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答弁本文情報

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昭和五十六年五月十五日受領
答弁第二九号
(質問の 二九)

  内閣衆質九四第二九号
    昭和五十六年五月十五日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員稲葉誠一君提出鈴木内閣の憲法についての考え方に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員稲葉誠一君提出鈴木内閣の憲法についての考え方に関する再質問に対する答弁書



一について

 質問者において御指摘のとおり、当該国務大臣は、「憲法を改正するとは、鈴木内閣のもとでは言いません。」と明言しており、現内閣の方針に従つていることに疑問の余地はない。
 なお、憲法改正に関する論議は、もともと自由に行われて差し支えないものであるが、内閣として憲法改正を取り上げないという方針を現にとつている以上、国務大臣である者は、国務大臣として内閣の方針に従うべきことは当然であるとともに、個人的見解を述べる場合にも、内閣の方針について誤解を生ずるおそれがないように慎重であるべきことは、従前から述べているところである。

二について

 「定着」という言葉の意味するところは必ずしも明確でないので、先の内閣衆質九四第一八号の答弁書の二についての3においては、定着しているかどうかについていろいろな見方があると述べるとともに、現行憲法が成立後三十数年間、国民の間で有効に機能してきたという事実を述べたものである。号

三について

1 憲法第九条第二項の「交戦権」とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であつて、このような意味の交戦権が否認されていると解している。
  他方、我が国は、自衛権の行使に当たつては、我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することが当然に認められているのであつて、その行使として相手国兵力の殺傷及び破壊等を行うことは、交戦権の行使として相手国兵力の殺傷及び破壊等を行うこととは別の観念のものである。実際上、自衛権の行使としての実力の行使の態様がいかなるものになるかについては、具体的な状況に応じて異なると考えられるから、一概に述べることは困難であるが、例えば、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政などは、自衛のための必要最小限度を超えるものと考えている。

2 御指摘の昭和五十六年四月七日の衆議院内閣委員会における答弁においては、御指摘の中立国船舶の臨検が一般的に可能であるということを述べたものではなく、「ある国がわが国に対して現に武力攻撃を加えているわけでございますから、その国のために働いているその船舶に対して臨検等の必要な措置をとることは、自衛権の行使として認められる限度内のものであればそれはできるのではないか」ということを述べたものであり、先の内閣衆質九四第一八号の答弁書の三についてにおいて述べた趣旨と異なるものではない。号

四について

1 「有事」という言葉は、先の内閣衆質九四第一八号の答弁書の四についてにおいて述べたとおり法令上の用語ではなく、その意味を一義的なものとして説明することは適当でないと考える。号

2 自衛隊法第百三条第六項の規定は、当該処分が緊急事態に対処するためのものであることにかんがみ、行政不服審査法の定める手続によることが適当でないという理由に基づくものであつて、御指摘のような問題はないと考える。
  また、防衛庁においては、有事法制研究の一環として、同条の規定による物資の保管命令に従わない者に対する罰則規定を設けることの必要性、有効性等について検討していくこととしているが、この検討に当たつては、基本的人権の尊重との関連において慎重な配慮が必要であることはいうまでもない。

 右答弁する。




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