答弁本文情報
昭和二十五年十二月八日受領答弁第七二号
(質問の 七二)
内閣衆質第七二号
昭和二十五年十二月八日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員井上良二君提出地方自治体議会の決議執行停止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井上良二君提出地方自治体議会の決議執行停止に関する質問に対する答弁書
一 地方公共団体の議会の議決は、法の定めるところによつて効力を有し、その限りにおいてこれを尊重すべきことはいうまでもない。
二 特に地方公共団体の議会の議決だけを対象として、その執行を停止し、又はこれを撤回せしめることを直接明定した法の規定はないが、行政事件訴訟において、地方公共団体の議会の議決の効力が争われることである。
三 具体的な訴訟事件に関して裁判所がした処分の当否につき、当該訴訟事件の係属中に、政府が判断を下すことは差し控えたいが、大阪地方裁判所が茨木市議会の議決の執行を停止すべきことを命じたのは、行政事件訴訟特例法第十條第二項本文の規定によつてしたものと考えられる。
また、大阪府選挙管理委員会が行つた補欠選挙の告示の改訂は、右の執行停止命令があつたことによつて、当該補欠選挙において選挙すべき議員の数が変更するに至つたことに伴うやむを得ない措置と考える。
四 地方公共団体の議会の違法な議決に関しては、当該地方公共団体の長が特定の措置をすることができる旨の地方自治法第百七十六條の規定もあるが、なお研究することにしたい。
五 諸般の事情を慎重に検討して適切に処理したい。
六 行政事件訴訟特例法によれば、処分の執行停止を命ずる裁判所の決定に対しては、不服を申し立てることができないのであつて(第十條第五項)、同法第十條第二項但書の規定は、右の決定に対する抗告の道をひらいたものではないと考える。
右答弁する。