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昭和五十年四月二十二日受領
答弁第一七号
(質問の 一七)

  内閣衆質七五第一七号
    昭和五十年四月二十二日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員田口一男君提出住友重機及びその関連企業の富田機器、日特金属の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員田口一男君提出住友重機及びその関連企業の富田機器、日特金属の労使紛争に関する質問に対する答弁書



一について

1 住友重機械工業株式会社(以下「住友重機」という。)には、従来、全日本造船機械労働組合浦賀分会(以下「浦賀分会」という。)、同玉島分会(以下「玉島分会」という。)及び総評全国金属労働組合住友重機械支部(以下「住友重機支部」という。)の三労働組合(以下「旧三労組」という。)があつたが、浦賀分会及び玉島分会において、昭和四十六年春ころから組合執行部の方針に批判的なグループがいわゆる「民連」(民主化総連合)を結成し、この活動等をめぐつて組合内部の対立が激しくなつたと聞いている。
  これに対し、全日本造船機械労働組合(以下「全造船機械」という。)は、同年入月、いわゆる「民連」グループの組合員に対し、統制違反を理由として権利停止を含む処分を行つたが、これに反発する組合員は、同年九月、浦賀分会及び玉島分会とは別に、新たに、住友重機械工業労働組合及び住友重機械玉島労働組合を結成した。
  他方、住友重機支部の新居浜支部等においても組合執行部批判等の動きがあり、昭和四十七年十月に開催された住友重機支部の大会において、総評全国金属労働組合(以下「全国金属」という。)からの脱退を決議するとともに、組合の名称を住友重機械労働組合に変更した。

2 こうした動きをめぐり住友重機側による支配介入等があつたとして、旧三労組側から、関係の地方労働委員会、地方裁判所等に対し、不当労働行為救済申立て、仮処分申請等が行われたほか、旧三労組組合員の解雇問題、新就業規則の適用問題、組合専従者の原職復帰問題等をめぐつて、旧三労組側と住友重機側との間に紛争が続いており、現在、これらの事案についても、関係の地方労働委員会及び地方裁判所に対し、不当労働行為救済申立て等が行われていると聞いている。

二について

 住友重機の関連企業である日特金属工業株式会社(以下「日特金属」という。)及び株式会社富田機器製作所(以下「富田機器」という。)においては、従来、全国金属系の労働組合がそれぞれ組織されていたところ、日特金属においては昭和四十六年十二月に企業内労組の日特金属労働組合が、富田機器においては昭和四十八年四月に企業内労組の富田機器労働組合が、それぞれ新たに結成され、現在、両社には、それぞれ二つの労働組合が存在していると聞いている。
 なお、新組合の結成に当たり、会社側の支配介入があつたとして、全国金属側から、関係の地方労働委員会に対し不当労働行為救済申立てが行われている。

三及び八について

1 地方労働委員会に対する不当労働行為救済申立てについては、全国金属、全造船機械等から、昭和四十六年七月から昭和五十年三月までの間に、住友重機等を被申立人として、計十八件の申立てが行われた。これらの事件のうち、不当労働行為救済命令が出されたものが二件、和解が成立し取り下げられたものが二件となつているが、このほかの十四件については、現在、関係の地方労働委員会に係属中である。
  なお、不当労働行為救済命令が出されたもの二件のうち一件については、申立人労働組合等が、これを不服として中央労働委員会に対し再審査の申立てを行つている。

2 裁判所に対する仮処分申請等については、全国金属、全造船機械等から、昭和四十六年一月から昭和四十九年十二月までの間に、住友重機等を被申請人等として、三十件の仮処分申請等が行われたと聞いている。これらの事件のうち、決定又は命令が出されたもの九件(そのうち五件について住友重機からの異議申立て事件が係属中である。)、和解又は取下げが行われたもの七件となつているが、このほかの十四件については、現在、関係地方裁判所に係属中であると聞いている。

3 労働基準監督機関に対する申告については、浦賀分会、玉島分会、住友重機支部等の役員等から、住友重機及び富田機器の事業場において、労働基準法等の違反の事実があるとして、それぞれ所轄労働基準監督署に対し、昭和四十六年以降、計二十三件の申告が行われたので、所轄労働基準監督署は申告に係る事業場に対して臨検監督を実施した。その結果、労働基準法第二十四条、第三十七条、第八十九条等の違反及び労働安全衛生法第二十条、第五十九条等の違反の事実が認められたので、所轄労働基準監督署は、これを是正するよう勧告を行い、是正させたところである。
  なお、昭和五十年一月十六日に行われた浦賀分会の役員等からの申告については、現在、所轄労働基準監督署において調査中である。

