衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十一年八月三日提出
質問第四五号

相続対策を目的として販売された『融資一体型変額保険』に関する質問主意書

提出者  臼井日出男




相続対策を目的として販売された『融資一体型変額保険』に関する質問主意書


 変額保険の被害、特に相続対策を目的とした『融資一体型変額保険』の問題は、残念ながら解決の道は未だに厳しい状況下にある。
 平成元年から三年ごろにかけて、土地の価格の急激な高騰により、相続税の心配をする主に首都圏に在住する相続予備軍の土地所有者に対して、生命保険会社と銀行が連携協力するという形で、一時払保険料を銀行が融資して生命保険会社の販売する変額保険に加入し、さらに銀行は相続が起こるまでは元利金を返済させることなく、金利についても貸し続けるという方法をとれば、相続対策に極めて有効であるとする販売企画のもとに、『融資一体』となって、銀行は多額の資金を融資し、生命保険会社は大量の変額保険を販売した。
 ところが、その方法による結果は、やがて多くの被害者を排出してしまい、一般個人が大手生命保険会社や銀行を大挙して訴えるという、日本の裁判史上でもかって類をみないような未曾有の訴訟が起こり、大きな社会問題となったのである。
 そこでそのような実情をふまえて、相続対策に有効であるとされて販売された『融資一体型変額保険』の問題点について以下の質問をする。
 なお、当方としても、変額保険が『融資一体型商品』として認可されたわけではないということと、『融資一体型変額保険』という名の保険商品があるわけではないということは承知しており、質問の主旨はあくまでも生命保険会社と銀行による変額保険の販売方法と融資方法に、すなわち、販売企画そのものに問題がありとの観点から質問をしているのであるということを、念のために付け加えておく。

一 相続対策を目的とした『融資一体型変額保険』の販売について
 (1) 平成元年から三年にかけて、銀行と生命保険会社が連携協力して相続対策に有効と称して、『融資一体型』で変額保険の販売をしていたことを認識していたか。
 (2) 認識していたとしたら、それはいつごろからのことか。
二 相続対策になる仕組みについて
 (1) 融資により変額保険に加入すると、どうして相続対策に有効となるのか、その仕組みを理解しているか。
 (2) 理解しているとすればそれはどういうものか。
三 契約の形態について
  相続対策を目的とした『融資一体型変額保険』の契約の形態は、被相続人が融資契約者と保険契約者になり、自らも被保険者となって、相続が起こると死亡保険金が出るものをAタイプとする。自らは被保険者とならず、配偶者や子を被保険者として、相続が起きても死亡保険金が出ないものをBタイプとする。
 (1) 右のような異なったタイプの契約があったことを、当時認識していたか。
 (2) 認識していなかったとすれば、現在は認識しているか。
四 相続対策を目的とした『融資一体型変額保険』の有効性について
 (1) 相続対策を目的とした『融資一体型変額保険』が多くの被害者を出してしまったのは、いわゆるバブルの崩壊により生じたものだと一般的には解されているが、実は、特にBタイプの場合などは最初から相続対策として無効なものであったということが数値的に証明されて、それを税法・税理の専門家も認めているという当方の調べがあるが、そのような情報を入手・把握しているか。
 (2) 入手・把握しているとすれば、それはいつごろのことで、どういう内容のものか。
五 『深山式残った財産の差額計算法』について
  当方が入手.把握している情報において、相続対策を目的とした『融資一体型変額保険』の相続対策としての有効性を検証するための『深山式残った財産の差額計算法』というものがあるが、それにより検証された資料によれば、Bタイプの場合はほとんどが最初から相続対策としての有効性が無いものであり、Aタイプの場合も保険契約者の平均余命を充たすことなく、相続対策としての有効性が途中から破綻してしまうというものであることが判明した。
  なお、『深山式残った財産の差額計算法』に関しては、一九九六年一一月に「金融ビジネス」、一九九七年九月に「週刊朝日」、一九九九年四月に「夕刊フジ」に大きく取り上げられているところである。
 (1) 『深山式残った財産の差額計算法』についての情報を確認しているか。
 (2) 確認している場合、その内容について検討したか。
 (3) 検討したとすれば、考え方や内容に間違っているところがあったか。
 (4) 間違ったところがあったとすれば、それは何処で、どういうことか。
 (5) 確認しているが検討していない場合、検討して右の(3)(4)について答えていただきたい。
六 被害が出るに至った背景や、その原因・要因について
  被害者は相続対策に極めて有効との勧誘者の言葉を信じて、銀行から融資を受けて変額保険に加入したが、その結果は相続対策に有効となるどころか、大変な被害を被ることになってしまった。そこで、その原因・要因は何であると考えるか、次の(a)〜(e)の中に該当すると思われるものがあれば選び、また、それ以外にもあれば(f)のところで述べていただきたい。
 (a) バブルが崩壊したから被害が出た。崩壊しなければ相続対策としては有効なものであったはずだ。
 (b) バブルが崩壊したから被害が出たのではなく、バブルの崩壊は被害をより拡大させただけであって、相続対策としては最初から無理なものであった。
 (c) 人の命にかかわるいつ起こるか分からないような相続問題に対して、短期的な勝負が決め手となるような株式などで運用する変額保険を当てるなど、木に竹を接げるようなものであり、しかも融資によって行わせるなどは、さらに火に油を注ぐようなもので、そのような販売企画を考えたことが、そもそも土台からして馴染まないものであった。
 (d) 払込保険料に対して実質的な数値とならない運用利回りの数値と、借入金額に対して実質的な数値となる借入金利率の数値を、分母が共通ではないので本来は同じ土俵の上では比較できないのにもかかわらず、借入金利率の方が運用利回りより低いからと比較させたこと。
 (e) 相続税が安くなるということのみを強調させて、解約返戻金の所得税・住民税を考慮させなかったこと。
 (f) その他の原因・要因。
七 責任の重さについて
  実際に大きな社会問題となり、このままでは住む家すらも失おうとしている窮地に追い込まれた多くの被害者が存在していることは紛れもない事実である。解決の道を裁判にだけゆだねるのではなく、行政としても何かできることはないかという視点でものごとを思考していただきたいと願うのであるが、『深山式残った財産の差額計算法』の検証にあるように、最初から役にも立たないものに加入させた、最初から役にも立たないものに融資をしたということが事実であれば、それは顧客に対する著しい背信行為であり、銀行と生命保険会社の責任は甚だしく重いのである。
  最初から役にも立たないものに加入させ、融資をしたということを裁判所が認めた場合、
 (1) 何らかの処分を考えるか。
 (2) 被害者の救済をどう考えるか。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.