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答弁本文情報

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昭和六十一年一月十七日受領
答弁第二四号

  内閣衆質一〇三第二四号
    昭和六十一年一月十七日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 坂田道太 殿

衆議院議員(注)長亀次郎君提出沖縄県における「米軍用地収用特措法」に基づく強制使用の二十年間の延長に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)長亀次郎君提出沖縄県における「米軍用地収用特措法」に基づく強制使用の二十年間の延長に関する質問に対する答弁書



一の1及び四の1について

 米軍は、日米安全保障条約に基づき、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国に駐留しているものであり、かかる目的を有する米軍の駐留は、我が国の生存と安全の維持という国益を確保する上で重要であり高度の公共性を有するものである。したがつて、米軍の駐留の用に供するため土地を使用することは、憲法第二十九条第三項の「公共のために用ひる」ことに該当することは明らかである。

一の2について

 米軍の占領下の沖縄における行動について陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則との関連での問題の指摘があることについては承知している。

一の3及び四の3について

 裁決の申請は、憲法に基づき財産を公共のために用いる手続等を定めた日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和二十七年法律第百四十号。以下「駐留軍用地特措法」という。)に基づき適法に行つたものであり、これを撤回する考えはない。

二の1について

 本件裁決の申請に係る土地は、施設及び区域の運用上、賃貸借契約を締結している他の土地と有機的に一体として使用しており必要欠くべからざるものであり、今後相当長期間使用されると考えられるが、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百四条が貸主保護の観点から賃借権の存続期間を制限していることを考慮し、これを参考の一つとして当該土地の使用期間を設定したものであり、本件が公用使用であることをもつて、これが不当であるとの御指摘は当たらない。

二の2及び3について

 御指摘の防衛施設庁長官の答弁は、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)により「使用」した事例の一部についてその使用期間を例示したものであるが、自衛隊用地との関係については、防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)の規定によつて防衛庁が所掌事務の遂行に直接必要な施設として設置する自衛隊の施設が、土地収用法第三条第三十一号の施設に含まれることは、同号の解釈上明らかである。
 なお、御指摘の当時の建設大臣の答弁は、特定公共事業の政令委任について定める公共用地の取得に関する特別措置法(昭和三十六年法律第百五十号)第二条第八号についての発言であり、自衛隊の施設に関する土地収用法の適用関係について触れたものではない。
 また、裁決の申請において使用期間を二十年としたのは、日米安全保障条約の地位及びこれに伴う米軍の駐留、施設及び区域の今後の長期間の安定的使用の必要性、沖縄県に所在する施設及び区域の見通し得る将来の返還の見込み並びに土地所有者との合意による使用の著しい困難性等の事情・経緯を総合的に判断したことによるものである。

二の4について

 過去において、沖縄県以外の都道府県に所在した施設及び区域の中には、米軍が土地や個人の住宅を一時的に施設及び区域として使用したものも多く、また継続的に使用する施設及び区域に係る土地についても駐留軍用地特措法による使用期間満了時までに賃貸借契約の締結又は買入れが可能であると判断されたからである。

三について

 昭和六十年八月五日裁決の申請を行つた土地のうち、その大部分は沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(昭和五十二年法律第四十号)による手続を完了しており、同手続を完了していない一部の土地についても位置境界明確化作業を通じ、現地に即して特定できる状態となり、駐留軍用地特措法の適用が可能となつているので、駐留軍用地特措法に基づき適法に手続を執り、裁決の申請をしたものであり、御批判は当たらない。

四の2について

 今回裁決の申請をした土地は、日米安全保障条約第六条に規定する目的達成のため駐留する米軍が施設及び区域としてこれを使用することについて、その必要性が客観的に認められるので、駐留軍用地特措法第三条にいう「適正且つ合理的であるとき」に該当すると考える。

 右答弁する。




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