答弁本文情報
昭和二十七年十二月二日受領答弁第一〇号
(質問の 一〇)
内閣衆質第一〇号
昭和二十七年十二月二日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 大野※(注)睦 殿
衆議院議員春日一幸君提出中小企業者の滞納税金徴収に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員春日一幸君提出中小企業者の滞納税金徴収に関する質問に対する答弁書
一 租税を滞納している中小企業者のうちには、お説のとおり経営困難のためやむを得ず滞納に陥つている者も多いと認められ、もしこれらの者に対して滞納処分を強行するときは、その事業活動を破壊し、その生活を脅かすに至るおそれもあると思われる。従つて政府としては、これらの者に対する滞納処分を猶予又は停止して、その経営状態の回復をまつ趣旨の下に、昨年四月滞納処分の執行の猶予及び滞納処分の執行の停止の制度を設け、また、既存の徴収猶予制度の適用を受ける範囲を拡張して、これら困窮者の滞納整理を合理的に行うこととした。
この結果、本年九月末においては、滞納処分の執行停止中のものは、件数において一三七万四千件、税額において一八〇億七七〇〇万円、滞納処分の執行猶予中のものは、件数六万六千件、税額六二億四五〇〇万円、徴収猶予中のものは、件数一一万六千件、税額一〇〇億八〇〇万円に達しており、滞納調整はきわめて合理的に行われているものと思われる。
二 上記のように、納税について誠意を有しつつも資力欠乏のため滞納を続けざるを得ないような窮乏者に対しては、充分実状に応じた処置をしてきており、今後もこの方針を堅持する考えであり、特に年末においては、例年金融のひつぱくすることである実情に則するよう特に留意して行きたいと考える。
三 しかし、納税が国民の義務であり、大多数の国民が誠実に納税しているのにかかわらず、一部の者が不当に納税の義務を怠つているようなことがあつては、公平の観念に反することにもなるので、もしこのような悪質の者があれば、これに対し徴税に当つて執行の手をゆるめることはなし難いと考える。
右答弁する。