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答弁本文情報

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昭和四十三年五月七日受領
答弁第一二号
(質問の 一二)

  内閣衆質五八第一二号
    昭和四十三年五月七日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 石井光次郎 殿

衆議院議員田中武夫君提出政府の金買上げ停止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員田中武夫君提出政府の金買上げ停止に関する質問に対する答弁書



一 「さきの御質問」は、政府の買上げ価格一グラムにつき四〇五円は、現在の産金コストから考えて、憲法第二十九条第三項の「正当な補償」とはいいがたいのではないか。」との御趣旨であつたと解されるが、そうであれば、今回の措置は「さきの御質問」と直接の関係はない。
  ところで、政府の買上げ価格一グラムにつき四〇五円が憲法第二十九条第三項にいう「正当な補償」にあたるか否かは、前回の答弁書に述べたとおり、理論的には産金コストとの対比ではなく、金の国際自由価格との対比で考えられるべきであると解されるところ、最近における金をめぐる事態をみれば、国内産金の強制買上げの制度を維持する限り、憲法と条約(国際通貨基金協定)のいずれを優先すべきかの問題を生ずる可能性がないとはいえない。政府が今回の措置をとつたのは、このような問題が生じないようにすることを念慮するとともに、本年三月の金プール参加七カ国によるワシントン会議の決定及びその後の国際金融情勢にかんがみ、国際協力の見地から、とりあえず、政府の強制買上げを暫定的に停止することが必要であると認めたからである。
  また、本年度貴金属特別会計予算(歳出)における金の買入費については、金管理法に基づく国内産金地金買上げ並びに金地金の輸入等に必要な経費が(項)貴金属買入費として約六三億円一括計上されているが、このうち政府の買上げ停止に伴い使用しないこととなる額については、今後における金の国際自由価格の推移をみたうえで、海外からの金の買入れに使用することも可能であると考えている。

二 今回の措置は、一に述べたとおり、あくまで暫定的なものと考えているが、停止の期間については、最近における金をめぐる国際金融情勢がきわめて流動的であるので、現段階においてこれを明示することは困難である。
  今後いかなる時期にいかなる措置をとるべきかは、国際金融情勢の推移を見守りつつ検討することとしたい。

三 今回の措置は、以上に述べた趣旨に基づくものであつて、現段階において、対外決済の準備のために、金を必要としないということを意味するものではない。政府としては、従来から、外貨準備の増加に伴いできれば金保有高の増加を図りたいという立場をとつてきたところであるが、このような政府の方針は、今回の措置により変更されるものではない。
  政府買上げの停止は、その分の金保有高の増加をもたらさないことにはなるが、他方、外国通貨当局及び国際通貨基金から、対外決済準備用の金を買入れることは可能であるので、これにより、わが国の金保有高を増加させることができると考える。また、この措置は、以上述べたところからあきらかなように、円とドルの間に、かくべつあらたな関係を生じさせるものではない。

 右答弁する。




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