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答弁本文情報

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昭和四十九年五月二十八日受領
答弁第二三号
(質問の 二三)

  内閣衆質七二第二三号
    昭和四十九年五月二十八日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員木原実君提出成田空港と航空の安全に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員木原実君提出成田空港と航空の安全に関する再質問に対する答弁書



一について

(1) 隣接飛行場とは東京国際空港及び百里飛行場であり、関係機関とは防衛庁及び運輸省の内部機関である。目下調整中の項目は、百里飛行場における計器飛行管制に関することのほか、成田空港の進入、出発及び待機経路との関連におけるこれら三飛行場の管制上の管轄空域の境界に関する事項である。

(2) 管制上の管轄空域は、その飛行場に出入する航空機の進入、出発及び待機経路と密接に関連しており、これら経路については、十分時間をかけて検討を重ねることとしているためである。

(3) 下総飛行場の進入管制は、成田空港開港後は、羽田空域の一部として行うよう予定している。

(4)(イ)及び(ロ) 「高度的に分離した複数飛行経路を使用する」ことが望ましいとする条件及びそうしなければならない条件は、その空域内の飛行経路を使用する航空機の型式や飛行の態様、航空交通の量、管制の方式等により複雑に変化するので、一般的に適用される基準は定められていない。「高度的に分離した複数飛行経路」とは、高度差による安全間隔(垂直間隔)をとつた複数の飛行経路である。

   (ハ)及び(ニ) 飛行経路を高度差により設定する場合、ある経路について航空機の上昇降下が頻繁に行われるときは、当該経路を使用する航空機の性能、飛行の態様等を考慮して、同一の交通量を前提とした巡航の場合より高度幅を大きくとることにより他の経路と分離することとなる。

二について

(1)から(8)まで 成田空港の飛行経路については、開港の四、五か月前までに決定したいと考えているが、その際には、千葉県、茨城県その他の地方公共団体の意見をもできるだけ考慮していく考えである。成田空港の飛行経路はまだ確定していないので、公表できる段階ではない。

(9) 成田空港と三宅VOR・DME間をシングルルートからマルチルートにするための条件は、基本的には交通量であるが、具体的には当該交通の集中度合、進入機と出発機の混合の割合、当該経路を飛行する航空機の機種構成等の相互関連により決まるので、単純に数値で示すのは困難である。

(10) 関係省庁は主として防衛庁及び運輸省であり、昭和四十六年末から制限空域の変更に関する検討を行つている。

三について

(1) 北側の空域下には、水戸、勝田、那珂湊等の市街地及び東海村の原子力施設があるので、安全上の見地からタカン進入経路は設定していない。

(2) 滑走路の主たる使用方向は、南側からであり、その使用率は約七〇パーセントである。

(3) 約二八キロメートルである。

(4)から(7)まで 一般に管制上の管轄空域を設定するに当たつては、進入出発及び待機経路との関連において、当該飛行場に出入する航空機の機種、機数等をも勘案するのが通例であり、百里管轄空域についても同様である。
    なお、成田空港の設置に伴う百里飛行場の管轄空域については、両飛行場への円滑なる進入及び出発飛行が確保されるよう目下、防衛庁と運輸省との間で協議中である。

(8) 約一〇キロメートルである。

(9) 成田空港と百里飛行場は、比較的近距離にあるが、相互に調整を行うことによつてそれぞれの機能を両立させることは可能である。

四について

(1) 成田空港の位置決定に当たつては、管制上の問題のように技術的な事項とは別に周辺住民に及ぼす影響等について十分に検討を行い、これらの諸条件を総合勘案して決定したものである。ちなみに、成田空港の位置決定についての閣議決定に際しては、同時に「新空港の位置決定に伴う地元対策について」という閣議決定を行つており、地元対策には十分な考慮を払つている。

(2) 羽田及び百里の飛行場の空域については、両飛行場施設の位置関係、両飛行場に係る航空交通の態様、関連する航空保安施設の配置等から相互に重複することなくそれぞれ所要の空域を確保できるかどうかを検討し、これら飛行場は両立が可能であるとの結論に達したものである。

(3) 一般に、新たに空港を設置する場合には、当該空港に係る個別の進入、出発及び待機経路を設定する前に、当該空港を含む周辺空域の航空交通の流れに基づいて基本的な進入及び出発経路並びに管制空域の計画を定め、しかる後関連する航空保安施設の機能等を考慮しつつ具体的な内容を確定していくのが通常の手法である。成田空港についても、このような手法に従つて、関東空域における航空交通の態様を仔細に分析し、管制空域に係る当初案を策定したものである。

