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答弁本文情報

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昭和二十七年十二月十九日受領
答弁第一一号
(質問の 一一)

  内閣衆質第一一号
     昭和二十七年十二月十九日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 大野(注)睦 殿

衆議院議員(注)間田(注)一君提出小貝川合流点附替えに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)間田(注)一君提出小貝川合流点附替えに関する質問に対する答弁書



一 御説のとおりである。

二 衆議院建設委員会の決議は、小貝川下流部の附替えが同川治水の根本対策であるから、技術的、経済的等の利害得失を検討し、最善と認められる路線を選定してその促進を図るべきであるとの主旨と解せられる。従つて決議の「現地」とは、前記諸般の事情を考慮して最適と認めた路線の関係地域という意図と解釈している。

三 小貝川合流点附替え路線選定の理由について質問があつた場合には、その都度回答しているほか、背割堤案決定当時積極的に衆知徹底を図るべく「小貝川合流点附替えの理由について」及び「路線選定の理由について」等の印刷物を直接町村長に手交し、且つ、附替え路線記入の図面を提示の上、印刷物の内容を充分説明している。又質問に対する一括説明の主旨で「小貝川合流点附替えについて」と題する印刷物を用意して疑義がある向へは配付する等衆知方につき努力してきたのであるが、今後とも疑義に対する質問等に対しては、書面あるいは口頭をもつて必要に応じ回答又は説明する考えである。

四 小貝川合流点附替え路線の選定にあたつては、個個の地元の要望等に拘でいすることなく純技術的、経済的観点を基礎に決定したものである。
  しかして小貝川流末の処理については、当初利根川増補計画立案の際、現堤補強の適否について検討が加えられたのであるが、この案では小貝川と利根川との合流点を変更しないため、すなわち合流点が布佐、布川の狭窄部の上流に位置するため、出水時における小貝川の水位上昇は著るしく、その影響は合流点より約十七粁上流岡堰附近までに達し、この間の沿岸十二箇町村の低湿地帯における排水不良の悩みは解決されないのみならず、堤防拡築のためには家屋約二百八十戸の移転と、約七十八町歩の工事用地の必要を伴い、又、国鉄常磐本線鉄橋、国道、橋の杠上及びこれに関連する取り合い路線の嵩上げ、その他多数用排水樋管の改築等が必要となり、工事費莫大となるにかかわらず、これら犠牲の大なるに比し改修の効果がこれに伴わないため、現堤補強案は採用するに至らなかつた。
  以上のような理由で、利根川増補計画による小貝川下流部の処理については、利根川との合流点を布佐、布川狭窄部の下流に附け替えることを骨子としていわゆる富永案の捷水路計画案がたてられたのである。しかしてこの案によれば、新合流点までの河道開削と両岸の堤防構築を必要とする結果、工事用地として農耕地の潰れが大きく、土工量も巨大となり、且つ、豊田堰をはじめ捷水路を横断する用排水路、道路橋等多数の附帯工事が必要となり、これらの工作物工事は地盤軟弱のために施工困難であり、工期は必然的に長期間を要することとなる。更に工事完成後においては広大な農耕地の中央を高さ約七米に達する堤防が縦断することとなり、約一、五〇〇町歩の袋地を生じ、この区域内は地下水が上昇して排水不良に陥るほか、交通の不便をも伴い農業経営上著しく不利な土地となる。
  以上の諸欠点を考慮した結果、工費も安い背割堤案を最善の案として採用することにしたものである。

五 昭和二十七年六月三十日の衆議院建設委員会における目黒河川局長の説明は、富永案と背割堤案とを比較した場合の富永案の短所について、その一事例として農地の潰れが多いことを指摘したに過ぎないのであつて、その他前号に述べたような諸短所をあわせ総合的に比較検討して背割堤案に決定したものである。

六 イ 現堤補強で小貝川の破堤等は防ぎ得るが、利根川本川からの逆流による悪影響は在来のままであるから、小貝川沿岸の排水は相変らず不良である。
  ロ 現堤補強案による所要工費は約二十二億円程度を要するものと認める。

七 背割堤案による小貝川合流点附替え工事計画の概要は次のとおりである。

  工事施行延長 九、〇〇〇米
  掘 削 土 量 一二六万立方米
  築 堤 土 量 三二〇万立方米
  護 岸 延 長 一八、〇〇〇米
附 帯 工 事    
  道路附替延長 二〇〇米
  水路附替延長 二、〇〇〇米
  橋 梁 新 設   二ヶ所
工 事 用 地    
  宅     地 二二〇反
  田 五九〇反
  畑 三九〇反
  そ  の  他 一九〇反
  計 一、三九〇反
  家 屋 移 転 二七〇戸
以上 所要工事費見込額
       約 一、三九二、〇〇〇千円

八 小貝川合流点附替え工事のため犠牲となる関係者に対しては、代替地の提供並びに損失補償等につき、国としてあたう限りの措置を講ずるとともに、茨城県及び本工事の施行による受益町村等の協力を得て万全の措置を講じたいと考え、すでに布川町地内移転家屋の移転先の造成計画、受益町村の援助対策等について逐次具体案を取りまとめつつある。

 右答弁する。




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