答弁本文情報
昭和三十一年六月一日受領答弁第一四号
(質問の 一四)
内閣衆質第一四号
昭和三十一年六月一日
内閣総理大臣 鳩山一※(注)
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
衆議院議員大矢省三君提出宮崎県串間市官有地山野下戻しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員大矢省三君提出宮崎県串間市官有地山野下戻しに関する質問に対する答弁書
一 行政裁判所が質問主意書記載の官有地下戻の行政訴訟において、同事件の原告等に官有地の二分の一の持分を下げ戻すべき旨の判決をしたことは事実である。しかし、この判決が右原告等以外の部落残住民に対し効力を有しないことは二に述べるとおりであり、また部落残住民は、国有土地森林原野下戻法(以下「下戻法」という。)第一条第一項所定の申請期間内に自らの持分に関し下戻の申請をしなかつたため、その下戻を受けえなかつたものである。
二 右判決は、同事件の原告等が地租改正当時右官有地の二分の一の持分を有していたものとして、同人等に対しその持分の下戻をなすべき旨判決したものであり、全部落住民のため右官有地の下戻をなすべき旨判決したものではないから、右判決は原告等以外の部落残住民に対しその効力を及ぼすものではない。従つて、右残住民において右官有地の下戻を受けるためには、下戻法第一条第一項所定の期間内に別に下戻の申請をすべきものであつたにかかわらず、部落残住民は右期間内に申請をしなかつたのであるから、それらの者が下戻の許可を受けえなかつたのは当然である。
三 右訴訟事件の原告等は全部落住民のため保存行為として下戻の申請をしたものではないから、申請の効力が部落の残住民に及ぶはずはない。しかして部落残住民は下戻法第一条第一項所定の期間内に下戻の申請をせずその期間を徒過したものであるから、下戻を受けうる権利を喪失したことは明らかである。
四 部落残住民は前記のとおり下戻法第一条第一項所定の期間内に下戻の申請をしなかつたものであるから、主務大臣においては部落残住民に対し下戻を許可するに由なく、なんら同人等の権利を不当に侵害している関係にあるものではない。
右答弁する。