四について

 現在、住友重機は、富田機器(資本金額一億円)の発行済株式の全数を所有していると聞いている。
 なお、全国金属等は、富田機器及び住友重機が、組合の運営に対する支配介入等を行つたとして、昭和四十七年十一月に、両社を被申立人として、三重県地方労働委員会に対し不当労働行為救済申立てを行い、現在、同事件は同地方労働委員会に係属中である。

五について

 昭和四十八年六月二十日、松山地方法務局に対し、住友重機愛媛製造所運搬機事業部機械課勤務の伊藤邦俊から、住友重機支部中央執行委員長寺川実を代理人として、同僚等から人権侵犯を受けた旨の申告がなされたため、同地方法務局において調査した結果、人権侵犯の事実が認められたので、同課勤務の前野紀彦ら四名に対し、人権尊重の理念を啓発するとともに、侵犯事実を摘示し反省善処を促したところ、同人らはその趣旨を理解し、その行為に行き過ぎと適切を欠いた点のあつたことを卒直に認めたので、昭和四十九年九月二十四日付けで説示として処理した。

六について

 住友重機、日特金属及び富田機器における新組合の結成の時期、経緯等については、一及び二において述べたとおりであり、また、「不当労働行為を申し立てると必ず第二組合が結成されたといわれる」との御指摘については、そのような関係は不明である。

七について

 労働組合等は、使用者の不当労働行為に対して、労働組合法の定めるところにより労働委員会に対してその救済の申立てをすることができることとされているほか、不当労働行為による権利侵害に対しては、民事訴訟法の定めるところにより裁判所に訴えを提起することができることとされており、使用者の不当労働行為から労働者を救済する制度が確立されているところである。
 なお、労働者が労働委員会に対して不当労働行為救済申立てを行つたこと等を理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすることは、不当労働行為として禁止されているところである(労働組合法第七条第四号参照。)。

九について

 使用者は、労働関係法令を遵守すべきことは当然であり、政府としては、かねてから労働関係法令違反の防止に鋭意努めてきたところである。
 しかして、労働基準法等に違反する行為を行つた使用者に対しては、労働基準監督機関は、是正勧告等を行うとともに、特に悪質な事案については送検等の措置を講じてきたところである。
 また、労働基準監督機関は、労働基準法等に違反する一定の事案について関係行政機関との間で相互通報を行うこととし、それぞれ監督指導上の参考とすることとしているが、住友重機及び富田機器における労働基準法等の違反の事実は、右の通報を要する事案には当たらないものである。
 なお、不当労働行為救済命令が確定した場合及び不当労働行為救済命令が確定判決によつて支持された場合には、その違反に対しては罰則の適用があるものとされている(労働組合法第二十八条及び第三十二条参照。)。

十について

 昭和四十三年七月に、公共企業体等労働委員会事務局長の職を辞した北村久寿雄が、同年八月、浦賀重工業株式会社の要請により同社の取締役に就任し、その後昭和四十四年六月に、同社が住友機械工業株式会社と合併して現在の住友重機が発足するに及び、同社取締役人事室部長に転じ、昭和四十八年二月には常務取締役に就任、現在に至つていると聞いている。なお、同人と住友重機における労使紛争との関係については、政府としては、関知していない。

十一について

 住友重機が昭和四十八年に入つてから、富田機器のほかに新たに日特金属に対してもバイエル無段変速機の生産委託を行うこととしたのは、昭和四十七年から同変速機に対する需要が増大したものの、富田機器の生産能力の拡充が工場敷地の取得難から断念されるに至つた結果であり、日特金属に対する生産委託後も富田機器の既存の設備による同変速機の生産は引続き維持されたと聞いている。
 また、日特金属における同変速機の生産は、昭和四十八年下期以降同社の売上げに寄与するに至つているが、同社の決算は既に昭和四十七年下期から黒字に転じているようである。
 なお、その後、同変速機に対する需要減退により、富田機器においては、本年四月希望退職者募集の提案が同社から組合側に対し行われたが、労使合意をみるに至らず、現在、一時帰休が実施されていると聞いている。

十二について

 英国女王エリザベス二世陛下の訪日に際し、エディンバラ公フィリップ殿下は、住友重機追浜造船所を視察される予定となつているが、この視察先は、現地視察を行つたうえでの英国側の希望により、選定されたものである。
 英国側としては、最新の設備を有する大規模な工場を視察したいとの考えから、同造船所の視察を希望したものと考えられる。かかる事情にかんがみ、エディンバラ公が同造船所を視察される際には、関係者がこぞつて歓迎し、つつがなく視察が行われ、その目的が十分に達成されることが望ましい。

 右答弁する。




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