答弁本文情報
昭和二十四年四月八日答弁第二号
(質問の 二)
衆甲第八号
昭和二十四年四月八日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員山口武秀君提出農地改革についての質問に対し別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山口武秀君提出農地改革についての質問に対する答弁書
一、山林使用権の設定は根拠法律もないし、從つて政府は何ら指導等は行つていない。
この事業は、從來市町村農地委員会が農地開放事務に忙殺されていたことと、薪炭林等の使用権に関する慣行の調査が不充分であつたことと、これらの使用料が全國区々で適正使用料の認定が極めて困難であつたことの三つの理由から政府は余り強くは指導して來なかつた。
昨年末より右に関する調査に着手、目下進行中で、これが完了次第、近く具体的指導を開始する。
二、開拓に関する調査審議の機関は、現在では各都道府縣に開拓委員会、更にその下部機構として地方事務所毎に未墾地買收予定地審査会を設けている。開拓地の取得については、農地委員会が未墾地として買收せんとする地区は、予め縣開拓委員会適地調査部又は未墾地買收予定地審査会が政府の定めた「開拓適地選定の基準」に準拠して、技術的に見てその地区の開拓が妥当であるかどうかを審査し、農地委員会はその結果に基いて買收計画を樹てるような指導措置をとつている。しかも右適地調査部及び審査会は、開拓適否に関し、技術的に公正な判断を下すに必要な公務員及び專門技術者のみをもつて構成させてあるから、その決議が地方の個人的若しくは階級的利害に左右されることはない。
開拓者の選衡については縣開拓委員会に入植者選衡部会を設置せしめ、開拓者の選衡について縣知事に協力せしめる方針で指導している。開拓地における営農指導の方法についても縣開拓委員会において審議することとなつている。
地方において、これら開拓委員会及び未墾地買收予定地審査会の下部機構として町村開拓協議会を設置し、開拓事業の推進に当らしめるのは縣知事の自発的な権限であるが、若しその運用が農地改革の趣旨に反し、反民主的活動を行つている事実があるとするならば当然是正措置をとる必要があるから、縣当局と打合せの上善処したい。
右答弁する。