衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十年十二月十一日提出
質問第五号

財団法人交通遺児育英会に関する質問主意書

提出者  石井紘基




財団法人交通遺児育英会に関する質問主意書


 平成一〇年三月二五日と五月一三日の二回にわたり衆議院決算行政監視委員会で、さらに一〇月六日に質問主意書(以下、質問主意書(一)という)で、財団法人交通遺児育英会(以下、育英会という)への天下り問題、内部の混乱と変質について問題として取り上げた。しかし、その後の状況は、再三にわたる質問および主務官庁の指導にもかかわらず、育英会の運営は混迷を深めるばかりである。ついては、育英会の運営が正常になされることを願う立場から、以下の質問を行う。

一 育英会の理事の選任について
 1 育英会の寄附行為に定める理事会の定数は一五人から二五人であるが、平成一〇年八月二六日に定数割れして以来三か月以上が経過する。しかしながら、一二月五日付の産経新聞によれば、新たな理事選任をめぐって評議員会と理事長サイドが対立し、原案どおりの三人ではなく評議員会から修正提案がなされ出席評議員の過半数をとった「八人が議決されたとして処理するしかない」と主務官庁の総務庁が見解を示したにもかかわらず、宮崎清文理事長と穴吹俊士専務理事が納得せず、理事の補充が滞っていることが報じられた。かかる状況は極めて異常な状況であり、執行機関としての理事会および特に理事長、専務理事の責任は極めて重い。総務庁は、かかる異常な状況をどう収拾するつもりか。
 2 極めて異常な状況により、来春大学進学をめざす交通遺児たちの奨学生予約採用がずれ込み、受験時期を迎えても予約決定がもらえず、安心して受験できないことが予想される。
   理事選任問題の紛糾が早期に解決されないと、理事の登記が遅れ、年内に理事会の開催ができず、育英会は機能停止となり、奨学生の採用業務の停止が現実のものとなる。かつて、平成八年七月にも奨学金送金の遅れで交通遺児の学生に迷惑をかけたことが朝日新聞に報じられており、二度にわたり育英会の事業の根幹である奨学金貸与で交通遺児に迷惑をかけることは許されることではない。
   過去三〇年の育英会の歴史で、交通遺児に奨学金貸与について迷惑をかける事態になったのは、宮崎清文理事長ら執行部によってのみである。宮崎執行部は責務をまっとうしているとは言いがたい。総務庁は執行部の責任をどのように考えているのか。
 3 平成一〇年七月一六日に開催された育英会の理事・評議員懇談会の記録によれば、佐藤光房評議員から「理事会の定数の下限ぎりぎりではいつ定数割れになるかわからない。平成六年三月三〇日の評議員会で現場で汗を流した三団体の代表を理事にするとの評議員会決議を、放置した責任が宮崎理事長ら執行部にはある」旨の発言があった。そして、佐藤評議員の心配が現実になり、理事会が定数割れとなった。
   平成六年三月三〇日に「現場で汗を流した三団体から理事候補を推薦してもらい評議員会に付議するよう」評議員会が決議したことを、「決議があいまいだった」などと難癖をつけ四年半以上にわたり、執行機関としての理事会および宮崎理事長ら執行部は、棚上げにしてきた。
   このことは、平成六年三月三〇日開催の評議員会の議長を務めた宮原守男氏(弁護士)が、平成一〇年一一月二五日開催の評議員会に出席し、「現場で汗を流した三団体の代表を理事にする決議はあった。執行部は食い逃げした」旨の発言をしていることで明らかである。
   寄附行為第一五条「理事および監事は、評議員会がこれを選任し……」と、評議員会の重大な役割を定めており、牽制機関である評議員会の最も重大な機能である理事の選任の決議を棚上げにしたことは、理事会および特に宮崎理事長ら執行部が評議員会を支配するものである。さらに、評議員会の決議の棚上げは宮崎理事長ら執行部の背任行為である。
   総務庁は執行部の責任をどのように考えているのか。
二 育英会の会長の互選問題について
 1 平成六年七月八日に武田豊会長が辞任して以来、今日まで会長職は空席のままである。さらに、平成九年三月二五日の第五六回理事会において、「本人が承諾した場合は、その時点において会長に互選されたものとみなす」と三鬼彰氏を条件付きで会長に互選し、宮崎理事長が「三鬼さんのところに行って話し合いをする」との約束をしたが、同年五月二七日の臨時理事会で同理事長は「私が参る前に、大体サウンドした方がいいと思い、穴吹専務理事に行ってもらった。その結果、現段階では固辞するというお話だった」と回答した。宮崎理事長が三鬼氏に面談していないことは、質問主意書(一)に対する平成一〇年一〇月二〇日付の回答で確定した。
