答弁本文情報
昭和四十九年四月五日受領答弁第一八号
内閣衆質七二第一八号
昭和四十九年四月五日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員玉置一※(注)君提出行政指導による価格設定に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員玉置一※(注)君提出行政指導による価格設定に関する再質問に対する答弁書
一及び二について
政府が行おうとする行政指導は、一定の行政目的を実現するため、相手方の任意の協力を得て行うものであつて、国民の権利を制限し、又は国民に対し義務を課したりするような強制力を有するものではなく、行政機関の所掌事務の範囲内において行うものである。
行政指導は、このような性格を有するものであるから、法治主義の原則に反するものではないが、その実施に当つては、いやしくも行政権の濫用となつたり、財産権の保障等の憲法の基本的人権を侵害することのないよう十分配慮することは当然である。
行政指導とは、相手方の任意の協力を前提とするものであるから、相手方が協力しないため所期の行政目的が実現されないことがあり得るが、政府としては、そのような場合にも、協力しない者に対し、その協力しないことを理由としてただちに制裁措置を加えるようなことは考えていない。
政府が「価格に関する行政指導を行うことは必要やむを得ないものと考える。」と述べた趣旨は、前回の貴質問主意書(昭和四十九年三月十五日提出質問第十五号)に対する答弁書において述べたとおりである。価格は本来市場において需給関係を基準として定まるべきものであり政府の価格に対する関与が必要な限度にとどまるべきであることはいうまでもないが、物価抑制が最大の国民的課題である現状にかんがみ、現行法秩序のもとで本来正当なものとして許される範囲内で価格に関する行政指導を行つているところである。
政府としては、今後も時宜に応じ価格抑制の見地から必要かつ正当な行政指導を行い、国民の要請にこたえたい。