答弁本文情報
昭和二十五年七月二十五日受領答弁第八号
(質問の 八)
内閣衆質第八号
昭和二十五年七月二十五日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出警察力増強に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)田甚太※(注)君提出警察力増強に関する質問に対する答弁書
(一) 純法律的見地からお答えする。双方ともに、自己の国家領域は朝鮮全域にわたるものとの建前をとつており、それぞれが全朝鮮を代表する唯一正統の政府であると主張している。このような関係から双方を同時に第三国が承認するということはありえず、諸国はこの両者の中いずれかを承認している。従つて両者間にどのような大規模な武力衝突が発生しても、国家間の武力闘争という従来の戰争の概念にははいり難い。しかし、双方ともそれぞれ第三国から承認せられておつてしかも、一定の地域に権力を確立しているから国家間の戰争とみようとする説をとる学者もあるようである。何れにせよ、戰争が二または、それ以上の独立国間の武力鬪争の関係であると定義する従来の国際法の概念では、よういに判定し難いようなもろもろの事態が発生しているのが最近の国際情勢の特色である。
(二)(三) 今回の警察増強の措置は、これに関するマ元帥の書簡にもあるとおり「民主主義社会で公安維持に必要とされる限度において」増強されたものであり、また海上保安関係の増強も「不法入国や密輸を取締るため、日本の長い海岸線の保安を確保するには、現有の海上保安力では弱体であることが明かにされた」ためである。即ち何れもわが国内の治安維持のためであり、これがこの目的以外に利用されることはあり得ない。訓練裝備については目下研究中である。
右答弁する。