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昭和六十二年六月十九日受領
答弁第四二号

  内閣衆質一〇八第四二号
    昭和六十二年六月十九日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員安田修三君提出医療法人社団川岸会万葉病院における労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員安田修三君提出医療法人社団川岸会万葉病院における労使紛争に関する質問に対する答弁書



一について

 医療法人社団川岸会万葉病院(以下「病院」という。)においては、病院が昭和六十年八月に、水野英子、中山るり子、藪下由紀子、谷内久美江及び竹原光子を含む病院給食課職員に対して就業時間の変更を提案し、同年九月にこれに反対した同課職員のうち、富山県地域合同労働組合(以下「組合」という。)の組合員(以下「組合員」という。)である水野、中山、藪下及び谷内に対し配置転換又は出向を命じたことから労使紛争が発生した。この命令は、病院と組合との団体交渉の結果白紙撤回されたが、病院は、昭和六十一年二月に調理室において発生した鍋の煮焦がし事故に関して、同年三月に給食課職員全員に対し減給又は停職の懲戒処分を行つた。
 なお、同年二月には万葉病院職員組合が結成された。
 また、病院は、同年三月に医療法人社団川岸会関連の診療所の栄養士に献立表を作成させることとし、栄養士として雇用されていた藪下及び谷内に対し栄養士としての業務を行わせないこととした。
 さらに、病院は、同年六月に発生した組合員と病院の看護婦との口論に関して、同月に水野、中山、藪下及び谷内に対し停職の懲戒処分を行つた。
 以上の処分について、組合等は、富山県地方労働委員会(以下「富山地労委」という。)に対して、昭和六十一年三月に不当労働行為救済の申立てを行い、同年六月及び七月にそれぞれ不当労働行為救済の追加申立てを行つた。これに対し、富山地労委は、昭和六十二年三月に不当労働行為救済命令を発したが、病院は、これを不服として、同年四月に中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対して再審査申立てを行つた。
 政府としては、以上のとおりであると聞いている。

二について

1 組合等が富山地労委に対して行つた申立ての内容は、昭和六十一年三月の懲戒処分の取消し及びその間に係る賃金相当額の支払並びに組合運営への支配介入の禁止及び陳謝文の手交等(同年三月申立て)、藪下及び谷内の栄養士業務への復帰並びに就業時間の変更等の不利益取扱いの禁止等(同年六月追加申立て)、同年六月の懲戒処分の取消し及びその間に係る賃金相当額の支払等(同年七月追加申立て)であり、これらの申立てに対して富山地労委が昭和六十二年三月に発した不当労働行為救済命令の内容は、病院に対し、昭和六十一年三月の懲戒処分の取消し及びその間に係る賃金相当額の支払、藪下及び谷内の栄養士業務への復帰、変更前の就業時間及び就業形態における就労並びに同年六月の懲戒処分の取消し及びその間に係る賃金相当額の支払を命じ、その他の申立てについては棄却する、というものであり、この命令に対し、病院は、昭和六十一年三月及び同年六月の懲戒処分がなければ組合員が受けるはずであつた賃金相当額については、昭和六十二年四月の組合との団体交渉の席において支払つたが、藪下及び谷内の栄養士業務への復帰並びに変更前の就業時間及び就業形態における就労についてはいまだ履行していないと聞いている。
2 また、組合等から高岡労働基準監督署に対して、昭和六十一年六月に年次有給休暇の取得について賃金カットが行われたことについて、及び昭和六十二年五月に就業規則の変更に伴い通勤手当が減少したことについてそれぞれ労働基準法に違反する旨の申告が行われ、同署は、監督を実施し、昭和六十一年六月の申告については法違反を認め、これを是正させたが、昭和六十二年五月の申告については法違反と認めなかつた。
3 さらに、組合員等から富山地方法務局高岡支局に対して、昭和六十二年五月に病院が富山地労委の不当労働行為救済命令どおりの職場復帰をさせないこと並びに食堂の片隅に待機させたこと及び生理現象で席を立つと行き先を詰問したこと等について人権侵犯の申告が行われ、同局は、これらのうち、労働委員会及び労働基準監督機関において対応されるべきもの以外のものについて、人権擁護機関が関与すべきかどうか情報収集中である。

三について

 組合は、昭和六十二年四月に富山県労働組合協議会との連名で、富山県知事に対して、組合員が正常に就労しているか否かの調査及び確認、富山地労委の不当労働行為救済命令の遵守指導、同命令の効力についての指導並びに正常な労使関係の確立についての指導を申し入れ、また、高岡市長に対して、労使紛争解決のあつせん協力を要請した。これらを受けて、富山県及び高岡市は、病院院長に対して、事情聴取を行うとともに、同命令を遵守し一刻も早く正常な労使関係を確立するよう指導したと聞いている。

四について

 病院は、昭和六十二年四月に中労委に対して、富山地労委の不当労働行為救済命令(以下「初審命令」という。)の主文の取消し及び組合員の救済申立ての棄却を内容とする再審査申立てを行つた。中労委は、これを受けて、同月に病院、組合双方に対して調査開始を通知するとともに、初審命令の履行状況の報告を求め、同年五月に病院に対して初審命令を直ちに履行するよう勧告を行つたところであると聞いている。

五について

 保険外負担については、昭和六十年九月の富山県議会における指摘を踏まえて、富山県が同年十月に実態調査及び指導を行つた結果、昭和六十一年一月、社会保険等の診療報酬請求と重複しない範囲で費用徴収するよう改善が図られたと承知している。
 また、その他について、富山県は、昭和六十年九月及び昭和六十一年三月に調査を、同年十一月に医療監視を行つた。その結果及びその後富山県が病院から報告を受けたところによると、次のとおりである。
 入院患者数については、昭和六十年十月から昭和六十一年九月までの一年間の平均が許可病床数百二を四人分超過した百六人となつており、病院から改善に努めるとの回答があつた後、昭和六十二年四月末時点では、百二人に改善されている。
 従業者数については、昭和六十一年十一月時点では入院患者数百六人に対して若干の不足であり、病院から増員に努力しているとの回答があつた後、昭和六十二年四月末時点では入院患者数が百二人に改善されたことに伴い不足は生じていない。
 職員の出向については、医療法人社団川岸会理事長川岸一郎が個人として開設した川岸内科医院へ病院の職員を出向させていたが、その給与相当額は、最終的には川岸一郎が負担しており、また、昭和六十年十二月をもつて出向措置を取りやめている。
 なお、富山県議会において指摘のあつた診療放射線技師の確保等についても改善を図つている。

六について

 政府としては、当該労使紛争が一日も早く解決され、病院の正常な労使関係が確立されることを期待するものであるが、現在本件は中労委に係属中であり、その動向を見守つてまいりたい。

 右答弁する。




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