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答弁本文情報

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昭和五十四年二月二十三日受領
答弁第四号
(質問の 四)

  内閣衆質八七第四号
    昭和五十四年二月二十三日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 (注)尾弘吉 殿

衆議院議員春日一幸君提出生命保険契約上の告知事項等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出生命保険契約上の告知事項等に関する質問に対する答弁書



一について

 昭和五十年度から昭和五十二年度までの間に告知義務違反により契約を解除された件数(保険金の請求書類を受理した死亡契約のうち、当該期間中に解除の決定がなされたもの)は、三千三百十三件であり、この期間中に保険金額の一部に相当する金額が弔慰金として支払われているものは、千二百九十七件である。
 弔慰金の支払は、法律的には告知義務違反に該当するものの、悪意又は重大なる過失という要件を、全面的に被保険者又は保険契約者の責めに帰すのは酷である場合、裁判上の和解による場合などに、個々の具体的事例に即し行われているものである。

二について

 例示の告知書は、社医又は嘱託医が、告知を求める事項について、被保険者から項目ごとに逐一聴取し、その有・無及び有の場合の詳細を記入の上、告知内容の確認のため被保険者等の署名を徴する告知方式に使用されたものであり、様式上も該当項目が有る場合に記入する欄を別に設けている。したがつて、被保険者が「治療をうけたこと」の有無についての質問項目と、「手術をうけたこと」の有無についての質問項目とを混同することはないものと考えられる。

三について

 「一週間以上の治療をうけたことまたは休養したこと」には、その日数が一週間以上継続している場合はもとより、短期間に治療が反復している場合など形式的には断続的であつても、社会通念上継続していると同様の実態にあるものは含まれる。

四について

 治療の程度を被保険者又は保険契約者が判断することは、困難な場合が多いと考えられる。
 したがつて、形式的に告知書の記載事項に該当する場合にほ、その内容を告知することにより、保険会社が契約引受の可否を判断する際の資料とすることが必要である。

五について

 被保険者の罹病の認識は、個々により異なると考えられ、悪意又は重大なる過失により既往症の告知がなかつたものであるかどうかは、入通院に至つた経緯、医療期間、手術の有無、医師より告げられた病名、医師の与えた指示、治癒の有無、治癒後の経過期間、稼動状況等を総合勘案して、個別事案ごとに判断する必要がある。

六について

 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百七十八条では、「重要なる事実」又は「重要なる事項」の告知を求めているが、一般の被保険者又は保険契約者に何が重要であるかを、自ら判定せしめることは、被保険者等に過大な負担をかけるのみならず、公平・円滑な事業運営に支障を来すことも考えられる。このため、生命保険会社は、告知義務の対象となるべき「重要なる事実」又は「重要なる事項」を定型的に整理し、原則として所定の告知書(質問表)に記載している事項に限定しているもので、既往症についての五年間という期間も、社会通念的に許容され、かつ、危険選択もおおむね保障されると思われる範囲で決定されているものである。
 また、商法第六百七十八条第二項で準用する第六百四十四条第二項において、契約の時より五年を経過したときは、告知義務違反による契約解除権が消滅することとなつているが、契約解除権の行使による保険契約者の不安定な立場を考慮して、保険約款上、これを二年聞に短縮しているものである。
 このように、既往症の告知を求めている期間(五年間)と、告知義務違反による契約解除権が消滅する期間(二年間)とは、別の観点から定められているものである。

七について

 生命保険事業が、消費者の信頼を確保し、社会的な責任を果たしていくためには、真に契約者利益の保護を目標とした事業運営がなされなければならない。
 告知義務制度についても、このような観点から、制度の運営に努めてきたところであるが、今後とも、外務員教育の充実などにより、告知義務制度に関する情報提供を積極的に図り、消費者の理解を更に深めるよう指導してまいりたい。

 右答弁する。




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