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答弁本文情報

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昭和五十八年十月十五日受領
答弁第四号
(質問の 四)

  内閣衆質一〇〇第四号
    昭和五十八年十月十五日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員四ッ谷光子君外一名提出私鉄運賃値上げに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員四ッ谷光子君外一名提出私鉄運賃値上げに関する質問に対する答弁書



一について

 民営鉄道(以下「民鉄」という。)の運賃は、能率的な経営の下で、民鉄各社が公共交通機関としての役割を適切に果たしていくために必要な運賃原価に見合つた水準に設定されるべきものであり、このような運賃原価には適正な配当金、法人税等が含まれるものと考える。

二及び五について

 運賃改定申請を行つた大手民鉄各社の経営状況を見ると、収入面では輸送需要が伸び悩んでいるのに対し、支出面では人件費その他の諸経費及び輸送力増強等の設備投資に伴う資本費が増大する傾向にある。
 大手民鉄各社は、このような状況を踏まえ、昭和五十八年度以降は大幅な赤字となり現行運賃水準を維持していくことは困難であると判断して、運賃改定申請に及んだものである。

三について

 修繕費の増加については、大手民鉄各社が、ダイヤ改正による車両走行キロの増加、運行の安全性向上の要請等の要因を勘案し、適正と考える金額を申請に盛り込んだためである。
 また、車両の減価償却の方法については、大手民鉄各社が現に定率法を採用していること並びに車両の更新・増備による輸送力増強及びサービス水準の向上が急務であり、大手民鉄各社の投資意欲に対する影響も考慮する必要があることから、大手民鉄各社の運賃原価の算定に当たつては、従来から法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)に基づく耐用年数による定率法を採用しているものである。

四について

 今回の運賃改定申請においては、京阪電気鉄道株式会社、東京急行電鉄株式会社等の雑収入見込みが減少しているが、これは、主として雑収入のうちの受取利息の取扱いについて大手民鉄各社が適当と考える方式を採り、これに基づく金額を申請に盛り込んだためである。

六について

1 大手民鉄各社の運賃原価の算定に当たつては、従来から建設仮勘定に整理されている資産のすべてを事業報酬対象資産としているが、これは、大規模な鉄道施設の建設に係る支払利息を早期に回収することにより、経営の健全性を維持する必要があること、当該支払利息を建設期間中に回収せず施設の稼働を待つて回収するとすれば、その際、運賃原価が大幅に上昇し、運賃水準の安定性が損なわれること等の理由によるものである。

2 事業報酬対象資産の中には、いわゆる内部留保金で構成された資産も算入されているが、これは、鉄道事業に投下された資金に対しては適正な水準の報酬を認めようとする事業報酬制度の趣旨によるものである。

七について

1 大手民鉄各社が、鉄道事業を円滑に運営していくためには、鉄道部門の独立採算性を維持し経営の健全性を確保することが必要であり、兼業部門との間の内部補助関係を前提として運賃の決定を行うことは適当でないと考える。

2 運賃原価の計算上、従来から投融資部門を独立の事業部門とみなして、同部門に投融資に係る受取配当金、受取利息等の収入及び支払利息、諸税等の費用を計上している。これは、鉄道部門の独立採算性を維持し、経営の健全性を確保する上で適当な方式であると考える。

八について

1 大手民鉄各社のサービス水準は、数次にわたる輸送力増強等投資計画の実施により各分野にわたつて着実に向上しているが、今後とも、一層のサービス改善に努めるよう適切に指導してまいりたい。

2 連続立体交差化事業について、鉄道事業者が地方公共団体等に対して公租公課相当額で貸し付けることとなつている高架下面積の比率を増加させることは、連続立体交差化事業に対する鉄道事業者の負担割合がこのような高架下面積の比率を前提として計算されているので、適当でないと考える。

九について

 運輸審議会は、運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の規定により、広い経験と高い識見を有する者のうちから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する者及び運輸事務次官により構成されており、その構成は適当であると考える。
 また、運輸審議会においては、審議事案の内容に応じて公聴会等を開催し、利用者等の意見を聴取し、これを審議に反映させている。
 運輸審議会の答申は公表され、その際、主要な論点については会長談話により審議会の見解を公表している。なお、運輸審議会においては、半年ごとに業務報告書を作成し、これを公表している。

十について

 大手民鉄各社の政治献金は、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の定める規制の範囲内において、経営者が、その自主的な判断により取り扱うべき事柄であると考える。
 なお、政治献金の額は、原価には算入されていない。

 右答弁する。




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