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答弁本文情報

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昭和五十年三月二十八日受領
答弁第一一号
(質問の 一一)

  内閣衆質七五第一一号
    昭和五十年三月二十八日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員田中武夫君提出入浜権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員田中武夫君提出入浜権に関する質問に対する答弁書



一について

 浜辺の土地については、国有のものとそうでないものとがある。

二について

 過去における工業開発等による経済成長は、国民の所得水準の向上等国民生活の物的豊かさをもたらしてきたが、反面、公害や自然破壊の激化を招いたところである。
 このような反省や教訓のうえに立つて、近年公害対策や自然保護対策が強化されており、公害対策基本法(第三条、第四条、第五条)及び自然環境保全法(第四条、第九条、第一〇条)において、事業者、国及び地方公共団体がそれぞれ公害の防止及び自然環境の保全につき努力すべき責務を有する旨がうたわれているところである。
 なお、政府としては、瀬戸内海の特殊性にかんがみ、その自然環境の保全及び水質の浄化のための諸施策を、今後とも一層推進してまいりたい。

三について

 何人も、レクリエーションなどのために、他人の使用を妨げない限度で、海又は海浜を自由に使用することができることは、海又は海浜がいわゆる公物として一般公衆の用に供されている以上当然のことである。
 なお、民法第二六三条及び第二九四条の入会権は、特定の地域の住民が、一定の山林原野等において、その団体の統制の下に、共同してまぐさを採取する等の収益を行う幕藩時代からの慣習に基づく権利であり、その慣習は、各地方により区々である。

四について

 公害を防止するとともに貴重な自然を保護し、生活環境の保全を図るため、政府としては、これまで汚染物質の排出等に関する規制、公有水面の埋立に関する規制、環境影響評価の実施、公害防止のための社会資本の充実等を積極的に推進してきたところであるが、今後ともこれらの施策を一層強力に展開し、生活環境の改善と良好な生活環境の保持に努めてまいる所存である。

五について

 一般的には、企業が地域に立地する以上、その地域住民との融和に努めることは当然必要であり、安全確保等に支障のない範囲で広場、緑地等を広く開放することは望ましいことと考える。
 高砂市の件については、地域住民の要求の趣旨を配慮して、当事者間で実情に即した円満な解決が図られるよう期待しているところであるが、各企業に対して、地域社会の一員としての自覚の下に、地方公共団体の適切な助言を受けて、地域住民との可能な一致点を見い出すべく十分話し合うよう必要があれば指導することとしたい。
 なお、この種の地域住民の要求があつた場合には、地方公共団体、関係企業及び地域住民が話し合つて、地域の実情に即した円満な解決が図られることを期待する。

六について

 民法は法務省の所管する法律であり、説明員は、民法上の観点から、入浜権と称されるものの権利性に関する問題について説明する趣旨で述べたものである。

七について

 具体的な事案の内容にもよることであるが、一般的に言えば、美しく、楽しい海浜を奪われたという理由だけで、補償を請求することは困難であると考える。
 なお、国民の健全なレクリエーションの場を確保するためにも、環境の保全をはかることは極めて重要であるので、政府としても一層その推進に努めてまいりたい。

 右答弁する。




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