答弁本文情報
昭和二十五年四月七日受領答弁第一〇三号
(質問の 一〇三)
内閣衆質第八九号
昭和二十五年四月七日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員並木芳雄君提出地租、家屋税の使用者課税に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員並木芳雄君提出地租、家屋税の使用者課税に関する再質問に対する答弁書
一 使用者課税の趣旨といたしておりますのは、土地家屋相互間の税負担の均衡を図ることにあります。
御承知のように現在のような社会経済事情の下にありましては、土地や家屋についての所有権は使用権に対しましてその絶対性を主張することが困難でありまして、むしろ使用権の方が優位性をもつという現象を呈しておるのであります。従つて土地や家屋については、全面的に使用者に税を負担せしめるということが考えられるわけであります。しかしながら現行税制の下では、所有者に税を負担せしめるという制度を採用しております。
他面国や日本国有鉄道や日本專売公社には地租や家屋税を課さない制度を採用しておりますので、一般私有の土地や家屋と同様に使用されている土地や家屋でありましても、たまたま国や日本国有鉄道や日本專売公社が所有しているときは、その土地や家屋は租税を負担しないこととなりますので、この種の土地や家屋に限りまして所有権に租税を負担させないで、使用者に負担させるという制度を採用しているわけであります。
しかしながら公営庶民住宅の場合はその社会政策上の特殊性にかんがみ、地方公共団体において適宜減免の措置を講ずるよう、つとに指導しておるところでありまして実際東京都におきましては税額の四割を減額いたしておるのであります。
二 建設次官よりの申入れに対しましては、これ以前に、事務当局としては前述のように施行通達によりまして「公営庶民住宅に対しては適宜減免すること」と指導いたしておりましたので、この旨を回答いたした次第であります。
三 御説の如く納税は国民の義務でありますので、租税によつて使用料の不均衡を調整しようとする趣旨はもうとうございません。使用料と税金の関係におきましてはむしろ税金は完全に徴收し、使用料を軽減するということが望ましいのであります。使用者課税の趣旨は前述いたしました如く税負担の均衡をはかることにありまして使用料の不均衡を是正しようとするものではありません。
以上の趣旨によりまして使用者課税の制度は今後も存置することが適当であると考えます。
右答弁する。