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答弁本文情報

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昭和三十年六月十七日受領
答弁第一四号
(質問の 一四)

  内閣衆質第一四号
    昭和三十年六月十七日
内閣総理大臣 鳩山一(注)

         衆議院議長 (注)谷秀次 殿

衆議院議員中村高一君提出時計産業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中村高一君提出時計産業に関する質問に対する答弁書



一 時計の輸入は、昭和二十九年において約百六十八万一千弗であるが、この内容は、いわゆるウオツチ関係、即ち腕時計と懐中時計であり、クロツクの類(置時計、目覚時計、掛時計)については、現在外国製品の輸入を認めていない。
  このウオツチ類の輸入を行つているのは、第一に国内の生産能力が、国内需要を充足するにいたつていないこと、第二には、時計の形状、価格等からこれが密輸の好対象となつているが、これに対して完全な密輸防遏が困難であるので、正規輸入を認めることにより、密輸の弊害を除去しようとすること等の理由によるものである。なお更にいえば、外国時計をある程度輸入することは、特にウオツチ関係について技術、品質の立遅れている時計業界に対して、適度の刺激を与えることとなり、国産品の水準向上に相当の役割を果しているものと考える。
  なお、輸入量の問題は、根本的には、国内需給の関係によるので、生産量の上昇とともに漸次減少しており、これを輸入外貨割当限度額に見るに、昭和二十九年度は約百二十万弗であつたが、昭和三十年度上期は約三十一万弗となつている。

二 国産品奨励策としては、一方高率の輸入関税(三〇 ― 五〇%)および、外国品輸入に対する外貨割当の厳重な運用によつて、国産品を保護しているが、他方積極的な国産品の品質向上乃至価格引下方策としては、先ずその製造設備の近代化を図るべく、昭和三十年度開発銀行融資対象業種として、時計工業を取り上げるとともに、競輪売上収益の一部約千百万円を以て、名古屋工業技術試験所内に中小時計工業を対象とする開放研究室を設け、技術共同研究を促進する計画を検討中である。
  又国産品の品質向上を目的として、国内各社の製品について、品質比較審査を過去五箇年にわたつて行つて来たが、毎回見るべき成果を収め、今後も継続して実施する予定である。
  その他時計工業の企業合理化促進法適用業種への指定及び工業標準化法第十九条適用業種への指定等につき検討中である。

三 わが国時計の輸出振興策については、軽機械輸出会議一般軽機械部会時計分科会の強力な運営により種々対策を研究するとともに、その具体化に努めているが、昭和二十九年度業界において海外宣伝用カタログを作成して海外宣伝に努めることとし、又海外市場調査機関の設置については、早急に実現を図るべく現在検討を進めている。又海外諸国における輸入制限緩和、通商協定への時計の特掲等についても、今後とも強力に実現を図るよう努力する計画である。
  その他輸出振興の根本は、品質の向上とコストの引下げにあるので、国産品の品質向上、設備近代化等のため前述のような開銀資金の斡旋等種々対策をとりつつある。

四 税関長の通告処分により税関に納付された密輸時計を処分する場合には関税及び物品税込みの市中価格を基準として予定価格を決定した上公売(売却)に附し、入札価格が予定価格より低いときは、落札させない仕組になつている。すなわち、落札者は関税及び物品税相当額を負担することになつており、したがつて、特に物品税を免除しているということはない。

 右答弁する。




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