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昭和六十三年二月十九日受領
答弁第五号

  内閣衆質一一二第五号
    昭和六十三年二月十九日
内閣総理大臣 竹下 登

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員新村勝雄君提出原子炉の出力テストに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員新村勝雄君提出原子炉の出力テストに関する質問に対する答弁書



一について

 日本原子力発電株式会社敦賀発電所一号炉において、出力調整運転試験が行われた事実はない。
 なお、同原子炉については、第十七回定期検査期間(昭和六十二年七月二十三日から十月二十九日まで)中の昭和六十二年十月一日、タービン機能検査終了後、原子炉の立上げ前の点検に当たり一時的に出力を降下させ、出力約七パーセントで運転中、原子炉圧力を一定に保持するための操作を行つたところ、その操作が若干速かつたことからゆつくりと出力が上昇し、出力が中間領域モニターの設定値(出力約十一パーセント)に達したため、原子炉保護装置が設計どおり作動して原子炉が安全に停止したことがある。

二について

 伊方発電所二号炉における試験は、二月十二日に実施されたが、同試験は核燃料物質、核原料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第二十六条第一項の規定に基づく許可及び同法第三十七条の規定に基づく認可並びに電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十一条第一項及び第四十五条の規定に基づく認可等により機器及び燃料の健全性、制御性能等に問題ないことが確認された設計条件等の範囲内で行われたものであり、安全性に問題はないものと認識している。
 なお、試験の実施に当たつては、実施主体である四国電力株式会社が、試験実施前の二月九日、その実施内容について発表した。

三について

 営業運転中に出力調整運転に関し試験を実施した事例は、原子炉別に表一から表三までに掲げるとおりであり、いずれの場合においても何ら問題は生じなかつたと承知している。

表一 福島第一原子力発電所五号炉
福島第一原子力発電所五号炉


表二 福島第一原子力発電所三号炉
福島第一原子力発電所三号炉


表三 伊方発電所二号炉
伊方発電所二号炉


四について

 出力調整運転試験については、現時点において、具体的実施計画はないと承知している。

五について

 原子力安全委員会ソ連原子力発電所事故調査特別委員会が取りまとめたソ連原子力発電所事故調査報告書によれば、次のとおりである。

 (一) ソヴィエト連邦チェルノブイル原子力発電所事故(以下「チェルノブイル事故」という。)の原因は、ボイド係数が大きな正であることによつて、特に低出力領域で反応度出力係数が正という不安定な特性を有しているにもかかわらず、原子炉の緊急停止能力の確保が運転規則によつてしか担保されていない等設計における多重防護の面で脆弱性があつた上に、スクラム信号の一部をバイパスしたり、計画より低い出力で運転中に試験を行うなど運転員の多数かつ重大な規則違反が重なつたことである。

 (二) チェルノブイル事故による死亡者については、三十一名としている。

 (三) チェルノブイル事故を原因とした長期にわたる晩発性の致死的がん発生数の増加の見通しについては、昭和六十一年八月にソヴィエト連邦政府が国際原子力機関に提出した報告書(以下「ソヴィエト報告書」という。)、国際原子力機関の国際原子力安全諮問グループがソヴィエト連邦政府代表者との質疑も踏まえて作成した報告書(以下「諮問グループ報告書」という。)及びアメリカ合衆国原子力規制委員会がチェルノブイル事故に関し取りまとめた報告書(以下「アメリカ報告書」という。)は、以下のように推定している。

  @ チェルノブイル原子力発電所周辺三十キロメートル圏内からの避難民十三万五千人の外部被曝による致死的がん発生数の増加は、ソヴィエト報告書では自然発生がんの死亡者数の二パーセント弱(約三百人)、諮問グループ報告書では約百六十人、アメリカ報告書では約三百二十人と推定しており、内部被曝による致死的甲状腺がん発生数の増加は、諮問グループ報告書及びアメリカ報告書では約十人と推定している。

  A ソヴィエト連邦ヨーロッパ部住民の外部被曝による致死的がん発生数の増加は、ソヴィエト報告書では、自然発生がんの死亡者数の〇・〇五パーセント以下であると推定しており、内部被曝による致死的甲状腺がん発生数の増加は、諮問グループ報告書では、自然発生がんの死亡者数の約一パーセントと推定している。





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