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答弁本文情報

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昭和三十八年四月十六日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質四三第三号
    昭和三十八年四月十六日
内閣総理大臣 池田勇人

         衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿

衆議院議員渡辺惣蔵君提出公共用水の水質基準設定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員渡辺惣蔵君提出公共用水の水質基準設定に関する質問に対する答弁書



一 水質審議会の部会の構成委員たる専門委員は、関係行政機関の職員および学識経験者のうちから任命され、水質問題について専門的に調査審議するものであり、第二特別部会(石狩川(A)水域担当)も、当該水域の主な関係産業についてはもれなく学識経験者を集めて公正に構成されており、当該審議はいずれかの一方にへんすることのないよう運営されている。政府は、同部会および水質審議会の協力を得て、公平かつ適切なる水質基準を設定すべく努力中である。

二 水質基準の数値については、農業被害の主因をなす石狩川の水わたの発生を防止するに足る数値を考慮する必要があるが、他方、その決定については、公共用水域の水質の保全に関する法律第一条に規定する産業の相互協和という観点からの慎重な検討が必要である。第二特別部会においては、すでに七回にわたつて水わたの発生状況と工場排水との有機的関連等について専門的な調査審議を重ねてきた次第であるが、四月中にはその成案をうる見込みである。政府は、公共用水域の水質の保全に関する法律の趣旨に従い、審議会の答申をまつてすみやかに水質基準を決定する所存である。
  工場廃液の除害施設については、石狩川(A)水域の水質汚濁の主たる原因と考えられるパルプ廃液を例にとれば、パルプ廃液濃縮燃焼設備を中心とする生物化学的酸素要求量の改善のための設備投資額二億九千万円およびバーカー廃水処理設備を中心とする浮游物質量の低下のための設備投資額一億七千万円総額四億六千万円の投資を計画しており、これらの設備の一部を本年八月末までに、その他の部分は、本年九月以降すみやかに建設に着手させることとしたい。
  なお、政府としては、さらに上述の汚水処理施設の早期完成と施設完成までの間における現行施設において、技術的に可能な限りの排水の水質の改善について強力に指導するとともに、新規設備投資に必要な資金の確保のために協力する所存である。
  また、水質基準設定後の石狩川関係の工場等の排水の水質監視については、地方支分部局を積極的に活用し、予算の許す範囲内で関係工場について立入検査を行なうとともに、関係工場から、排水の水質等について定期的に報告を徴収し、工場排水等の規制に関する法律に基づき、万全を期する考えである。
  また、水質基準設定後の同水域中農業用水取水口など河川内の主要地点の水質を定期的に調査する予定である。

三 水質基準に適合する工場等の廃水処理施設の完備までに農作物に被害を与えた場合の補償の問題は、民事上の問題であるので、当事者間において解決されることが望ましい。なお当問題を円満に解決する一方法として、公共用水域の水質の保全に関する法律による和解の仲介制度も存している。

四 北海道知事は、国策パルプ工業株式会社の水利使用に際しては、排水について所要の基準を指示すること等により、関係農民に対し損害を与えないような条件を附して許可をし、また、その後の水質に関する紛争については、その原因を調査究明するとともに同会社に対し設備の改善を検討させる等監督上所要の措置を講じてきたところであるが、かりに、かかる措置が不十分であつたとしても、これにより直ちに違法に関係農民に損害を与えたとは断じ難く、したがつて本件については国家賠償法上の責任は首肯し難いものと考える。

 右答弁する。




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