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答弁本文情報

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昭和二十五年三月二十八日受領
答弁第八八号
(質問の 八八)

  内閣衆質第七六号
     昭和二十五年三月二十八日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員滿尾君亮君提出郵便事務の能率化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員滿尾君亮君提出郵便事務の能率化に関する質問に対する答弁書



一 郵便貯金通帳に現在高欄を設けることは、主意書の通り、

一 預金者側にとつては、一見して貯金の現在高を知ることができて非常に便利であり、
二 郵便局側にとつても、貯金の拂もどしを取り扱う場合において、そのつど現在高を算出する煩を省くことができる。

  という利点があつて、従来もしばしばその実施方について考究されて来たのであるが、
 反面、

一 郵便貯金は、一册の通帳で全国総ての郵便局で預入をすることができ、従つて、その原簿は、郵便局に置かないで、地方貯金局に置かれていること。
二 郵便局における郵便貯金の即時拂は、必ずしも常に通帳の貯金現在高の全部について取り扱われるのではなく、他の郵便局で取り扱つた預入金額の拂もどしには、一定の制限があること。
三 貯金利子は、地方貯金局で計算されて毎年元金に加えられるものであるため、通帳の貯金現在高は、必ずしも原簿の貯金現在高に一致しないこと。
四 郵便局における預入のつど通帳に貯金現在高を記載することをあらたに始めるためには、相当の手数が増加し、定員を増さなければならないこと。
五 通帳に貯金現在高を記載することによつて、計算相違等の場合に郵便局に原簿がないため、かえつて拂もどし上の事故を誘発するおそれがあること。

 等の難点が考慮され、加うるに、終戰後においては、預金者の住所も安定せず、その利用する郵便局も一定していなかつたこと、郵便局員の素質が比較的に低下していたこと、紙の需給が乏しかつたこと等の理由で、まだ実施の運びに至らなかつたものである。
 しかしながら、郵便貯金の使命は、国民の経済生活の安定のための簡易確実な貯蓄手段を提供することにあるのであつて、これがためには、国民に対するサービスの改善ということに重点をおくべきことは、当然である。従つて終戰以来、先ず戰時中に混乱した事業の内部事務を整備すること及び郵便局従事員の素質の向上を図ることに努めてきたが、現在その成果は次第に挙がりつつあるので、今後は、事業のサービスの改善に積極的な推進を期することができるものと考えている。
 質問の主意は、預金者の住所が漸次安定し、利用郵便局も一定してきた今日においては、有意義であり、且つ、実現が可能と考えられるので、前述の難点については、これを克服するように更に一層の研究を行い、趣旨に副いたいと考えている。

二 現在、市区町村の行政区画と郵便局の集配区画との一致していないものが、全国において、郵便局数の約七〇パーセントに達している。そのため、郵便物の区分処理を複雑化し、誤区分、遅達等の原因ともなつている。
  このような欠陷を是正するには、従事員の技能向上によらねばならないことは勿論であるが、これをもつてしても、なお完璧を期し得られないものがあるので、名あてに配達局名を記載することにより、更に一層の正確且つ迅速な処理を図るようにしている次第であつて、これを廃止しようとする考えはない。
  郵便事業の円滑な運行を図るためには、その性質上からして、名あての記載方などについては、利用者の積極的な協力にまたねばならない点が多いのであつて、配達局名記載の措置をとつたことも右のような趣旨から、一般の協力をお願しているので、内部事情を一般利用者に転嫁しようとする意図によつたわけではない。
  なお、配達局名の記載が励行されるようにするためには、先ずもつて、差出人がその住所に必ず局名を記載することによつて、お互に配達局名を知り合うようにすることが肝要と認められるので、各郵便局をして、区内居住者に対し、正しい局名記載方について、周知、且つ勧奬に努めさせている次第である。
  以上の趣旨を了承せられ、配達局名の記載に積極的な協力を願つてやまない。

  右答弁する。




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