れのある疾病の発生及び蔓延から国民を守る集団防衛・社会防衛という公益の実現のために行われてきた。しかしながら、実施に当たって医師等に特段の過失がない場合でも、予防接種によって重篤な副反応が起こり、疾病、障害、死亡等の極めて重大な健康被害が生じることがあり、こうした予防接種健康被害に対しては、国家補償の観点から予防接種法に給付等の救済措置が定められている。平成九年末現在の給付認定者は、医療費医療手当に係る疾病認定者が一六六九名、障害児養育年金又は障害年金に係る障害認定者が四四二名、死亡一時金・葬祭料に係る死亡認定者が八〇名となっている。
 さて、後遺障害を伴う予防接種健康被害者の介護者(家族)への援護が緊急の課題となっている。これまで在宅患者の介護は、家族特に母親の献身的な努力と多大の犠牲の上に成り立っていた。近年、医療の発達により予防接種健康被害者の余命の延長がはかられている。それに伴って介護者(家族)の高齢化が進み、家庭内だけでは十分な介護が困難な状態に至っている。平成六年度改正によって障害児養育年金・障害年金の額の引き上げとともに介護加算が認められたが、介護加算の額はスモン患者の介護費用及び健康管理手当の額の二分の一程度で、一級障害児(者)で月額七一、四〇〇円、二級で月額四七、六〇〇円という低額にとどまっている。そのため介護者が病気やけがで健康を害した際、その経済的制約のため適切な民間介護サービス等が受けられない状況も現出している。また介護給付の位置付けも法には明文化されず、障害児養育年金・障害年金の一部として加算されるという曖昧な形となっており、同じ国家補償の観点から法制化された「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」における介護手当の支給規定との法制上のバランスを欠いている。
 予防接種健康被害者は、公共目的達成のために国家が行った施策の無過失の被害者であり、多数(国民)のための犠牲者である。よって政府は国家補償の精神に基づき、患者とその家族に対して適切十分な措置を講ずるのが当然である。予防接種法の見直しに際し、予防接種健康被害者とその介護者の実態を十分に把握した上で、被害者家族の要請に応えて救済措置の拡充を図ることは国家として当然の責務と考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 財団法人予防接種リサーチセンターを中心に、本年度中に予防接種被害者の実態調査が行われることになっている。調査に当たっては、書面によるアンケート調査にとどまらず、患者家族の聞き取り調査など質的調査も行うことが重要である。また調査結果については、現在行われている予防接種問題検討小委員会の検討及び議論に十分反映されなければならないと考えるが、政府の方針と見解を伺いたい。
二 間断なき介護、社会的偏見、将来への不安等々、被害者の家族は精神的にも肉体的にもそして経済的にも多大な負担が強いられている。被害者とともにその家族に対しても適切十分な支援を行うことは、国家補償精神に基づく国の当然の責務であり、よって最低限介護にかかる給付については、法の上でも明文化されるべきものであると考える。政府の見解を伺いたい。
三 現在の被害者家族の大きな負担を考える時、介護に関する給付は、他の薬害健康被害者に比しても十分な額とすることが必要である。また介護者(家族)の高齢化が、予防接種被害者家族にとって極めて深刻な問題となっていることに鑑み、先の実態調査をふまえた上で、国家補償の名にふさわしい介護者(家族)に対する支援策を講ずるべきだと考える。政府の見解を問う。

 右質問する。



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