答弁本文情報
昭和四十六年五月十八日受領答弁第九号
(質問の 九)
内閣衆質六五第九号
昭和四十六年五月十八日
内閣総理大臣 佐藤榮作
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
衆議院議員池田正之輔君提出検事河井信太郎に対する検察官適格審査会の運営と審査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員池田正之輔君提出検事河井信太郎に対する検察官適格審査会の運営と審査に関する質問に対する答弁書
一 本件質問主意書を提出した衆議院議員池田正之輔君から、検察官適格審査会に対し、十数項の事実をあげ、検事河井信太郎が検察官として不適格であると認められるので同検事の適格性について審査してもらいたい趣旨の申出書が提出された。
同審査会は、検察官適格審査会令第六条により検事総長から申出事実に関する調査報告を徴するとともに関係書類の提出を得、更に独自の立場から調査したうえ、昭和四十五年十一月十三日及び同月二十六日の両日にわたつて審査会議を開催し審査の結果、同検事は検察官としてその職務を執るに適しない者に該当しないという結論に達したものである。
従つて、本件の審査にあたつては、単に河井検事の弁明のみを採用して結論を出したものではない。
二 検察官適格審査会が行なつた調査の内容及び同審査会が検事河井信太郎を検察官としてその職務を執るに適しない者に該当しないと議決した理由についてこれを明らかにすることは、次の諸点から適当でないと考える。
(一) 調査の内容及び右の議決をした理由を明らかにすることは、河井検事の検察官としての適格性に関する評価を事実関係に基づき詳細に説明することとなり、そのことは、当該検察官の名誉に関するのみならず、検察官適格審査会の審議内容を公表する結果ともなり、将来の同審査会の適正な運営に支障をきたす恐れがある。
(二) 池田正之輔君申出の事実は、いずれも河井検事が直接又は間接に取り扱つた刑事事件に関連するものであるから、調査の内容及びその議決の理由を明らかにするには、右刑事事件の捜査の内容についてこれを公表せざるを得ないこととなり、そのことは、事件関係人の名誉に関するのみならず、将来の適正な検察運営に支障をきたす恐れがある。
三 主意書によれば池田正之輔君は、審査申立権限の付与及び審査の結果を理由を付して通知することなど、運営の公正と検察官の行動に対する国民の監視を強化するために必要な規定を整備すべきであるという意見を出しているが、一般人から申し出られた事実についてはすべてこれを審査会議にかけて検討しており、かつ、同審査会は内閣総理大臣の監督に属し、衆参両議院議員六人、検事総長、法務事務次官、最高裁判所判事、日本弁護士連合会会長及び日本学士院会員の合計十一人で組織され、その定足数は九人で、議事は出席委員の過半数により決せられることとされているのであつて、その構成といい、議事方法といい、いずれの見地よりしてもその運営の公正に疑いをさしはさむ余地が全くないと考えられるので、現行の制度をこの際特に改正しなければならない必要性はないものと思料する。
右答弁する。