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答弁本文情報

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昭和四十九年四月五日受領
答弁第一四号
(質問の 一四)

  内閣衆質七二第一四号
    昭和四十九年四月五日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員木原実君提出成田空港と航空の安全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員木原実君提出成田空港と航空の安全に関する質問に対する答弁書



一について

(1)、(2)及び(4)から(8)まで 新東京国際空港(以下「成田」という。)の設置に伴う成田及び隣接飛行場の管制上の管轄空域については、目下、関係機関と調整中であり、まだ確定した案はもつていない。
 また、これら飛行場について、管制上の管轄空域を決定する原則は、その飛行場に出入する航空機の進入、出発及び待機経路とターミナル・レーダー管制業務を行う場合は当該レーダーの覆域とを勘案し、相互に重複した管制を行わないよう平面的あるいは高度的に空域を分離することである。

(3) 霞ケ浦飛行場については、現在進入管制は行われておらず、また、近い将来において行う計画はない。

(9) 阿見及び御宿VORDME上空周辺の飛行経路はまだ確定していないが、一般的に、ある空域において航空交通量が多い場合には、できるだけ高度的に分離した複数飛行経路を使用することにより、安全を確保している。

二について

(1)及び(2) 成田開港時の羽田空港の進入、出発及び待機経路は、まだ確定していない。

(3)及び(4) 内陸部分については、まだ確定しておらず、また、洋上部分についてもほぼ結論には達しているものの決定には至つていない。

(5)及び(6) 開港日の四、五か月前までに決定したいと考えている。

(7) まだ確定していない。

(8) 成田の離発着については、航空機の運航の安全性を十分考慮しつつ騒音低減のために直進上昇及び直進降下をさせるよう検討中であつて、詳細については、まだ決定していない。

(9) 両空港の空域の境界は、まだ確定していない。

(10) 成田と三宅VORDME間にシングル・ルートを設定する場合には、妨害にならない。マルチ・ルートを設定する場合における当該空域との調整については、目下関係省庁間において検討している。

三について

(1)及び(2) 別図一のとおりである。

(3)及び(6) 百里管轄空域は、百里飛行場に出入する航空機の進入、出発、待機経路及びレーダーの覆域等を勘案し、隣接する管制機関相互に重複した管制を行わないよう平面的あるいは高度的に空域を分離することについて、防衛庁と運輸省が協議を行つて定めたものである。

(4) 昭和四十八年度末における配備機種及び機数は、次のとおりである。

  F ― 4EJ 二二機
  F ― 104J 一八機
  F ― 104DJ 二機
  T ― 33A 一〇機
  T ― 34A 一機
  MU ― 2 二機
  V ― 107 二機
    計 五七機

(5) 昭和四十九年度には、RF ― 4E等約一〇機を配備する計画である。

(7) F ― 104J機についていえば、発進後一連の離陸操作を完了するまで直進上昇を行うが、これに要する時間は約一〇〇秒であり、この時点で高度約二、〇〇〇メートルに達する。

(8)及び(9) 百里基地に配備されている航空機のための訓練空域がいまだ設定されていないので、航空機の姿勢、高度又は速度の急激な変化を伴う訓練飛行については、中部本州空戦訓練区域等で行うほか、三沢飛行場へ移動のうえその近傍の訓練空域で行つている。
 このため、訓練上大きな制約を受けているので、百里基地近傍に訓練空域を設定すべく目下関係省庁間において検討中である。

(10) 百里基地から緊急発進した航空機は、南向け及び北向けともに発進後百里基地東方の方位三〇度から一六五度までの間を上昇する。

(11) 成田と百里飛行場については、両立させることが可能であるので、百里飛行場を撤去する考えはない。

(12) 百里基地の存在理由は、航空機によつて中部日本における防空、領空侵犯対処、救難行動等を行うことにある。

四について

(1)及び(2) 成田の位置選定に当たつては、他の飛行場あるいは航空路との管制上の関係を最も重視して検討を行つた。
 成田の位置を三里塚地区に決定するに当たつても、運輸省と防衛庁と協議のうえ、専門的な見地から検討した結果、羽田及び百里の飛行場の空域と重複することなく相互に所要の空域を確保できるとの結論であつた。

(3)から(6)まで 成田について、当初策定した管制空域は、運輸省航空局において、現実に航空交通管制を行つている経験に基づいて、関東空域における航空交通の流れを最も安全かつ効率的にさばくという見地から綿密な検討を経て得られた結果である。したがつて、当初の基本的構想は、現在においても廃棄されていない。

