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答弁本文情報

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昭和五十八年十一月二十二日受領
答弁第一六号
(質問の 一六)

  内閣衆質一〇〇第一六号
    昭和五十八年十一月二十二日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員竹内勝彦君提出大気中の発ガン性物質対策並びに炭酸ガスの増加による気象変化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員竹内勝彦君提出大気中の発ガン性物質対策並びに炭酸ガスの増加による気象変化に関する質問に対する答弁書



一について

1 大気汚染と肺がんの相関関係又は因果関係は、いまだ解明されておらず、それらの有無は明らかでないと考えている。

2 御指摘のような調査研究は、現在のところ行つていないが、発がん性の疑いがある物質の実態把握に関連する研究等を行つているところである。
  今後の対応については、このような研究の成果を踏まえ、慎重に検討してまいりたい。

二について

1 御指摘のアスベスト、ホルムアルデヒドのほかベンゾ〔a〕ピレン等については、発がん性を有することが指摘されているが、これらの物質による大気汚染が発がんの原因となつていることはいまだ確認されていない。なお、アスベスト、ホルムアルデヒド及びベンゾ〔a〕ピレンについては、大気中の濃度を現在調査しているところである。
  また、御指摘のニトロ化合物のうちニトロピレンについては、発がん性を有するとの指摘がなされたことがあり、現在、測定方法の検討を行つているところである。

2 アスベストはそれを原材料とする製品の製造、使用、廃棄等に伴い発生し、ホルムアルデヒドはそれを原材料とする製品の製造、使用等に伴い発生し、ベンゾ〔a〕ピレンは物の燃焼に伴い発生する。また、ニトロピレンの発生源については必ずしも明らかではないが、ディーゼルエンジンの排出ガスに含まれているという指摘がある。
  ただし、1において述べたとおり、これらの物質による大気汚染が発がんの原因となつていることはいまだ確認されていない。

3 従来から、環境基準の維持達成を図るとともに道路沿道における生活環境の保全を図るため、自動車排出ガス規制を行つてきており、今後の自動車排出ガス対策としては、現在、ディーゼル自動車から排出される黒煙の低減技術の開発状況の調査を実施しているほか、ディーゼル乗用車から排出される窒素酸化物、炭化水素及び一酸化炭素については、規制を強化するため目標値を設定し、技術評価を行つているところである。

4 ディーゼル自動車の排出ガスによる道路沿道の大気汚染の状況及び生体への影響を明らかにするため、現在、調査研究を行つているところである。

5 御指摘のように、窒素酸化物の排出量の低減と黒煙の発生量の低減は二律背反の関係にあるため、燃焼状態の調整によつて同時に両者の低減を図ることは、極めて困難であるとされている。このため、黒煙の発生量の低減については排出ガスから黒煙を捕集して処理する方法が考えられているが、いまだ実用化の目途は立つていない現状にあり、基礎研究を進めているところである。
  新たな規制基準を設定し、その規制基準達成車への税制上の優遇措置を考えていくべきかどうかについては、以上のような技術的問題が残されていることもあり、将来、技術的な見通しが立つた段階で改めて判断すべき問題であると考える。

6 1において掲げたアスベスト等の物質による大気汚染と発がんとの関係はいまだ明らかでないので、現時点において、御指摘のような環境基準を設定することは考えていない。

三について

1 二酸化炭素の増加による温室効果が気候に与える影響については、昭和五十四年に世界気象機関等が主催した世界気候会議においても指摘されており、今回の米国環境保護庁の研究報告も、この指摘とほぼ同様に、二酸化炭素の増加が気候に与える影響について指摘した報告書と思われる。

2 御指摘の問題については、二酸化炭素の循環等の測定手法、二酸化炭素の増加の気候に及ぼす影響の評価等に関する調査研究を行つている。

3 国連環境計画及び世界気象機関による世界モニタリングシステムの一環として、大気中の二酸化炭素の測定・監視が行われているところであり、我が国としても、従来から、これら機関の活動に対し協力してきており、今後とも、引き続き協力してまいる所存である。

 右答弁する。




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