答弁本文情報
昭和二十四年十二月一日答弁第七七号
(質問の 七七)
内閣衆甲第一三四号
昭和二十四年十二月一日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員浦口鉄男君提出專門別高等学校廃止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浦口鉄男君提出專門別高等学校廃止に関する質問に対する答弁書
一 政府では、「新制高等学校実施の手引」その他により、次のように指導している。
1 高等学校の数が少い地方で、それぞれ異つた課程を置く高等学校が遠距離に点在するならば、その地方の青少年にとつて、通学の便、不便あるいは交通費を支出する能力の有無などによつて、進学の希望とその機会が大きく制限されることになり、新学校教育制度の一大目標である、教育の機会均等が実現されない。それ故、このように高等学校数の少ない地方では、普通課程と職業課程を併せ置く総合的な学校が、地方の必要性に最も適合すると思われる。
しかしながら、国および地方の経済状態から見て、早急にこれらの地方に総合的な高等学校を作ることは、設備及び教員組織の点から困難なことであつて、その実現には、相当長い期間を要するであろうが、将来は、この線に沿うように努力することが必要である。
2 なお、上の趣旨によつて総合高等学校を設置する際には、わが国の再建に実業教育の重要であることを思い、特に実業教育が一層進展するように措置することを心がけるべきであつて、これがために、実業教育が少しでも衰微するようなことのないよう、嚴に注意しなければならない。
二 大都市においてさえ、独立した実業高等学校を廃止して、総合高等学校に移行させた府県もあるが、これは、地方的な事情によるとはいいながら、多少行き過ぎの傾向も見受けられないこともない。しかし、このような地方においては、更に研究をすすめ、必要に応じて改善する心組でいるようである。
三 北海道の教育委員会において、普通高等学校一本建の案があるということは聞いていない。
四 高等学校の地域的配置状況等を勘案して、最後的決定をすべきであるとの見解に対しては同感である。
右答弁する。