(7) 羽田及び成田に係る進入及び出発経路並びに関東空域の航空路との関連で関係管制機関の運用方式等を検討している過程において、御宿VORDMEは、羽田に使用する方がより効果的であると思われるに至つたところから、目下その方向で検討中である。

(8) 基本的には、当初の管制空域案による航空交通の流れを前提として計画され、設置されたものである。

(9) これらのVORDMEは、従来のNDB航空路をより精度の高いVOR航空路にするための計画の一環として、併せて関東の空域における進入、出発経路等の設定にも利用することを前提として、設置されたものである。
 例えば、館山及び横須賀VORDMEは、従来のNDBに代わるもので、その利用目的に変更はなく、また、三宅島VORDMEは、成田への飛行ルートを羽田のそれから分離するために新たに設置されたものである。
 なお、VORDMEは、そのいくつかを相互に利用することにより多様な飛行経路を設定することが可能であり、また、航空交通の変遷に対応する空域構成の変化によつてこれらVORDMEの利用方法は将来変更されることがある。

(10) 銚子にVORDMEでなくVORTACを設置した理由は、成田と百里飛行場の管制空域を明確に分離するためである。

(11) 当初の案は、進入、出発経路の基本計画を定めたものであつて、待機経路については特に確定はしなかつた。

五について

(1)及び(2) 一般に、近接して複数の飛行場が存在する場合、それぞれの飛行場ごとに分離された管制空域内の航空交通の量及びその形態、当該空域の構成状況等の諸条件からみて、これらの複数飛行場に離発着する航空機の飛行経路が錯綜し、及びそれらの経路上の航空交通の態様が輻輳化するに至つたときは、全体的空域の有効利用と管制処理能力の向上を図るため、これらの複数飛行場について、一元的なターミナル・レーダー管制業務を実施するのが妥当であると考える。

(3)及び(4) 刑事上の責任については、個別の事案ごとに判断さるべきものと考える。しかし、管制は、その時点における態勢に応じ常に安全を考慮して行うものであり、ターミナル・レーダー管制業務の一元化が遅れたことが原因で事故が発生するということは考えられないので、そのことによる刑事責任が問題になることはない。

(5) 通過機は、通常、水平飛行をするが、出発、進入する過程においては、航空路上で上昇、降下が行われることがある。特に大型機の水平飛行高度は高いので、そのケースが多い。
  (イ) 上昇時の経路幅
    (a) 直線離陸上昇の場合
        滑走路末端において三〇〇メートルの幅を有し、それ以降左右一五度のテーパーで広がり三四キロメートルの距離で一八キロメートルの幅に達する。
    (b) 旋回離陸上昇の場合
        旋回方向及び利用する無線施設の設置位置によりケースは異なつてくるが、飛行場から区域が広がつていき一八キロメートルの幅に達する。

  (ロ) 降下時の経路幅
      進入区域は、初期進入、中間進入、最終進入の区域から構成される。
    (a) 初期進入区域
        通常航空路上のフィックスから始まり一八キロメートルの幅を有する。
    (b) 中間進入区域
        初期進入区域の一八キロメートルの幅が左右一〇度のテーパーで狭まつていきILSのコンパスロケーターにおいて七・四キロメートルになり、以降、狭まりながらアウター・マーカーに達する。アウター・マーカーにおける幅は、その位置によつて異なる。
    (c) 最終進入区域
        アウター・マーカーにおける幅から狭まつていき、滑走路末端から一、〇六〇メートルの距離で六〇〇メートルの幅になり、以降、六〇〇メートルの幅を保持する。

(6) NDBの精度からみて世界的に広く採用されている基準である。

(7) 成田の離着陸コースの幅は、前記五について(5)に述べた基準に基づいている。
    待機空域は、無線標識所上空の場合及び無線標識所の電波交点上空の場合は待機高度によつて、また、VOR電波方位とDME距離を利用したフィックス上空の場合は待機高度と待機ポイントのVORDMEからの距離によつて、伸縮する型をとる。

(8) 航空機の高度計の機械的誤差は、極めて小さくなるよう設計されており、かつ、航空機取付時における個々の機能検査で精度の維持が図られている。また、航空機使用者に対しては、当該航空機の高度計及び静圧系統の点検を定期的に行うよう通達により指示しているので、その精度は十分保持されている。
    一方、航空機の離陸上昇又は進入降下中の高度計の指示遅れについては、ごく僅少で問題とはならない。また、航空機の操舵に対する応答の遅れも、僅少であるうえ、旅客機の操縦士は、機種ごとに技能証明を受けており、当該機種の飛行特性並びに操舵反応については、十分慣熟しているので、問題はない。

