答弁本文情報
昭和二十八年六月三十日受領答弁第一七号
内閣衆質第一七号
昭和二十八年六月三十日
衆議院議長 堤 康次※(注) 殿
衆議院議員吉川久衛君提出輸入大豆の検疫に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員吉川久衛君提出輸入大豆の検疫に関する質問に対する答弁書
一 輸入大豆の検疫の機関及び時期
輸入大豆、その他の輸入植物の検疫については、農林省植物防疫所の植物防疫官が行う。これら検疫は、通関に先立つて行われ、輸入前に船舶内及び指定場所(卸下後はしけ内、陸揚地、植物防疫所又は植物防疫官が指定する輸入港域内の特定の場所)において行われる。
又輸入大豆を含めた輸入食品の衛生上の検査については、現在小樽、横浜、清水、名古屋、神戸、門司及び長崎の七検疫所に厚生省の職員である国の食品衛生監視員を配置して厚生大臣の監督の下に抜取検査に当らせている。
この衛生検査は、すべての輸入食品について行うものではなく、必要と認められる場合に随時試料を抜き取つて行うものであり、採取した試験試料を国立衛生試験所、同大阪支所、同門司分室に送付し、その試験結果に基き必要な措置を行つているものである。
輸入食品は、通常船舶等より陸揚げされ上屋、保税倉庫等に庫入され、通関手続がなされるが、輸入食品に対する衛生検査はこの間において実施している。
この牽牛子入りアメリカ産大豆の荷揚げは、五月十四日より十九日まで行われ、試料採取は同二十一日四日市市所在の倉庫で行われた。
本試料は、直ちに国立衛生試験所大阪支所に送られ検査され、その結果は六月八日に現地に報告され翌九日関係官庁及び業者に連絡されている。
この間十八日を要しているが、これは大阪への試料の送付結果の報告等連絡のための日時の外は試験検査のための日時である。
この場合、牽牛子の確認のため若干長時日を要しているようであるが、これは当支所として初めての事例であつたためである。
あさがおの種子は、牽牛子と称し、フアルビチンという配糖体が含有され、小量で(〇・五瓦)下痢腹痛等を起すものである。
この牽牛子は、大豆とその大きさが異なるためふるい分することができる。
既に製油されたものについての除毒方法は、技術的に可成り困難である。
東浜油脂株式会社には、四日市より入荷予定五百八トンの内、既に四百九十八トンが入荷済である。これらのものは、東浜油脂株式会社で衛生当局よりの指示があつた以前に自発的に回転式のふるいで牽牛子を選別していたため、製油された製品より牽牛子は取り除かれていることが判明した。
なお、輸入大豆は、既に大半製油されており、このうち八十三トン(内六トンは塗料用原油、他は食用油)は、東京都中央区西八丁堀三ノ一二山田興業株式会社へ送付されている。
本件において、既に食用油に加工されたものは、製品より牽牛子が完全に除去されていると思うので、特別の行政措置は行つていない。