衆議院

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昭和三十四年十二月二十七日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質三三第三号
    昭和三十四年十二月二十七日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 加(注)鐐五(注) 殿

衆議院議員今澄勇君提出政府のロッキードF一〇四C ― Jの購入に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員今澄勇君提出政府のロッキードF一〇四C ― Jの購入に関する質問に対する答弁書



一 航空機の性能が逐次向上しつつあることはお説のとおりである。米国においては二マッハ級の爆撃機がようやく第一線機として配備されようとしている状況であり、さらに優速の爆撃機が出現するのにはなお相当の年月を要するものと考えられる。すなわち、わが国にF一〇四Jが装備される時期にF一〇四Jの速力よりすぐれた爆撃機が実用されることはまずないものと予想される。したがつて、F一〇四Jは今後相当期間要撃機として十分有効なものと判断する。御質問では要撃機の速力が爆撃機に対し二割の優勢が要件であるとしているが、要撃機の速力が爆撃機に対し優勢であることの望ましいことはもちろんであり、ことにわが国のように縦深性の浅い地理的条件の場合には特に速力、上昇力がすぐれていることが重要な要素である。しかしながら要撃の場合において単に爆撃機と要撃機の相対的速力についてのみ論ずることは適切でなく、航空機の速力、上昇能力のほか、とう載兵器、射撃管制装置及びその他の電子機器、地上警戒指揮組織等を総合し、これらの総合能力として判断すべきである。このような見地に立つとき、F一〇四Jを装備する時期においてたとえF一〇四Jの速力をある程度こえる爆撃機が出現しても、なお、これに対して十分対抗できるものと考える次第である。

二 日本防空のためにはその気象条件から全天候性能が絶対必要要件である。米空軍は従来全天候性のF八六Dを日本に配置していたが、先般その代替としてF一〇二を配置したものである。米本土では全天候性でしかも半自動化警戒指揮装置に対応できるF一〇六とF一〇一の新式機で防空することになり、前記の措置をとつたものと考えられる。F一〇四AやF一〇四Cはわが国で装備しようとするF一〇四Jと異なり全天候性ではないものであるので、わざわざ改造してまで日本に配備する必要がないものと考えたものと思う。

三 現在わが国にある飛行場で八千フイート以上の滑走路を有するのは千歳、松島、小牧、浜松(オーバランを含む。)のほか米駐留軍の使用しているものに三沢、板付、横田、岩国、厚木があり、他に新田原等計画中のものもあるので、配備上又は戦略上支障はない。
  なお、源田調査団が実際に操縦した経験に基づきF一〇四Jは八千フイートで行動できるものと考えている。

四1 昭和三十三年八月、ロッキード社が防衛庁に提出した資料に基づくF一〇四Cの単価は、七十九万ドルであつたが、これはロッキード社独自で見積もつた価格であつて、十分に国産化条件を織り込んだものではなく、また射撃管制装置をはじめとする装備内容も今回決定をみたJ型とかなり相違した型に対する価格であつた。
   この七十九万ドルの見積りに合理的な国産化条件を考慮に入れ調整すると昨年六月の国防会議に提出したとおり約百七万ドルとなる。
 2 C型とJ型とでは、装備品の内容が射撃管制装置をはじめ相当変更されているほか、生産総機数が二百機から百八十機に減少したことによる固定費の割掛の差が生ずることとなる。
   したがつて、1で述べた百七万ドルに上述の価格差を加味して考えると百二十万ドル程度の単価となる。これを百十五万ドル弱としたのは、国内に発生する諸経費、利益等をできる限り、節減して考えたためであつて、これらの事情を考えれば、今回の百十五万ドル弱は決して値上りではなく、むしろきわめて厳格な予算見積りであると考える。

五 わが国の防衛力は国民経済全体との均衡を配慮して規定されるものであり、したがつて、防衛産業も国民経済の健全な進展を阻害しないように産業政策全般の見地からこれを調整する必要があるが、これが他産業の技術水準の向上に資する点及び国産化により外貨を節減しうる点等を勘案してできうる限り国産する方針である。
  F一〇四Jの国産計画立案にあたつては以上の趣旨に沿い、機体及び部品材料につき次のような考え方で計画した。すなわち、国産にあたつては、F八六F及びT三三の国産化により達成された関連産業の生産規模を著しく拡張することなく、将来の補給源を確保し、かつ、技術的、経済的に合理的な国産化をはかることを基本方針として、機体は二社の共同生産とし、機体部品は四十パーセント程度、その他原動機、通信機器等を国産する方針をたてている。この程度であれば、現有する設備、人員を著しく拡大することなく消化しうるものと考えられ、したがつて、国民経済をかく乱するおそれは全くないばかりか、かえつてこれら高度の機器を生産する技術の修得により、一般産業技術の水準向上のためよい刺激となることが期待される。

  右答弁する。


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