衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和二十五年二月十七日受領
答弁第三三号
(質問の 三三)

  内閣衆質第二一号
     昭和二十五年二月十七日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員(注)田榮之助君提出引揚邦人の在外財産補償に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)田榮之助君提出引揚邦人の在外財産補償に関する質問に対する答弁書



一 1 日本在外財産の処理に関しては、一九四五年九月二十二日の米国政府発表による「降服後初期の対日方針」によつて初めて明らかにされた。即ち日本の保持する領域外に在る日本財産を関係連合当局の決定に従い引渡すこと、更に日本の在外資産及び降伏條件により、日本より分離せしめられたる地域にある日本の資産は、全部ないし一部皇室及び政府の所有に属するものを含めて占領軍当局の決定による処分に委ねらるべし、と規定し、在外資産の賠償充当の方針を明らかにしている。
    次いで、一九四七年六月十九日の極東委員会の政策決定「降伏後の対日基本政策」において、日本の在外資産については、今後関係諸政府の見解によつて取扱いが決定されることを明らかにした。
    叙上の通り、日本の在外財産の処理は連合国側の方針にかかつているのであるが、各連合国側による日本在外財産に対するそれぞれの評価額及びこれらを賠償要求額中に繰入れられるか否かという問題並びに賠償要求額が正式に決定していない現在、在外財産の所有者に対する補償をいかにすべきかということについては、具体的な決定をなすべき段階と至つていない。
    在外財産の調査に関しては、昭和二十一年九月外務、大蔵両省共同にて「在外財産調査会」を設置し、満洲外各地域別に九部会を設け、それぞれ学識経験者に調査を委嘱し、昭和二十年十一月大蔵省令第九十五号に基き、在外財産報告書及び在外公館からの持帰り資料等をもととして調査を進めて来たが、昭和二十四年一月調査を完了したので、同調査会を解散した。
    なお同調査会の調査の結果はまだ公表する時期に至つていない。
  2 在外財産の為替換算率及び評価額の問題は重大な問題なので、目下関係省連絡のもとに研究を進めている。
  3 冒頭に申し上げた通り、現在その段階に至つていない。
  4 在外公館等の借入金については、昭和二十四年六月一日法律第一七三号「在外公館等借入金整理準備審査会法」及び右関係の政令第三九一号が昭和二十四年十二月二十日施行され、在外公館、邦人自治団体若しくはこれに準ずる団体が、引揚費、救済費その他これらに準ずる経費に充てるため、国が後日返済するという條件のもとに在留邦人から借り入れた資金を、法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において、将来返済すべき国の債務として確認することとなつた。
    借入金の確認を請求しようとする者は、住所又は居所の市町村長及び都道府県知事を経由して、外務大臣に借入金確認請求書(正副二通)を提出することとなる。
    すでに全国から確認請求書が逐次外務省に送付せられつつあり目下在外公館等借入金整理審査会において右審査中である。

二 上述の事情からして、現在宣明することは困難である。

三 在外財産の補償等に関しては、平和條約における先例について、鋭意調査中である。

 右答弁する。




経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.