答弁本文情報
昭和二十八年七月七日受領答弁第二〇号
(質問の 二〇)
内閣衆質第二〇号
昭和二十八年七月七日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 堤 康次※(注) 殿
衆議院議員栗田英男君提出相互金融会社の貸金業法違反に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員栗田英男君提出相互金融会社の貸金業法違反に関する質問に対する答弁書
いわゆる株主相互金融は、貸金業等の取締に関する法律により届け出た株式会社組織による貸金業者が、通常増資にあたり、自己の役員等に株式を引き受けさせ右株式を広く公衆に売却しその代金を割賦にて受け入れ、これに対し融資を行うか又は株主優待金を支給する方式である。このような方式により株式会社が株式の売却による代金を受け入れることは、これを預り金に準ずる不特定多数者からの資金の受入として直ちに金融関係法規違反とすることは問題がある。しかし、いわゆる株主相互金融の実情は千差万別であり、個々に判断するときは、なお金融関係法規に違反するものも少くない見込であるので、今後これらのものに対しては厳重に取締を行う考えである。
政府は、最近貸金業者について検査を実施したが株主からの借入金等と称して預り金の受入を行つているものがあることが明らかになつたので、今回その法律違反の事実に対して直ちに改善を命じ再びかかる法律違反のないよう厳重なる警告を発するとともに、かかる金銭の提供は絶対に行わないよう一般の注意を喚起したのである。
今後政府としては、このような法律違反の事態に対し、金融秩序の維持及び一般大衆の保護のために、さらに一般の啓もうを行うとともに、取締を励行し、断乎たる行政措置をとる考えである。
右答弁する。