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答弁本文情報

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昭和六十二年一月二十三日受領
答弁第一号

  内閣衆質一〇八第一号
    昭和六十二年一月二十三日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員遠藤和良君提出朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)帰還の日本人妻に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員遠藤和良君提出朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)帰還の日本人妻に関する質問に対する答弁書



一について

(1) 北朝鮮に渡航した日本人妻の経緯は次のとおりである。
 ア 日本赤十字社と朝鮮赤十字会との間における在日朝鮮人の帰還に関する協定に基づき、昭和三十四年十二月十四日から昭和四十二年十二月二十二日までの間百五十五次にわたり帰還が実施され、六千四百八十四人の日本人が北朝鮮に渡航したが、このうち日本人妻と推定される者は千七百八十九人である。
 イ 在日朝鮮人の帰国問題に関する日朝両赤十字代表団の合意書に基づき、昭和四十六年五月十四日から同年十月二十二日までの間六次にわたり帰還が実施され、五十二人の日本人が北朝鮮に渡航したが、このうち日本人妻と推定される者は十二人である。
 ウ 在日朝鮮人の帰国問題に関する日朝両赤十字代表団会談要録に基づき、昭和四十六年十二月十七日から昭和五十九年七月二十五日までの間二十六次にわたり帰還が実施され、百四十三人の日本人が北朝鮮に渡航したが、このうち日本人妻と推定される者は三十人である。
(2) 政府は、第一回帰還船以来の毎船ごとの帰還者名簿から日本人の氏名を抽出して作成した名簿を有しているが、日本人妻については、性別、年齢等から推定するほかなく、その正確な名簿は、これを有していない。
    政府としては、帰還者名簿については、個人のプライバシーの保護の観点から、また、日本人妻については飽くまでも推定にとどまるものであることもあり、これを一般的に明らかにすることはできないが、日本人妻の家族等から個別に問い合わせのある場合はこれに協力する用意がある。

二及び四について

(1) 政府は、日本人妻の里帰り及びその家族の北朝鮮訪問の問題について、北朝鮮との間に国交がないことから取り得る手段には限界があるが、従来人道的観点から次のような努力を行つてきたところである。
 ア 日本人妻の里帰り及びその家族の北朝鮮訪問については、日本人妻の安否の確認が前提となるところ、日本人妻の家族の希望に基づき、日本赤十字社を通じ北朝鮮に対し、次のように日本人妻の安否照会及びその里帰りに関する依頼を行うとともに、適当な機会をとらえ日本人妻の家族の北朝鮮訪問を可能ならしめるよう依頼してきた。
  (ア) 昭和五十一年から昭和五十四年までの間に計十四回にわたり二百十人の日本人妻についての安否照会及び緊急を要する者についての里帰りに関する依頼を行つた。
  (イ) 昭和五十五年十二月に右二百十人の日本人妻について改めて一括して同様の照会を行つた。
  (ウ) 昭和五十六年九月に右二百十人のうち九人の日本人妻について改めて同様の照会を行つた。
  (エ) 昭和五十九年九月に十九人の日本人妻について同様の照会を行つた。
  (オ) 昭和六十年三月に十九人の日本人妻について同様の照会を行つた。
 イ 日本人妻の安否照会、その里帰り及び日本人妻の家族の北朝鮮訪問に関する家族の要望等を把握するため、日本人妻の家族に対しアンケート調査を実施した。
 ウ 昭和六十一年一月及び同年五月に行われた日ソ外務大臣会談において安倍外務大臣よりシェヴァルナッゼ外務大臣に対し、並びに同年十一月に行われた日ソ事務レベル協議において日本側よりソ連側に対し、本件に関する北朝鮮の柔軟な対応を期待しているとの政府の意向を北朝鮮に伝達するよう依頼した。
(2) かかる政府及び日本赤十字社の努力に関し、日本人妻の安否照会について次のような反応を得たこと並びに最近若干の日本人妻の家族の北朝鮮訪問及び日本人妻との再会が認められたことのほかは、日本人妻の里帰りが実現しない理由を含め、北朝鮮側からは何ら連絡を受けていない。
 ア 昭和五十七年十月に、北朝鮮側から日本赤十字社を通じ、九人の日本人妻の安否が判明した旨連絡を受けた。北朝鮮側からの連絡によれば、今後とも、日本赤十字社を通じてのこの種の安否照会には、通信連絡を容易にする等により、できる限り協力するとのことであつた。
 イ また、昭和五十九年七月に、北朝鮮側から日本赤十字社を通じ、日本人妻から家族にあてた十二通の手紙が伝達されるとともに、別に五人の日本人妻の安否が判明した旨連絡を受けた。

三について

 在日朝鮮人に対する北朝鮮向けの再入国の許可は、親族訪問、墓参などのいわゆる人道ケースを中心に学術、文化、スポーツ交流あるいは純粋な商用を目的とする者などについては特段の忌避すべき事情がない限りこれを認めてきており、その数は年間五千人近くに及んでいる。

五について

 我が国と北朝鮮との間の郵便物の交換は、直接の郵便運送手段がないため、中国又はソ連経由で行つている。

六について

 万国郵便連合の国際事務局から得ている情報によれば、北朝鮮は郵便物に宝石、通貨等の貴重品を封入することを認めていないため、現金を北朝鮮あてに郵便で送付する手段はない。

七について

 郵便物が受取人に配達されたかどうかを確認する制度として「受取通知」がある。
 この制度は、所定の事項が記入された受取通知用紙を郵便物とともに送付し、郵便物の配達の際に当該用紙に受取人の署名を受け、これを差出人あてに返送するものである。
 北朝鮮あて郵便物についても、かかる方法が行われている。
 なお、受取通知を請求できる郵便物は限定されており、北朝鮮あて郵便物の場合には、書留郵便物及び小包郵便物についてこの取扱いを請求できる。

八について

 昭和六十年において、北朝鮮あてには約八万六千通の郵便物が送達されており、そのうち十四件の調査請求があつた。
 これらについて調査を行つたところ、すべてについて配達済み、不明等であることが判明したので、その旨請求人に通知した。

九について

 北朝鮮は、万国郵便条約第四十二条の規定に沿つた手続を実施している模様であり、その場合には、北朝鮮に在住する受取人は、郵便物の差出しの日の翌日から起算して一年以内に調査請求書を郵便局に提出することにより、自分あての郵便物の調査請求を行うことができることとなる。

 右答弁する。




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