(9) 航空機の安全間隔の確保は、平面上の分離又は高度上の分離で行われている。通常、平面分離は、航空保安無線施設を利用し、高度分離は、高度計により確保している。
    操縦士にとつて、方向と高度を維持することは、初歩的かつ必須の技術であり、操縦士としての基本条件であるので、緊急時における航空機の操作が特に操縦士の負担となるとは考えられない。

六について

(1)及び(2) 航空交通管制の態勢の整備については、航空の安全の一層の確保を指向しつつ、更に、板付飛行場、沖繩における管制の引継ぎ、航空路管制の全面レーダー化等に対処して、その強化を図つてきているところである。
 横田飛行場の進入管制エリアについては、従来から遂次当該エリアの縮小等を行うことにより、民間航空機に対する安全かつ円滑な管制業務の実施を図つてきており、現時点において、直ちに、当該進入管制業務を引き継ぐことは予定していない。

(3)及び(4) 要求したことはない。

(5) 空母ミッドウェイの艦載機は、厚木飛行場に移動している。その飛行コース及び高度については、その時の状況に応じて変化するので、一定でない。

七について

(1) 別図二のとおりである。

(2) 違反しない。

(3)及び(4) 昭和四十七年四月二十八日及び昭和四十八年六月二十九日、新東京国際空港公団総裁から運輸大臣あて文書で申請がなされ、それぞれ、昭和四十七年六月二十九日及び昭和四十八年九月四日の文書で承認されている。

(5) 進入燈は、航空機の最終進入時にパイロットに対して滑走路の方向及び位置、自機の姿勢等についての視覚的情報を提供するものである。
    本方式は、各燈器の光度、配光及び燈器の配列、色等によつて提供されるパターン的情報内容から判断して、標準型進入燈と同等の機能を有するものと考える。

(6) ICAOの附属書によれば、可能な限り同附属書に定める基準に従うこととされており、同基準によらない施設の設置を容認している。

(7)及び(8) 視覚による航行援助システムの評価は、パイロットが最適であり、この点から世界的に学識経験を認められているIATA及びIFALPAの同意を得ている。

(9) 航空法施行規則第七十九条及び第百十七条については、その他の条項とともに、実情に即するよう昭和四十六年十一月二十五日運輸省令第六十三号により改正されたものである。

(10) 刑事上の責任については、個別の事案ごとに判断されるべきものと考える。しかし、本件進入燈を原因として事故が発生するということは考えられないので、そのことによる刑事責任が問題になることはない。

八について

(1)及び(2) カテゴリーIIの性能は、カテゴリーIに比べて計器進入の精度が高いので、あらゆる気象状態において、定時性が向上されることとなり、結果としてより能率的な運航が可能となる。

(3)から(5)まで 成田における気象観測統計の三か年(昭和四十三、四十四、四十五年)平均によれば、A滑走路に関する横風分力が一三ノットを超える回数は、一・四パーセントである。
 A滑走路のみで開港したとき、かかる気象状況の場合、代替空港を利用することになると考えられるが、ICAOでも勧告しているとおり、完全な運用を図るためには横風用滑走路が必要である。

(6) 友納千葉県知事がC滑走路の建設中止を運輸大臣に申し入れた事実はない。

九について

(1) 運輸大臣が設置管理する第一種空港二空港、第二種空港一九空港のうち、障害物件のあるものは、東京国際、大阪国際、函館、新潟、名古屋、広島、高松、福岡、北九州、宮崎の一
    〇空港である。
    なお、公共用施設の指定のある自衛隊飛行場五飛行場のうち、障害物件のあるものは、札幌、美保、徳島の三飛行場である。

(2) 各空港及び飛行場に係る障害物件の位置及び各表面の上に出る高さは、別表のとおりである。

(3) 障害物件については、所有者と交渉を進める等により極力除去に努めている。
    また、安全対策としては、可能なものには障害物件も考慮して航空機の出発進入経路等を定めるとともに、必要に応じ昼間障害標識及び航空障害燈による障害物件の明示並びに航空路誌及びノータムによる関係者への周知等の措置を講じている。

 右答弁する。


別図一:百里飛行場におけるTACAN及びADF進入経路図



新東京国際空港A滑走路34側進入燈配置図


別表

障害物件の状況 1/2


障害物件の状況 2/2




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