答弁本文情報
昭和六十二年三月三日受領答弁第九号
内閣衆質一〇八第九号
昭和六十二年三月三日
衆議院議長 原 健三郎 殿
衆議院議員草川昭三君提出低肺機能者対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員草川昭三君提出低肺機能者対策に関する質問に対する答弁書
一について
昭和五十八年に行われた厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班の調査によると、呼吸不全の患者は、四万人から五万人いると推定されている。また、昭和五十五年に厚生省の行つた身体障害者実態調査によると、呼吸器機能障害者は、四万七千人であつた。
なお、在宅酸素療法患者については、現在のところ実態調査は実施していない。
現行の社会保険診療報酬における在宅酸素療法指導管理料の算定対象となつている患者の範囲は、在宅酸素療法を行う必要性・安全性についての関係学会の検討結果に基づいて定めたものであり、現在の医学水準からみて適正なものと考えている。
なお、この問題については、今後とも関係学会における医学的知見の推移を踏まえ、必要に応じ検討してまいりたい。
近年の医療技術の進歩により、在宅酸素療法を始めとして在宅療法の範囲が拡大しており、今後、患者等の希望に沿つた在宅医療の普及が必要となつている。
このため、望ましい在宅医療の推進方策を検討すべく、昭和六十二年度予算において、在宅医療環境整備の事業実施検討費を計上しているところであり、その結果を踏まえ、低肺機能者の在宅療法システムについて、更に幅広く検討してまいりたい。
呼吸不全・呼吸機能障害の患者に対する酸素濃縮器を用いての在宅酸素療法については、教育機関や医療機関において医療関係者等に対し、次第に指導が行われてきており、今後酸素濃縮器の一層の普及に伴い、看護教育等の場において更に適切な教育・研修が行われることが望ましいと考える。
各種交通機関において現在とられている身体障害者に対する運賃割引制度は、割引による減収を一般的に他の利用者の負担によつて賄うことにより実施されている。このような方法による割引制度の対象を現状以上に拡大することは、交通機関の経営の現状等からみて困難であると考える。
在宅酸素療法患者が公共交通機関に医療用小型携帯ボンベを持ち込むことについては、関係法令等で認められているところであり、関係患者団体についても、周知されていると考える。