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平成十二年五月二十六日提出
質問第三七号

広島大学歯学部第一口腔外科教授選および関連諸問題に関する質問主意書

提出者  保坂展人




広島大学歯学部第一口腔外科教授選および関連諸問題に関する質問主意書


 一九九六年五月二十三日、広島大学歯学部口腔外科第一講座教授に選出された人物の資質について疑問がある。地元医療関係者の指摘では教授就任後、地域住民や開業医の期待している悪性腫瘍を含む難手術をほとんど執刀できず、臨床講座の主任教授としての責めを果たしていないのが現状である。広島県内外の一万三千余人の署名が添えられ、歯学部および、文部省に(一九九六年九月二十五日、一九九七年三月十二日、同年十月十六日、一九九九年三月二十二日)教授選挙の問題性と臨床態勢の改善を求める要請がなされた。しかし、歯学部長、同付属病院長は「全く問題はなく、病院も正常に機能している」と繰り返し公言し、文部省へは「教授選考基準に基づいて行われており、内規も満たしている」と回答している。然るにこの四年間、地域の中枢医療機関としての機能と信頼は低下し、さらに不明朗な学位の授与が報道されるに至っている。文部省は、教育の場で生起しているこれらの問題を放置しており、この問題の先行きを深く憂慮するものである。よって、以下のとおり質問する。

一 教授選考について
 (1) 広島大学教員選考基準は「教授は教育能力を有し、次の各項のいずれか一つに該当する者でなければならない。1、学位を有する者 2、研究実績のある者 3、学術、技能に秀で教授上または学問上の業績のある者」と定められている。教授選考委員会は、全国公募、学内公募、追加公募と順次募集をしたが、教授選考にあたっては実際に研究、教育、臨床実績、資質などの必要資料の収集や検討を十分に行っていないものとうかがわれる。臨床医学系教授に不可欠な臨床経験、臨床能力を完全に無視しているが、患者は大学病院における高度医療を期待して受診する。こうした現状を妥当と考えるか。
 (2) 教授選考委員会の主要なメンバーである関連講座・第二口腔外科の教授は「説明するべく同氏について詳細に調べ整理していたが、言う機会がなく説明していない」と、教授選挙後、前任教授に発言している。この事実からも、選考手続きが不備であると思われるが、どうか。
 (3) 同教授が教授選考資料として提出した研究業績において、学内公募締め切りである一九九六年三月一日後、追加公募締め切りである同年四月八日までの一か月間に投稿された四編の論文がある。そのうち三編は、参考文献として記載しないまま他人の論文や学位論文のデータを流用し自分の論文としてファーストネームで投稿している。これは研究者としてあるまじき行為であり、国家公務員法第九九条信用失墜行為の禁止に抵触すると思われるがいかがか。
 (4) 同教授が提出した自薦書に記載された留学の記述に不正な点がある。教授が一九九二年四月十六日、文部省に提出した「海外研修承認願い」の中にドイツのハノーバ医科大学顎外科での研修を四十一日と記している。しかし、ハノーバ医科大学教授からの報告では「彼は四日ほど外科研修した」とされている。これは公正証書不実記載にあたると思うが、見解を問う。
二 地域住民に対する医療供給体制について
 (1) 氏が教授に就任して四年経過したが、手術経験がほとんど無く臨床経験も極めて乏しい彼は教授就任直後、自分の未熟を顧みず執刀した手術で、二〇〇〇年五月十六日の賠償命令判決を受けたものを含めて連続して三例の初歩的手術ミスを起こした。同教授はその後、悪性腫瘍などの難手術の執刀をしていない。彼はこの間に日本口腔外科学会認定医を申請しているが、却下されている。口腔外科教授として現在はもちろん、将来的にも地域住民およびその患者の負託に応えられない状況を良しとされるのか、見解を問う。
 (2) この四年間に、腫瘍などの疾患で広島大学第一口腔外科を受診している患者とそれを支援する多数の市民が「患者の人権と健康を守る会」を結成し学部長、病院長に「臨床経験の乏しい教授では不安だ」と再三訴えたが無視されてきた。これは地域医療の軽視であり、患者主体の医療になっていないと思うが、どう考えるか。
三 教育、研究者としてのモラルについて
 (1) 広島大学歯学部博士号は甲種(大学院終了)と乙種(その他)に区分されて学位申請手続きが分けられている。乙種も甲種とおなじ論文の形で申請できるが乙種には論文に「論文受理発刊証明書」の添付を必要としている。ところが現実には、発刊証明書の添付のないまま申請され学位が授与されているケースがある。モラルの問題であるが、見解を問う。
 (2) 広島大学学位規定歯学研究科内規第九条および研究歴期間に対する申し合わせ規定に抵触する(研究歴不足)状態で歯学博士(乙種)が授与されている。また主任教授が研究歴を自由に操作して内規違反を犯している。これらは、明白な違反行為であり国家公務員法第九九条に抵触すると思われるが、いかがか。
 (3) このように内規を無視して学位が授与されている。なぜ国立大学が研究歴不足のまま学位を授与する必要があるのか理解に苦しむ。また一九九八年九月六日号の『サンデー毎日』には、学位授与に社会常識を逸脱した金銭の授受が伴っている旨、報道された。これは刑法第一九七条から第一九七条の四に抵触する行為と思われる。政府は大学に指導する必要があると考えるが、指導する予定はあるか。指導する予定がないならば、それは何故か。

 右質問する。





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