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答弁本文情報

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昭和二十四年十二月一日
答弁第七四号
(質問の 七四)

  内閣衆甲第一三七号
     昭和二十四年十二月一日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員今野武雄君提出育英制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員今野武雄君提出育英制度に関する質問に対する答弁書



一 育英制度に対する見解

 現下の経済社会情勢において学生を安んじて勉学に專念せしめるためには、奬学制度の充実が最も肝要であり、且つ緊急を要するもので、これがためには官民一体となつて当らなくてはならないと考えている。しかして現在特に早急に実施を要すると考えられるものは

(一) 現行国家奬学制度の整備拡充である。
  即ち、わが国の現状においては、国家奬学制度は各種奬学制度中最も主要な地位を占めている。したがつて現行国家奬学制度において是非実施したいことは (イ)現行個人貸與額を物価に応じて適当に増額すると同時に奬学生の増員を計ること。(ロ)疾病その他臨時の出費に対する臨時資金の貸付制度を設定すること等である。

(二) その他の奬学制度の整備拡充
  わが国における民間奬学制度は、未だ充分発達していない。今後その整備と活動を計ることが必要であると考える。即ち、(イ)地方自治体、財団、会社、実業団体、同窓会、校友会あるいは個人による各種各様の奬学施設の奬励と整備拡充をはかる。(ロ)官庁、会社等の奬学委託生制度あるいは特別研究に対する経費を提供する研究生制度の奬励等である。

二 対策の現状

 国家育英制度としてさきに日本育英会を設置し実務に当らせているが、昭和二十四年度における奬学貸付金の予算は約九億円であつて、新規採用は約一万名に過ぎない。しかるに一方経済学窮迫のため勉学継続困難を訴える真に困難度の強い学生は大学高專校においても約三〇%に上つている。文部省としてはあくまで育英制度の趣旨を体し、特に将来真に国家の有用なる人材たる資質、人物並び優れた学生を奬学生として採用することとし、昭和二十五年度においては新規採用者は教員養成学部学生に対する五〇%の採用を含めて大体四万二千名を見込み、金額として十五億余円を確保いたしたい意向であつて、将来とも国家育英制度の拡充につき更に一段の努力を致し、目的の貫徹を期するとともに民間奬学制度についても更に積極的に勧奬する考えである。

 右答弁する。




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