五について

(1) 複数飛行場に離発着する航空機の飛行経路が錯綜するとともに当該経路上の航空交通が量的に増大し、かつ、質的に多様化するに至つたときには、これら飛行場について一元的なターミナル・レーダー管制に移行するのが妥当であると考えるが、そのような状態に立ち至つたかどうかについては、現場管制機関におげる管制業務の実体に照らし個別に判断すべきものと考える。

(2) 管制業務の基本原則は、航空機の運航の安全確保であり、管制処理能力の向上は、当然これを前提として行うべきものである。関東空域におけるターミナル・レーダー管制業務の一元化についても、安全性の確保という前提のもとに、空域の有効利用と管制処理能力の向上を図る手段として計画されるべきものと考えている。

(3)から(5)まで管制業務の基本原則は、いついかなる場合においても安全の確保である。ターミナル・レーダー管制業務についても、これが一元化されている場合あるいはされていない場合いずれであつても、それぞれの態勢に応じ安全を確保しうる管制処理能力を前提として管制業務を行うこととなるので、安全の点において差が生ずることはあり得ない。したがつて、ターミナル・レーダー管制業務の一元化が遅れたことが原因で事故が発生することは考えられない。

(6) 航空機の機種、離陸重量、経路上における風向、風速、温度等の諸条件により大きく異なるので一概にはいえないが、例えば、ボーイング七四七―LRが標準大気温度、無風の場合で三一、〇〇〇フィートに達するには、約四八〇キロメートル前後を必要とするとされている。

(7) 我が国よりはるかに長い経験に基づき諸外国において統一的に採用されている基準であり、問題はないと考えている。

(8) 関東空域におけるターミナル・レーダー管制の一元化は、最終的には、横田、羽田、成田及び百里の空域を対象とするが、当面は、成田及び百里について実施することになると考えられる。これらターミナル・レーダー管制の一元化は、運輸省の主導により行うこととなる。

六について

(1) 横田空域の縮小等は、次のとおり行つている。

横田空域の縮小等


(2) 米軍が我が国で行つている航空交通管制業務は、地位協定第六条第一項に基づく航空交通管制に関する合意により事実上の問題としてICAO基準に準拠して行われているものである。

七について

(1)及び(2) 本システムの主体である側辺バレツトは、中心線燈列が設置できない場合の代替システムとして前例のある一般的なものである。また、側列バレツト、一五〇メートルクロスバー及び接地帯燈は、カテゴリーII精密進入滑走路に係る進入燈システムと同じ配列であり、実験又はシミユレーシヨンを必要とするとは考えない。

(3) IATA及びIFALPAは、ともに、本施設に関する協議会に出席しており、IATAは、昭和四十八年三月二日付け文書により同意を表明してきた。また、この同意は、IATAがIFALPAと調整済みのものである。またIATAは、(一)一五〇メートルクロスバー、(二)側列バレツト(赤色)、(三)接地帯燈の設置を要請してきたので、これを設置した。

(4) 例えば、飛行場燈火についていえば、工事等で一時的に滑走路を短縮して使用する場合の滑走路末端燈の設置等がある。

(5) 前回述べたように、本件進入燈を原因として事故が発生するということは考えられない。

八について

(1)及び(2) 昭和四十三年及び昭和四十四年の二年にわたり、三里塚地区において、気象調査を行つた結果、視程八〇〇メートル未満四〇〇メートル以上、雲高六〇メートル未満三〇メートル以上のものが一〇五回測定された。右記のような気象状況は、カテゴリーIIの運用の範囲と考えられる。

(3) A滑走路南側の進入着陸については、当分の間、カテゴリーI運用とせざるを得ない状況である。しかし、できるだけ速やかにカテゴリーII運用を可能にするため努力している。

(4) 新空港の代替空港については、現在検討中である。

九について

 昭和四十九年四月五日付け答弁書別表の現用飛行場に関する障害物件のうち、進入表面、転移表面又は水平表面が告示された後設置又は植栽された障害物件及びその設置等の時期並びにこれらの障害物件の具体的な除去対策等は、別表のとおりである。
 なお、右の物件のうち、水平表面に係るものについては、航空法第四十九条第一項但し書の規定により飛行場の設置者たる運輸大臣の承認を受けているものである。

 右答弁する。


別表
告示後にあらわれた障害物件の状況

告示後にあらわれた障害物件の状況




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