答弁本文情報
昭和四十九年八月六日受領答弁第六号
(質問の 六)
内閣衆質七三第六号
昭和四十九年八月六日
内閣総理大臣 田中※(注)榮
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員吉田法晴君提出文化財保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員吉田法晴君提出文化財保護に関する質問に対する答弁書
一について
一般に埋蔵文化財包蔵地において開発事業の計画が生じた場合には、文化財保護の見地から関係者間で協議を行い、文化庁において遺跡の重要度等から総合的に判断して、計画の変更を行うこととするか、開発事業もやむを得ないものとして事前の発掘調査をし、記録保存等を行うかを決めることとしている。その決定は、関係地方公共団体の教育委員会の意見と文化庁の判断によるものであつて、発掘調査の経費を事業者に負担させることが直ちに埋蔵文化財の保存の措置に影響を及ぼすものとは考えられない。
なお、国は、従来から埋蔵文化財の保護の適正を図るため発掘調査費等の予算の充実に努めてきており、今後ともこの方向で努力する方針である。
埋蔵文化財は、その重要性の程度のいかんにかかわらず可能な限り保存することが望ましいことはもとよりであり、その重要性の程度だけから判断して保存しないことをあらかじめ決めるような措置を採ることは適切でないと考える。
他方、埋蔵文化財は、その性質上発掘調査によらなければその範囲、性格、重要度等が確認できないものが多く、そのすべてを発掘調査することは著しく困難である。
したがつて、国としては、特に重要と認められる遺跡についてその範囲、性格等を確認するための発掘調査を行い、その調査結果に基づいて史跡指定等の保存対策を積極的に図ることとしている。