衆議院

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昭和四十年十一月十二日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質五〇第三号
    昭和四十年十一月十二日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員門司亮君提出日韓諸条約に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員門司亮君提出日韓諸条約に関する質問に対する答弁書



一、日韓条約は、北鮮関係については、人的、物的の交流についても、なんらこれを妨げる規定を含んでいない。また、元来いずれの国とも平和的な善意の接触を増進することは、政府の基本方針でもあるので、日韓条約発効後における北鮮との貿易、人の往来などの事実上の接触についても、政府としては今般の条約締結によつて特に後向きの姿勢をとる考えはなく、案件ごとにその都度諸般の関連事情を慎重に考慮して現実的な措置を講ずることとしたい。
  尤も、わが国は、国連尊重の基本方針に則り平和条約発効以来韓国を承認しこれと国交関係を有してきた従来の方針を引きつづき踏襲するものであるが、この態度はまた現在世界の大多数の国が執つているところでもある。(現在、韓国と国交関係を有している国は七十二、北鮮と国交関係を有している国は二十三あるが、韓国、北鮮の双方と同時に外交関係を有している国は一つもない。)

二、国連総会決議一九五(III)の重大な修正あるいは撤回等の決議が採択されるというようなことは、朝鮮をめぐる客観情勢に根本的な変化でもおこらない限り考えられないことである。国連方式によつて朝鮮の統一が達成されるような場合には、国連としても、決議一九五(III)に代わるべきあらたな決議を行なうことになるであろうし、その場合には、条約関係にも当然調整の必要が生ずるかと思われる。しかし、いずれにしても予見し難い将来のことについてこれ以上立ち入つて論議することは、差し控えたい。
  前述のとおり、国連総会が、客観情勢に根本的な変化がないのに決議一九五(III)について重大な修正を行ない、あるいはこれを廃止するというようなことは、考えられないことであるが、純然たる仮定の問題として、かりにそのようなことを行なつたとしても、それによつて基本関係条約第三条の効力が左右されるというようなことはない。なんとなれば、基本関係条約第三条は、決議一九五(III)で大韓民国政府の性格、実態について表明された国連の認識そのものを捉えて、そのような認識が日韓両国の認識であることを確認しているものであるから、右の国連決議の前提となつた客観情勢に変化がない限り基本関係条約第三条の効力に影響はないはずであるからである。

三、政府は日韓諸協定が発効し、日韓関係が好転すれば、日韓双方にとつて竹島問題をとりあげやすい友好的な雰囲気が生れて来るものと確信しており、政府としてはこのような雰囲気ができ次第速やかに本問題について交渉を開始するよう韓国に申し入れる所存である。
  しかして、このような雰囲気が醸成されたにかかわらず、本問題の解決のための交渉に韓国側が全然応じない場合は、これが条約違反を構成することは理論的に明らかであるから、韓国側がかかる挙に出づることはないと信ずる。

四、国交正常化後の新しい日韓友好関係の下に日韓双方が漁業協定を誠実に遵守し円満に実施していけば、わが国と同様、韓国側でも協定を維持していく上の利益を見出すようになるであろうから韓国側が協定を廃棄できる時期が来ても実際問題として軽々にそのような行動に出ようとは予想されない。韓国政府首脳も同様の趣旨を述べている。
  韓国側が李ライン撤廃問題を国内的に如何に説明しているかは別として李ラインが一般国際法上認められない不法不当なものであることは明らかであり、漁業協定の最も重要な意義の一つは、韓国が公海自由という国際法上の大原則を明文をもつて確認したことである。したがつて、韓国がたとえ、協定を廃棄することがあつたとしてもそれによつて既に確認済みのこの国際法上の大原則に反する李ラインが合法的に存在し得るようになるなどということはあり得ないことである。いずれにせよ、政府としては将来いかなる事態の下においても安全操業を確保するため万全を尽す心構えを有していることを申し述べたい。

五、昭和二十七年法律第一二六号は、当分の間、存置し、永住許可申請をしない第一二六号第二条第六項該当者の処遇は従前どおりとする方針である。
  法的地位協定が成立すると、永住許可を申請した大韓民国国民に対しては、日本政府として、協定に規定されている法的地位及び待遇を与える義務があるが、その他の者については何ら条約上の義務を負つていないので、全く日本の国内措置の問題であるが、法的地位協定の適用を受けない在日朝鮮人であつても、特殊な事情にあることには変りはないので、処遇について従来の取扱いに変更を加えることはない。

六、今回の対韓経済協力に関しては、その公正な実施は政府としても最も意を用いるところであるが、無償有償の援助資金による調達は、韓国側が日本業者と直接に契約を締結して行なうもので、協議決定された実施計画に基づく個々の調達に関する交渉、業者の選定などはすべて韓国側が行なうこととなつているので、日本側の内部で不正の行なわれる余地はない。更に政府としては実施計画の協議、契約の認証等の段階を通じ公正な使用の確保に十分な配慮を行なう所存である。
  また、韓国側においても従来より経済協力を国民全体の利益のために使用する決意を強調しており、このため与野党議員、民間人を含む資金管理委員会を設けて資金の公明な使用を確保し、政府調達をすべて調達庁による一般競争入札を通じて行なうなど種々の不正防止方策を検討中であると承知している。

七、基本関係条約前文及び第四条に国際連合憲章の原則に適合して協力するとか、この原則を指針とするとかあるのは、日韓両国間の関係の正常化に当たつて現在の世界における国際関係の基本原理ともいうべき国連憲章の諸原則にのつとるべしという当然のことを定めているのであつて、基本関係条約にこのような定めがあることによつて、日本として、既に吉田・アチソン交換公文、国連軍協定によつて負つている義務以上のものを新たに引き受けることになるわけではない。いわんや、かりに将来朝鮮で動乱が再発したような場合に、日本として憲法第九条の制約を超えるような行動を執らなければならなくなるなどというようなことは、全くない。

 右答弁する。


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