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答弁本文情報

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昭和五十五年十一月七日受領
答弁第八号
(質問の 八)

  内閣衆質九三第八号
    昭和五十五年十一月七日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員大原亨君提出原爆被爆者に対する「国家補償の理念」による援護法制定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大原亨君提出原爆被爆者に対する「国家補償の理念」による援護法制定に関する質問に対する答弁書



一について

 広島市及び長崎市に対する原子爆弾の投下は、国際法違反であるとはいい切れないが、国際法の根底にある基本思想の一つたる人道主義に合致しないものであるとの意味において国際法の精神に反すると考えている。

1 原子爆弾の投下は、老幼婦女子を含む広い範囲にその害が及ぶ人道上極めて遺憾な事態を生ぜしめたものであり、国際法上の観点からも問題となり得る点があつたので、交戦状態にあつた当時これに強く抗議したものであり、これは当然であつたと考えている。

2 右に述べたとおり、原子爆弾の投下が国際法違反であるといい切ることはできないと考えている。

3 原子爆弾による被害について国に補償する義務があるとは考えていないが、原子爆弾被爆者については、原子爆弾の放射能を多量に浴び健康上特別の配慮を必要とするという特殊な事情に着目し、特別の社会保障制度として制定された原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律に基づき、所要の措置を講じてきているところである。

二について

1 旧防空法第六条第一項又は第二項の規定により防空の実施に従事中の者等を戦傷病者戦没者遺族等援護法において準軍属として処遇しているのは、これらの者と国との間に特別の関係があつたためで、国とお尋ねの国民とが国とこれらの者についての関係と同様の関係にあつたとは考えていない。

2 旧義勇兵役法の施行により、一定の国民につき、義勇召集が実施された場合にそれに応ずべき義務が課されたが、国民義勇戦闘隊に編入するには召集を要し、その召集は主務大臣の定める方法をもつて本人に通達することとされていた。また、それらの国民が現実に軍事行動を行つたという事実は承知していない。なお、旧義勇兵役法は、旧兵役法に定めるものの外に新たに女子を含む一定年齢の国民につき義勇兵役の義務を設け、先の大戦に対処しようとしたものと考えられる。

三について

 政府としては、先の大戦におけるいわゆる戦争犠牲のうち特に一般の国民とは違つて特別の措置を要するものについては必要な援護等の措置を講じてきており、また、原子爆弾被爆者については原子爆弾の放射能を多量に浴び健康上特別の配慮を必要とするという特殊な事情に着目し、特別の社会保障制度として所要の措置を講じてきているところであつて、このような事情のない原子爆弾被爆者遺族に対し、措置を講ずることについては困難であると考えている。
 なお、原子爆弾被爆者対策の基本となるべき理念及び原子爆弾被爆者対策制度の基本的在り方について、現在、学識経験者による原爆被爆者対策基本問題懇談会を設け、意見を聴いているところである。

 右答弁する。




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