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平成十一年十一月十七日提出
質問第七号

介護保険制度の見直しに関する質問主意書

提出者  山本孝史




介護保険制度の見直しに関する質問主意書


 介護保険制度が、平成十二年四月から実施される。これに対して、政府は半年間の保険料徴収凍結などの見直しを決めた。このことは、「保険料徴収とサービス給付は不可分である」という保険の大原則を崩すばかりか、今日まで介護保険制度の円滑導入のために必死で準備してきた市町村の努力を無にする暴挙である。
 十一月十七日に行われた衆議院厚生委員会の参考人質疑においても、市町村の首長の参考人からは「今になって制度の根幹を変えることは、現場の混乱を招く」「大きな変更は耐えがたい」などという意見が相次ぎ、困惑し混迷を深めている現場の声が一層明らかになった。
 したがって、次の事項について質問する。
 なお、本案件の市町村への影響の大きさに鑑み、国会法第七十五条の規定に従い、七日以内に答弁するように求める。

一 介護保険法に規定する、保険料の賦課徴収をはじめとする保険者たる市町村の介護保険事業運営に係る事務は、自治事務か法定受託事務か。
二 介護保険の第一号保険料の賦課・徴収権者は誰か。第一号保険料の賦課徴収に関する事項は、市町村条例で定めるべき事項と解されるが、いかがか。
三 国は、政府見直し案を根拠に、市町村が介護保険法の規定に基づき、条例の定めるところによって平成十二年四月一日から第一号保険料を徴収することを妨げることはできないと解するが、いかがか。
四 今般の与党三党合意に、「介護保険制度に関し、保険料に関わる部分は実施しない」とあるが、その具体的な趣旨を政府はどう理解しているのか。「保険料は徴収しない」と理解しているのか。
五 政府見直し案によれば、国は平成十二年四月以降半年間市町村が第一号保険料を徴収しないことができるよう、またその後一年間についても、経過的に第一号保険料を二分の一に軽減できるように措置するとのことだが、その具体的措置内容を明らかにせよ。
六 政府見直し案にある市町村への交付金の使途・目的は限定されるのか。限定されるのであれば、その使途は具体的にはいかなるものか。
七 政府見直し案が想定する施策を全国で実現するためには、単に未徴収・軽減徴収に係る歳入不足を補てんする財源措置をするだけでは不十分であり、各市町村保険者は、半年間保険料を徴収しない、あるいはその後一年間保険料の二分の一を軽減する内容の介護保険条例を制定することが必要になるのではないか。政府の見解を明らかにせよ。
  仮に条例制定が必要であるとすると、市町村条例で規定しなければならない事項及びその内容を明らかにせよ。
八 七の保険料徴収の免除あるいは軽減を補てんするための財政措置は、この措置の一部又は全部に従わない市町村、具体的には、平成十二年四月一日から軽減せず保険料徴収を実施する市町村や、同措置とは異なる割合・異なる基準での軽減措置を行って保険料徴収を行う市町村に対しても適用されるのか。
  適用されないとすれば、当該措置は保険料の賦課徴収に関し、事実上国の意向どおりの内容の条例制定を市町村に一律に強制するものにほかならず、市町村の条例制定権を侵害するものではないか。
九 介護保険法第百二十九条、第百三十条、第百四十六条等の関連条項を合理的かつ整合的に解釈すれば、法は、市町村が条例の定めるところにより、毎年度、年度の初日を賦課期日として、年度単位で第一号被保険者に対して保険料を賦課・徴収すべき旨規定しているものと解されるが、いかがか。
  しかるに、これら保険料の賦課徴収に関する事項について、政府見直し案を根拠に、法律改正を行わず、財政措置・行政指導その他の方法によって、その一部又は全部を事実上実施しないよう市町村に求めることは適法な措置といえるか。
十 政府見直し案の如何にかかわらず、介護保険法等の規定により、平成十二年四月から保険料を徴収することとした市町村があれば、年金保険者は、特別徴収義務者として、当該市町村に係る第一号保険料の特別徴収を行う義務を負うものと解するが、いかがか。
十一 政府見直し案の如何にかかわらず、年金保険者は、介護保険法施行法第十六条第一項に規定する、老齢退職年金給付を受ける者に係る通知を、厚生大臣の定める期日(平成十一年十一月三十日)までに、市町村に対し行わなければならない義務を負っているものと解するが、いかがか。
十二 介護保険法施行法第十六条第三項の趣旨は何か。同項は、制度発足当初の平成十二年度の保険料について、市町村に仮徴収の方法により保険料徴収を行うことができる権能を付与する規定にすぎないのではないか。
十三 年金保険者たる政府(社会保険庁)は、介護保険法施行法第十六条第一項に規定する通知を、いつ市町村に対して行うのか。
十四 厚生省は、介護保険法施行法施行令第五十五条に規定する厚生省令で定める額(平成十二年度の仮徴収に係る保険料の基準額)をいつ定めるのか。また、その額はいくらか。定めないとすれば、定めないこととすることが出来る条文解釈の根拠及び定めないこととする理由は何か。
十五 保険料徴収凍結のための交付金を補正予算に計上することは、財政法違反ではないか。

 右質問する。





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