   質問主意書(一)で、三鬼氏への会長就任をどのように依頼したか、その事実関係の調査を総務庁にお願いしたが、穴吹専務理事の行動については回答がない。
   関係者の話によれば、育英会事務局の参事役および事務局次長から「穴吹専務理事は会長就任依頼を目的で新日鉄本社秘書部を訪問したことはなかった」との報告書が提出されている。それに対し、穴吹専務理事は「新日鉄秘書部に電話はしていないが、秘書に会った。面会日、面会者は忘れた。面会した秘書の名刺を探しているが見つからない。秘書は三鬼氏の会長就任には初めから乗ってこなかった。会長就任を固辞した」旨、理事会で回答したと聞く。
   総資産三四〇億円超の財団法人の専務理事が、日本を代表する企業・新日本製鐵株式会社の相談役に会長の就任をお願いする重大な案件について、秘書部に事前のアポイントの電話もせずに突然訪問したとする異常さ。突然の訪問に、対応した秘書部の方が、直ちに「会長就任を固辞する」との返答をしたとする異常さ。さらに、秘書部訪問の日時、面会相手の名前を忘れ、名刺を探しているが見つからないという異常さ。子どもじみた弁解としか言いようがない。
   宮崎理事長並びに穴吹専務理事は、会長就任依頼をしていないのに、「就任依頼に行った」と虚偽の発言をしたと断ぜざるを得ない。
   会長を補佐する理事長と専務理事が、育英会の業務を総理する会長職への就任依頼を、理事会が互選した三鬼氏にしたかしないかは、寄附行為に定める重大事項である。質問主意書(一)でも調査をお願いしたが、重ねて早急に調査を実施することを強く要望する。総務庁は調査実施の意思はあるか。また、調査結果を報告できるか。
 2 穴吹専務理事が三鬼氏に会長就任依頼に行っていないことが明らかになれば、宮崎理事長並びに穴吹専務理事の行為は、重大な「職責違背」であり「背任」であると考えるが、総務庁はどのように考えるのか。
   また、就任依頼に行ってないとすれば、直ちに理事長あるいは専務理事職を辞すべきだと考えるが、総務庁はどのように考えるのか。
三 執行機関としての理事会の責任について
  議事録によれば、育英会の今日の異常な状況について、平成一〇年九月二九日に総務庁は育英会の担当者を呼んで指導を行っている。その中で、総務庁は「執行機関としての理事会、特に理事長および二人の常勤の理事の責任がまっとうされていないと考えざるを得ない」と四回も発言している。
  育英会の理事には、関係官庁出身の次官や局長経験者、関係官庁推薦の有識者、損害保険関係の責任者の方々など高名な方が就任されている。しかし、二回にわたる国会質問に加え、二回目となる質問主意書で指摘し、さらに総務庁の指導が行われた育英会の運営にかかる重大事項を、「いわゆる名誉職だから」とか「非常勤だからわからない」と見て見ぬふりをして放置することは許されるものではないと考えるが、総務庁はどのように考えているか。
四 育英会への「天下り」問題について
  質問主意書(一)に対し、総務庁より「平成三年ころ、総務庁は宮崎清文氏を理事候補として育英会に推薦した」旨の回答があった。
  関係者の話によると、質問主意書(一)に対する回答を読んだ上で、穴吹専務理事は理事会で、「久木常任理事が使者に立ち、宮崎氏に理事就任の依頼をした。」旨の発言をしている。また、穴吹専務理事名で、同様の趣旨が記載された文書を、理事、監事、評議員全員に送っている。
  しかし、事実関係は次のとおりではないだろうか。
  平成三年三月二三日に、平成三年度事業計画・収支予算の事前協議に出席した席上で、育英会として総務庁の指導・要請を受け入れる発言を、久木常任理事がする。翌々日の二五日開催の評議員会で宮崎氏が理事に選任される。久木常任理事は、宮崎氏に就任依頼には行っていない。
  再三にわたり、国会で事実関係を正し、総務庁が宮崎氏を理事候補として育英会に推薦したことを認めているにもかかわらず、こうした穴吹専務理事の発言は虚偽の発言と断じざるを得ない。
  総務庁は、直ちに穴吹専務理事の発言の真偽を調査し回答を求める。また、公益法人の常勤の専務理事が虚偽と断じざるを得ない発言をすることに対して、総務庁はどのように考えるか見解を伺う。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.