衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和六十二年九月十六日受領
答弁第二九号

  内閣衆質一〇九第二九号
    昭和六十二年九月十六日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員近江巳記夫君提出建設関連資材の価格抑制のための緊急対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員近江巳記夫君提出建設関連資材の価格抑制のための緊急対策に関する質問に対する答弁書



一について

1 棒鋼については、本年三月末日の仲間相場三万三千五百円が、九月五日には四万九千円に、H形鋼については、三月末日の五万三千五百円が、九月五日には六万三千円にそれぞれ上昇しているが、これは、昭和六十年秋以降低迷していた鋼材価格が、堅調な国内需要、電炉業の夏期減産等を背景として回復しているものと考えられる。
  木材については、昭和五十六年以降長期にわたり低迷していた価格が最近上昇した原因として、
 @住宅着工の大幅な増加等を反映して、木材需要が旺盛なこと
 A外材の産地価格の大幅な上昇によつて、その輸入価格が上昇に転じていること
 B流通段階において在庫手当てを増加させる動きがみられること
 等が考えられる。

2 公正取引委員会では、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)に違反する事業者の競争制限的な行為によつて、公正かつ自由な競争が妨げられることのないよう監視及び情報の収集に努めているところである。
  経済企画庁では、これまでも物価の安定基調を維持していくよう常に努力してきたところであり、今後とも、物価動向に細心の注意を払うとともに、各省庁等とも緊密な連絡を取りつつ、引き続き物価安定のために一層の努力を払つてまいりたい。
  農林水産省では、従来から主要木材の需給動向等の把握及び需要に対応した円滑な供給を図るための関係業界に対する指導並びに財団法人日本木材備蓄機構を通じた木材の需給、価格等に関する情報収集及び提供を行つているところであるが、最近における木材価格の上昇に対処するため、更に需要に見合つた安定的な輸入、生産及び流通の確保等が図られるよう関係業界に対する指導を行うとともに、国有林野事業において、ひのきの生産及び販売の前倒しを行う等需要の動向に応じた適切な生産及び販売に努めている。また、コンクリート型わく用合板の一部地域における需給のひつ迫等に対処するため、財団法人日本木材備蓄機構が備蓄している合板の売渡しを行うこととしたところである。
  通商産業省では、最近の棒鋼等建設資材の需給動向にかんがみ、これまでも生産動向、在庫状況等の把握に努めてきたところであるが、更にこの度省内に「公共事業関連物資需給等対策委員会」を設置するとともに、通商産業局も活用した末端の需給動向等の調査を行つているところである。また、関係業界に対し、需要に対応した円滑な供給の確保に努め、品不足や不当な価格形成が起きることのないよう十分配慮すべき旨の要請を行つたところである。
  建設省では、主要建設資材の時期別の需要見通し等を行い、これに対応した供給が図られるよう、関係省庁等との連絡調整、情報交換を行つており、特に今年度は建設資材の供給に係る関係省庁に対して、品不足や不当な価格形成を生ずることのないよう関係資材業界への特段の指導方を依頼したところである。

二について

1 鋼材については、買占め及び売惜しみの状況がみられるかをも含め実態把握のための調査を行つているところである。
  木材については、最近における生産及び出荷の動向等からみて、買占め及び売惜しみの事実はないものと考えている。

2 公正取引委員会としては、独占禁止法に違反する事業者の競争制限的な行為によつて、公正かつ自由な競争が妨げられることのないよう監視及び情報の収集に努めているところであり、事件の端緒となる事実に接した場合には、所要の調査を行い、同法に違反する事実が認められれば厳正に対処していく所存である。

三について

1 鋼材についての最近の動向は次のとおりである。
  棒鋼等の主原料である鉄くずの価格については、本年八月から上昇傾向を示しており、九月に入りメーカー買値はトン当たり一万五千円となつている。
  生産量については、統計数字が得られる最新の時点である本年七月でみると、棒鋼百二万トン、H形鋼二十九万トンとなつている。
  輸出量については、棒鋼では昨年夏以降大幅に減少を続け、本年七月では前年同月の二十四万トンからわずか一万トンとなつており、一方H形鋼では本年七月は前年同月に比べおおむね横ばいの八万トンとなつている。
  輸入量については、棒鋼、H形鋼とも低水準で推移しており、本年一月から七月までの累計でみると、棒鋼で約六百トン、H形鋼で約三万七千トンとなつている。
  在庫については、最近減少傾向を示しており、本年七月でみると、棒鋼は五十四万トン、H形鋼二十七万トンとなつている。
  なお、今後の生産計画等については、現在調査を行つているところである。

2 木材については、農林水産省統計情報部の調査等によれば、次のとおりである。
  木材の丸太価格については、本年六月頃から上昇傾向を示しており、合板用ラワンについては、本年八月時点で、一立方メートル当たり二万九千六百円と、本年三月の二万五千百円から十七・九パーセント上昇している。
  また、外材の産地価格が上昇し、本年八月時点で、米ツガ丸太千スクリブナー当たり六百五十五ドル、合板用ラワン丸太一立方メートル当たり百六十ドルとなつている。
  木材の生産量については、増加傾向を示しており、本年七月では、製材品二百六十七万立方メートル(対前年同月比百六・六パーセント)、普通合板一億三百万平方メートル(同百七・七パーセント)となつている。
  木材の輸入量についても急増しており、本年七月では、製材品六十二万立方メートル(対前年同月比百二十四・七パーセント)、普通合板一千五百万平方メートル(同二百六十四・四パーセント)となつている。
  木材の工場段階での在庫量については、活発な荷動きから減少傾向を示しており、本年七月時点で、製材品百十五万立方メートル(対前年同月比九十二・一パーセント)、普通合板三千百万平方メートル(同六十二・四パーセント)となつている。
  木材の生産については、外材の輸入動向等にもよるが、今後とも、需要に見合つた安定的な生産が確保されるものと考えている。

四について

 鋼材については、既に関係業界に対し、品不足や不当な価格形成が起きることがないよう十分配慮すべき旨の要請を行つているところであるが、通商産業省における調査結果等も踏まえ、今後とも需要に見合つた供給が行われるよう努めてまいりたい。
 木材については、需要に見合つた輸入、生産及び流通の確保に努めるとともに、今後、木材需給がひつ迫し、価格が著しく高騰するような場合には、財団法人日本木材備蓄機構が備蓄している木材の売渡しを行うこととしている。
 また、セメントについては、安価な輸入品の増加等により価格が低下傾向にあるほか、砂利、アスファルト等についても、これまでのところ問題となるような動きは見られないところであるが、既に関係業界に対し、品不足や不当な価格形成が起きることがないよう十分配慮すべき旨の要請を行つているところである。これらの品目についても、通商産業省内に設置した「公共事業関連物資需給等対策委員会」や通商産業局も活用した末端の需給動向等の調査等を通じ、今後とも価格動向等を十分注視していく考えである。

五について

 現在の全般的な物価動向及び建設関連資材の価格上昇の状況からみて、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和四十八年法律第四十八号)及び国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)を発動すべき状況にあるとは考えていない。
 今後、事態の推移に応じ、個別の各種資材についての行政上の諸措置を尽くしていくことが重要であるが、仮に物価の一般的高騰、買占め又は売惜しみによる建設関連資材の異常な価格上昇等の事態が起こり、右二法の発動の要件を備えるような状況に至つた場合には、それらの発動をも検討することになると考える。

 右答弁する。




経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.